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最終更新日:
2019年2月21日
 令和2年度当初予算案、ならびにこれに関連する議案の審議をお願いするにあたり、議員各位をはじめ、広く市民の皆さんのご理解を賜りたく私の施政方針を申し上げます。

【はじめに】

 第98 回全国高校サッカー選手権大会において、静岡学園高等学校が見事な優勝を飾って幕を開けた2020 年は、まさにスポーツの年であります。
 この夏には、いよいよ半世紀ぶりに我が国でオリンピック・パラリンピックが開催され、世界中から多くの人々が日本を訪れることでしょう。本市はホストタウンの一つとして、アジア地域から台湾陸上代表選手、ヨーロッパ地域からスペインバドミントン代表選手、そしてアフリカ地域からはモーリシャス代表選手の皆さんをお迎えします。スポーツには、人々の心を一つにする大きな力があります。人々が、世代や地域や国境を越えて、感動を共有し、“ワンチーム”を創り上げる素晴らしい力があります。地元プロスポーツチームの「清水エスパルス」「ベルテックス静岡」も、一層の飛躍を目指した戦いを重ね、きっと市民の心を一つにしてくれます。
 静岡市は新年度も、スポーツのもつパワーを大いに活かし、もし“まちづくりのオリンピック大会”があったならば、メダルを狙っていくような情熱をもって、3つの区の個性を大同団結させた“ONE SHIZUOKA”の下、「世界に輝く静岡の実現」に向けて、市政を前へ前へと進めていきます。

【本市を取り巻く情勢について】

 さて新年度は、市政運営の指針となる「第3次静岡市総合計画≪3次総≫」が、後期実施計画の2年目を迎えます。今から6年前、「住む人が誇りとやすらぎを感じ、訪れる人が憧れを抱く魅力的で風格のある都市の実現」を目標に掲げて策定された≪3次総≫は、外部環境に的確に対応し、着実な進化を遂げてきました。5年前には国から要請された地方創生「総合戦略」を組み込み、人口活力の維持に向けた政策を付加する一方、2年前には国連から要請された持続可能な開発目標「SDGs」が掲げる「17 の国際目標」を取り込み、アジア地域で唯一の「Local 2030 Hub」(ローカル トゥエンティサーティ ハブ)に選ばれるに至りました。
 2020 年の今日、世界は混沌の渦の中にあると言われます。21 世紀の到来から早20 年、インターネット技術の進展は凄まじく、SNS の普及により世界中で起こる事象が瞬く間に地球を駆け巡る時代となりました。この間に本格化したグローバリズムは、GAFA(Google,Amazon,Facebook,Apple)をはじめとする米国の巨大IT 企業が存在感を高める一方、約14 億人の人口を擁する中国が急激な経済発展を遂げ、米国と世界を二分する国家の地位を占めるまでになりました。今日、新たな2大強国の趨勢による“剥き出しの資本主義”が世界を支配するかの中、地球に暮らす約77 億人の人々の貧富の差はむしろ拡大し、地球の温暖化もその深刻度を増しています。
 このような情勢に大きな危機感を抱き、2030 年に向けて「人類の平等と経済の発展」とが両立できる世界に好転させようと、国連加盟193 か国によって決議された国際目標が「SDGs」です。スタートして5年目を迎え「SDGs」は、動物の中で人間のみがもつ“理性と叡知の力”をもって、各国政府や企業・団体や自治体、個人といった多様なプレイヤーにより、人類が達成すべき目標への指針として、確かな機能を発揮し始めています。
 昨年7月に発表された国連持続可能な開発ソリューション・ネットワークらによるSDGs 達成状況ランキングによると、トップ5はデンマーク、スウェーデン、フィンランド、フランス、オーストリアで欧州諸国が上位を占め、日本は15 位にランクされています。その中において、「SDGs 未来都市」に選定された本市では、先月「SDGs Month」を展開し、企業やNPO、学校など様々な団体が実施する取組を支援し、持続可能なまちづくりを官民連携で推し進めました。この成果として、市民の皆さんの「SDGs」の認知度は飛躍的に高まり、街角では「SDGs」ロゴを象ったカラフルなドーナツ型のバッジをスーツに付けている人を多く見かけるようになりました。職員は勿論のこと市民有志の皆さんの間にも、日本政府が進めるSDGs達成の一翼を担っているとの当事者意識が芽生えています。
 静岡市は新年度も、この大局観をもって、国際情勢を見誤りなく捉え、「市民の安心安全の確保と地域経済の活性化」との両立を図っていきます。

【新年度の市政運営について】

 以上に申し述べた決意と時代認識の下、次は、新年度の市政運営についての基本的な考え方をご説明申し上げます。

(過去最大の予算規模)
 まず、「過去最大の予算規模」についてです。予算編成の基本方針は、「入りを量りて出ずるを制す。」です。歳入面では大幅な一般財源の増が見込みにくい一方、歳出面では扶助費などの義務的経費がじりじりと増大していることから、財政運営は依然、厳しい現況にあります。
 しかしながらこうした中であっても、≪5大構想≫を実現するための施策など真に必要な取組に対しては適正な予算を確保し、地域経済を好循環させる公共投資を重視しました。投資的経費である普通建設事業費については、約395 億円を計上しました。その上で、政府が打ち出した「15 か月予算」の考え方と連動し、2月の補正予算も加えた総額は約471 億円を確保し、前年度と比較して、約61 億円の増加となっています。これにより、新年度の一般会計は、過去最大の予算案を編成することとなりました。
予算の内訳は、
一般会計において 3,253億円、
特別会計において 2,405億2,610万円、
企業会計において 764億4,720万円、
全会計で 6,422億7,330万円です。

(情報発信力の強化)
 次に、「情報発信力の強化」についてです。市政情報は、月1回各戸にお届けしている広報紙、ケーブルテレビを利用した市政広報番組、幅広い方が利用できるホームページなどを活用し、生活や暮らしに必要な情報をお届けしています。これらの媒体は、市政情報を正確に伝えることを主眼に置いた情報提供手段ですが、市役所が情報を伝えたつもりでも、市民の皆さんに知っていただきたい情報が伝わっていない現実にしばしば直面し、情報発信方法に改善の余地があることを痛感しました。そこで、市民の皆さんが単に情報を受け取るだけではなく、当事者意識をもって「静岡市のまちづくりに役立つ行動をしたくなる」ような戦略的な発想をもった情報発信はできない
ものかと、専門家のアドバイスにも耳を傾けながら試行錯誤を重ねてきました。その結果、戦略広報には3段階のプロセス((1)人々が情報を「認知」する、(2)その内容をよく「理解」する、(3)その上で「行動」につながる)が必要で、その方面に通じた民間のエキスパートを迎え入れようという決断に至りました。こうして昨年秋に、初めて戦略広報監の公募を行い、想定以上の500 人を超える応募者があり、選考の結果、企業プロモーションの実績を持つプロフェッショナル人材を採用することとなりました。4月から新任の戦略広報監を、本市の情報発信の司令塔に据え“伝える広報”から“伝わる広報”への転換を加速させていきます。

(生産性の高い行政運営)
 次は、「生産性の高い行政運営」についてです。これまでも不断の行財政改革に努めてきましたが、より高い成果を上げるために内部統制の充実を図りながら、以下の3つの取組を重点的に進めていきます。
 一つ目は、「職員の働き方改革」です。職員が個々の能力をさらに発揮し、より質の高い市民サービスを提供します。民間では、急速な進歩を見せるICT 技術を最大限に活用した柔軟な働き方を「テレワーク」で実現する動きが見られます。そこで、本市でも外出先や自宅などで仕事ができるモバイルワーク勤務に向けた環境づくりに取り組んでいきます。
 二つ目は、「政策施策評価制度の充実」です。PDCA をより確実に回し、精度を上げていきます。従来型の、実績のみに着目した評価を見直し、政令指定都市では初めて、事業の戦略・計画、実施過程や効果を一体的に、市民の皆さんをはじめ有識者、職員らが協働で評価していく「協働型プログラム評価」に取り組み、政策施策の質の向上を図ります。
 三つ目は、「職員のおもてなしマインドの向上」です。職員の市民応対力を高め、来庁された皆さんが気持ちよく利用できる静岡市役所にしていくため、職員コンシェルジュの養成研修のさらなる充実を図るとともに、昨年より実施し多くの方にご満足をいただいている3区役所における「おくやみ窓口」の実績を踏まえ、窓口サービスの向上に取り組んでいきます。

【主要事業について】

次に、令和2年度に実施する主要事業について、ご説明申し上げます。 (5大構想)  はじめに、最重要施策群≪3次総「5大構想」≫の概要です。  まず≪歴史文化の拠点づくり≫については、駿府城公園周辺地区の核となる歴史文化施設の整備に着手するとともに、フィールドミュージアム化に向けて、駿府城跡天守台遺構の野外展示の設計に取り組みます。  次に≪海洋文化の拠点づくり≫については、「清水みなとまちづくりグランドデザイン」に基づき、日の出地区の核となる「(仮称)海洋・地球総合ミュージアム」、江尻地区の核となる新清水庁舎の整備に着手します。  次に≪教育文化の拠点づくり≫については、東静岡・草薙地区を主な対象に「駿河学びのまちづくりグランドデザイン」を策定するとともに、静岡大学将来構想協議会の運営を通じ大学関係者との連携を深めます。  次に≪『健康長寿のまち』の推進≫については、「(仮称)認知症ケア推進センター」を開設し、認知症に悩む本人をはじめご家族の皆さんの“駆け込み寺”として相談の場を設けるなど支援体制の強化に着手します。  最後に≪『まちは劇場』の推進≫については、四季折々に開催されるフェスティバルをパッケージ化し、そのブランディングとPR を図り、一年を通して多種多彩なエンターテインメントが楽しめるまちを実現します。

(分野別政策1 観光・交流)

 次は、≪3次総≫の事業のうち主な新規ならびに拡充する事業について、10 の政策分野別にご説明申し上げます。

(分野別政策1 観光・交流)
 一つ目は、<観光・交流>分野についてです。
 本市が擁する駿府城跡や清水港などの豊かな地域資源を、より一層磨き上げるとともに、日常に驚きと感動を与える≪『まちは劇場』の推進≫との相乗効果の下、交流人口の増大を促し、地域経済の活性化を図っていきます。
 まず、地域資源を生かした観光振興に関する取組です。
 はじめに、駿府城公園周辺地区です。令和4年度のオープンを目指す歴史文化施設や、駿府城跡天守台遺構の野外展示化に加えて、中堀の水面を一周する「(仮称)葵舟」について、事業者の公募を実施し、秋には本格運行を開始します。また、昨年春に開催した「今川義元公生誕500 年祭事業」のレガシーを継承して、JR 静岡駅北口の一角に義元公の銅像を設置したり、今川氏の功績を学ぶシンポジウムを開催したりするなど、引き続き静岡商工会議所などとの官民連携の下、顕彰事業を実施します。一方、麻機街道沿いの静岡浅間神社から臨済寺までの区間を、新たに「(仮称)今川歴史街道」として打ち出し、統一的なデザインの看板の設置などを進めます。
 次に、清水港ウォーターフロント地区に関する取組です。昨年夏に開催した「海フェスタしずおか」などの「清水港開港120 周年記念事業」を起爆剤として、清水港線跡の遊歩道や島崎町交差点の整備を行い、歩行者のネットワークを形成することにより、地区内の回遊性を高めます。一方、重要な観光資源になりうる駿河湾フェリー事業については、富士山の眺望を楽しむことができる伊豆地域への海上アクセス手段として、その強みを活かした付加価値を高め、県をはじめとした関係自治体との連携の下、運航継続への支援と利用促進を行います。また、日本平から清水港を望む夜景が「日本夜景遺産」として認定されたことを追い風にして、清水市街の夜景資源のブランディングを進め、交流人口の拡大につなげます。
 続いて、プラモデル産業を活かした新たな取組です。
 これまで本市では、毎年全国から多くのファンが集まる「静岡ホビーショー」の開催支援など様々な取組を行ってきました。その実績を踏まえ、新年度から「静岡市プラモデル化計画」事業に着手します。その第一弾として、プラモデルを題材としたインスタ映えのする看板やベンチなどを「プラモニュメント」と命名し、街角の随所に設置します。個性的なデザインとすることで、SNS による拡散を促し、話題性に富んだシティプロモーションを行います。
 最後に、≪「まちは劇場」の推進≫の取組です。
 春夏秋冬それぞれのフェスに加えて、7月には制作期間3年間の集大成となる「市民参加型舞台公演」を開催するのに続いて、11 月には全国の伝統芸能や祭りが集結した「地域伝統芸能全国大会しずおか大会」を開催します。

(分野別政策2 農林水産)

 二つ目は、<農林水産>分野についてです。
 南アルプスから駿河湾に至る広大な市域によってもたらされる豊かな自然の恵みを活用し、長きにわたり営まれてきた農林水産業を積極的に支援するとともに「オクシズ」「しずまえ」の認知度と求心力をさらに高めていきます。
 まず、農業振興に関する取組です。
 本市の農業に係る大きな行政課題は、農業所得の向上と担い手の育成です。農家の皆さんが安心して生業を続けられるよう、県やJA など関係機関との連携の下、農業の生産性向上に向けた「畑地帯総合整備事業」の実施に積極的に取り組みます。一方、農業現場では、省力化や人手の確保、労働負担の軽減が喫緊の課題となっています。そこで、ロボットやIoT 技術などを活用したいわゆる「スマート農業」の導入についての支援を行います。
 また、中山間地域を中心に、野生鳥獣による農作物の被害が深刻化しています。このため、地域が共同で農地を柵で囲う「防除」や野生鳥獣が棲みつかないようにする「棲分」に対する支援を拡充し、静岡型鳥獣対策を推進します。さらに、高齢化や後継者不足などによって荒廃した農地を、意欲のある担い手に引き継ぐことによって再生させる「荒廃農地再生・集積促進事業」を新たに開始します。
 本市の代表的な農産物である「お茶」については、東京2020 大会に合わせ首都圏で開かれる、全国のホストタウンが一堂に集まるイベントに出展し、ヨーロッパなど海外諸国に向けてのPR 活動を実施します。加えて、中山間地域に点在する小規模な茶園整備についても、支援を拡充します。
 次に、本市が栽培発祥の地である「山葵」については、10 月に市内で開催する「第54 回全国わさび生産者大会」において、世界農業遺産として国際認証された「静岡水わさびの伝統栽培」を前面に打ち出し、独自の栽培方法や山葵の味覚と風味を、五感で感じられるようなPR 活動を実施します。
 次に、「オクシズ」「しずまえ」に関する取組です。
 「オクシズ」地域においては、買い物などの生活に必要な機能が確保された「生活拠点」の形成に向けて、地域の皆さんとともに検討を進めます。
 また、森林環境譲与税を財源とし、森林環境教育などの啓発事業や手入れが行き届いていなかった森林、林道の整備や、都市部での「オクシズ材」の利用促進を図ることにより、森林の持つ公益的機能を維持します。
 「しずまえ」地域については、一昨年からの「桜えび」の不漁による不安を少しでも取り除けるよう、漁場環境調査に着手するとともに、桜えびの資源量調査に対する支援を実施します。加えて、融資制度や助成制度も継続させるなど、由比・蒲原地区の皆さんに寄り添った支援を進めます。また、用宗地区では、丸子地区と連携して行う、港で水揚げされる海藻「アカモク」と丸子名物「とろろ」を使った新メニューや特産品の開発などを支援します。
 

(分野別政策3 商工・物流)

 三つ目は、<商工・物流>分野についてです。
中部横断自動車道の整備や大谷地区における日本平久能山スマートインターチェンジの開設など、着々と進む社会基盤の整備に合わせ、地域経済をけん引する産業の育成や企業立地の促進、中小企業の振興を図っていきます。
 まず、地域経済をけん引する産業に関する取組です。
 清水区では、本年に予定される中部横断自動車道の開通に伴って、飛躍的にヒト・モノの交流が促進されることから、清水港後背地エリアにおいて新たな賑わい創出を目的とした構想の検討に向けた調査を進めます。
 駿河区では、昨年9月に開通したスマートインターチェンジ周辺の大谷・小鹿地区において、区画整理事業を加速させていきます。まずは基盤整備が進む北側の恩田原・片山エリアにて「ものづくり」をテーマに工業・物流機能を担う産業集積を進め、続いて南側の宮川・水上エリアでは、早期に区画整理組合準備会を設立し「健康・スポーツ・農と食」をテーマに交流機能を高める産業集積を図ります。
企業立地については、全国の自治体に先駆けて参画した「We Work」を拠点に引き続き、首都圏の企業や人材の誘致を進めるとともに、さらなる企業用地の確保を目指し、地域経済をけん引する事業所を、市街化調整区域の性格を変えない範囲で立地できるような制度の運用を開始します。

 次に、中小企業支援に関する取組です。
 まず、昨年4月に制定した「静岡市中小企業・小規模企業振興条例」に基づいて、情報通信技術の活用などにより生産性向上を支援する「IT なんでも相談窓口」や、事業承継を円滑に進める後継者のマッチングなどの支援を実施します。一方、首都圏での販路拡大を目的としたテストマーケティングやイベント開催を、連携中枢都市圏を形成する5市2町と一体となって進めます。
 また、緊要な課題である若年層の人材の確保については、地元への就職が将来の選択肢の一つとなるように、静岡商工会議所など各種団体との官民連携の下、現役高校生や大学生に向けたキャリア形成支援プログラムの開催や企業の紹介冊子の配布などを行います。
 さらに人材の育成については、複数の企業で協力して実施していく方が、一企業単独で行うよりも効果が高まるため、企業間の人事交流などにより相互のノウハウを共有する「社会人インターンシップ」事業を実施します。
 最後に、ワークライフバランスの向上への取組です。国との連携の下で取り組んだ「プレミアムフライデー」事業の3年間の成果と教訓を踏まえて、殊更に消費喚起を促していくイベント展開でなく、一連の働き方改革を一層推進することによる「豊かな時間づかい」の
ライフスタイルを提案するなど、引き続き粘り強く取り組みます。
 

(分野別政策4 文化・スポーツ)

 次に、<文化・スポーツ分野>についてです。
 観る者に感動を与え、日々の生活に潤いをもたらす音楽やスポーツ、大道芸や舞台芸術などの魅力を活かし、市民の皆さんが心豊かに人生を謳歌して過ごすことができるまちを目指していきます。
 まず、スポーツに関する取組です。
 この夏の東京2020 大会の開催期間中に、静岡にいながらにしてオリンピック競技会場の臨場感を体験できるような「ライブサイト」を
青葉緑地にて開催し、中心市街地の賑わいを創出します。
 次は、音楽やスポーツなどを楽しむ拠点としてのハード機能の強化です。年間約50 万人が利用する市民文化会館は、オープンから42 年となるため、求められている水準を満たす施設となるよう大規模なリノベーションに向けた検討を進めます。また、プロスポーツの試合や大規模コンサートを開催する「アリーナ」は、一層のMICE 推進の観点からも、交流人口の増加と、にぎわいの創出に有効な社会インフラです。最適なサービスが提供できる民間主導のアリーナの誘致に向けて、様々な条件を整理しながら、必要な調査と検討を行い、建設地を決定します。一方、5月に開設3周年を迎える「東静岡アート&スポーツ/ヒロバ」についても、引き続き官民連携の下、魅力的なイベントを誘致開催に導きます。

 次は、人材育成に関する取組です。
 まず、「静岡シチズンカレッジ こ・こ・に」事業の刷新です。「まちづくりは人づくり」との設立理念をもって開校した「こ・こ・に」は、平成30 年度までに1,000 人以上の修了生を輩出し、今では本市の人材養成事業の柱となる事業として発展しています。それぞれの講座修了生は自治会の役員として、日本茶インストラクターとして、小学校の教員として、そして各種審議会の公募市民委員としてなど、多方面で活躍しています。そこで新年度は、今後増加する外国人の方々を地域で受け入れできる体制づくりの一翼を担う人材開発を目的に、専門課程「多文化共生サポーター養成講座」を新たに加え、人材育成のすそ野を広げます。
 次に、「ふるさと応援寄附金」を活用する新たな制度の開始です。本事業は、ふるさと納税に際して、地域貢献に取り組むNPO などの団体が実施する事業などに使途を指定することができる仕組みで、全国的にも画期的な取組です。これは市議会本会議での提言を受けて制度設計の検討が始まったものであり、今後、教育・福祉・防災など社会の各分野で地域貢献に鋭意取り組む民間団体の活性化につながっていくことが期待されます。
 最後は、市民協働の拠点施設となるハード機能の充実です。清水区飯田地区・船越地区の生涯学習交流館の建替えを進めるほか、葵区安東地区の中央図書館のリニューアルに向けて大規模改修を行います。

(分野別政策5 子ども・教育)

 次に、<子ども・教育>分野についてです。
 子どもを産みやすいまちであり子育てしやすいまち、そして子どもがたくましくしなやかに育つまちを目指して、妊娠、出産から学童期、青年期まで、切れ目のない支援を行っていきます。
 まず、子ども・子育てに関する取組です。
「子育てしやすいまち」として、引き続き保育園などの待機児童ゼロを実現します。放課後児童クラブについても新しく4つのクラブを確保し、待機児童ゼロを目指すとともに、開所時間についても市内すべてのクラブでの、午後7時までの延長を実現します。一方、放課後子ども教室については、新たに7校で開設し、全82 校での実施となり、放課後の子どもたちの過ごし方を地域の教育力を活かしてサポートする体制を構築します。
 「子どもが良く育つまち」として、困難を有する子ども・若者への支援を強化します。不登校・ひきこもり対策として、区ごとで適応指導教室を実施するほか「ひきこもりサポーター」の養成や派遣を拡充し支援体制を充実します。また、「里親リクルーター」を配置して、里親登録者の増加につなげていくとともに、里親家庭へのサポートとして訪問相談を行う期間を延長するなどの支援策の拡充も図り、全国的にも上位となる里親委託率50%の達成を目指します。

 次に、学校教育に関する取組です。
 まず、教育現場においては、本事業も市議会本会議での提言が契機となって検討を進められましたが、35 人学級編制の下限を撤廃し子どもたち一人ひとりに寄り添ったきめ細やかな指導体制を実現します。同時に、しずおか学と英語を核とした小中一貫教育を推し進め、故郷に誇りを持ち、世界で活躍していける“グローカル”な子どもを育てます。
 次に、教育環境の整備については、コンピュータを活用し自ら主体的に学ぶことのできる環境をつくるため、必要な学年に対して一人一台のタブレット端末を用意する取組を計画的に進めます。学校施設面では、小学校に続いて中学校の普通教室及び小・中学校の図書館へのエアコン設置を新年度中に完了させるとともに、トイレリフレッシュ事業を実施するなど、学校環境の充実を図ります。
 続いて、子どもの困難に寄り添う取組としては、不登校児童生徒に対する訪問教育相談員の配置拡大や、本市独自の自閉症・情緒障害学級の学習指導体制の充実として、対象となる学校に対して教員を追加配置するなど、きめ細かな対応をします。
 一方、中山間地域では、葵区玉川地区において、市内5校目となる施設一体型の小中一貫校に移行するとともに、清水区両河内地区においても、小中一貫校に向けた設計に着手し、小規模校の教育環境の整備を図ります。

(分野別政策6 都市・交通)

 次に、<都市・交通>分野についてです。
 ≪5大構想≫に掲げる静岡都心、清水都心、草薙・東静岡副都心のまちづくりを推し進めるとともに、重要な社会インフラである公共交通の充実や、憩いの場となる公園などの住環境の整備に取り組んでいきます。
 まず、≪世界に存在感を示す3つの都心づくり≫に関する取組です。はじめに静岡都心では、旧青葉小学校跡地に新設する歴史文化施設へと誘う動線である追手町音羽町線を完成させるとともに、北街道の道路空間のリニューアルに向けた設計に着手します。御幸町通りでは、専門学校の入居が予定されている御幸町9番・伝馬町4番地区の市街地再開発事業を進め、新たな人の流れを創出します。
 次に清水都心では、日の出地区において令和5年度中の開館を目指して(仮称)海洋・地球総合ミュージアムの運営を担うPFI 事業者の選定を進める一方、オープンへの期待感を高めるミュージアムプレ事業を実施します。また江尻地区においては、令和4年度中の完成を目指した新清水庁舎の整備を図るため、PFI 事業者と本契約を締結するとともに、JR 清水駅と新庁舎を結ぶペデストリアンデッキ(道路上空通路)の設計を進めます。
 続いて草薙・東静岡副都心では、JR 草薙駅周辺地区において、県内初の都市再生推進法人「草薙カルテッド」と連携したまちづくりを継続します。

 次は、交通手段に関する取組です。
 高齢化社会に求められるコンパクトシティ形成に向けて、中山間地域を含めた市内各所から、様々な交通手段の組み合わせにより、安心、安全に3つの都心拠点にアクセスできる仕組みを整備します。
 まず、昨年葵区にてAI 相乗りタクシーを中心として行った「MaaS」の実証実験を、区域や交通手段を拡大して実施します。また、公共交通機関それ自体が重要な社会基盤の一つと認識し、地域が主体となって行う交通弱者対策事業の補助率を拡充します。一方、最も身近で便利な交通手段である自転車については、民間事業者と連携したシェアサイクルの運用を開始して、市民の皆さんだけでなく本市を訪れる観光客の皆さんにも、自転車を使って快適に市内を移動できるような環境を整備します。
 最後に、公園や住宅などに関する取組です。
公園の整備・管理に、民間事業者のアイデアを活用するPark-PFI 制度を葵区の城北公園において、初めて導入します。また、駿河区の大浜公園ではPFI 制度により、リニューアルに向け、事業者への聞き取り調査を実施します。このほかの大規模な公園については、日本平夢テラスの設置でにぎわう清水区の日本平公園のさらなる整備や葵区麻機地区の体験型親水公園あさはた緑地の整備も進めます。一方、住宅政策としては、増加する空き家への対応策の検討に向けて実態調査を行います。
 

(分野別政策7 社会基盤)

 次に、<社会基盤>分野についてです。
 地球規模の気候変動に伴って激甚化する風水害などの自然災害に対処するとともに、都市成長の基盤となる道路や橋梁などの建設・維持を計画的に推進することにより、強靭かつ持続可能な社会基盤を整備していきます。
 まず、自然災害に備える社会基盤に関する取組です。
 はじめに浸水対策については、近年、多発する局地的な大雨や集中豪雨に対し、浸水対策推進プランに基づいて、清水区高橋地区の雨水ポンプ場の整備や、清水区馬走地区の河川改修、さらには葵区城北地区の雨水幹線の整備など、風水害の被害を軽減させる施設建設を着実に推進します。
 次に地震対策については、清水区蒲原地区において、向島排水樋管の耐震化とともに自動閉鎖化工事を行うことにより津波への備えを進めます。また、大規模地震時の迅速な復旧復興へ向け、国道150 号などの沿岸部の幹線道路などにおいて、引き続き地籍調査を実施します。
 土砂災害対策については、急傾斜地崩壊危険区域の指定に必要な測量を鋭意進めます。同時に、すでに整備されたインフラの維持管理・更新を図っていくために、トンネルや橋梁などのメンテナンスサイクルを確実に回すことによって各インフラの長寿命化を推進し、アセットマネジメントに取り組みます。

 次に、地域の活性化を支える社会基盤に関する取組です。
 引き続き、中部横断自動車道に接続する国道1号静清バイパスの清水立体事業や、清水富士宮線の整備事業に取り組んでいくとともに、
日本平久能山スマートインターチェンジの利便性向上に向け、アクセスを担う国道150 号や山脇大谷線の整備を進めます。
 道路利用者の安全性・快適性の向上については、通学路や自転車走行空間、バリアフリー化の整備を推進し、安全で快適な道路空間を創出する一方、電線類の地中化事業を進めて道路上の電柱を無くすことにより、快適な歩行空間と景観を確保するとともに、大規模災害時における電柱の倒壊による道路閉塞を防ぐなど、防災機能の強化も図ります。
 市民生活に必要不可欠な上下水道事業については、経営の効率化に一層努め、直営方式を維持するとともに、昨年度に策定した「経営戦略」に基づき事業を着実に推進します。上水道事業では、基盤強化を図るため耐用年数を超えた水道管や城内配水場など老朽化した施設の整備を加速し、財源の確保について市民の皆さんに十分説明し、ご理解をいただくよう努めます。一方、下水道事業では、緊急輸送路に埋設された管路や、災害時の避難所と浄化センターを結ぶ重要管路などの耐震化を推進するとともに、老朽化した管路や施設の改築などを計画的に実施します。
 また、新たな試みとして、女性技術職員の交流機会を創出します。
 

(分野別政策8 健康・福祉)

 次に、<健康・福祉>分野についてです。
 団塊の世代に属する市民の皆さんが後期高齢者となる2025(令和7)年まであと5年、住み慣れた地域で自分らしく暮らせる“自宅でずっと”を支える「静岡型地域包括ケアシステム」の整備を推し進めていきます。
 まず、認知症に関する取組です。
 近年、増加傾向にある認知症については、そのサポートに関する取組の充実を図ります。これまでも認知症対策として、様々な施策を展開してきましたが、より一層の支援体制の強化を期して、新たに葵区七間町の交通アクセスに優れた便利な場所で「(仮称)認知症ケア推進センター」を開設します。このセンターは、認知症本人や家族に対して総合的な支援を行う拠点施設としての役割を果たし、本人への生活支援や日々の生活における困りごとの解決に対応し、認知症になっても希望をもって暮らし続けられるようなサポートをするとともに、認知症の方を支えている家族の皆さんに対する相談事業も実施します。さらに、認知症などにより判断能力が低下してしまった場合にも安心して生活ができるよう、中核機関として静岡市中央福祉センターに「成年後見支援センター」を開設して専門相談機能の充実を図るとともに、各区に相談窓口を設置することにより、市民の皆さんが身近で気軽に行政のサポートを受けられる体制を整備します。

 次は、人生100 年時代に関する取組です。
 「生涯活躍のまち静岡(CCRC)」の取組については、駿河共生地区において、民間活力の導入により地域・多世代交流型住宅を整備し、地域福祉共生センター「みなくる」との相乗効果の下、≪健康長寿のまち≫の先進モデル地区としての整備を図ります。
 また、高齢者の就労支援については、昨年6月に開設したシニア向け就労サポート窓口「NEXT ワーク しずおか」を拠点として、新年度は清水区での出張相談会の開催など、さらなるマッチング支援を進めます。
 続いて、医療に関する取組です。
 地域医療の充実については、各種医療機関の夜間・休日の患者受入体制の確保に加えて、救急医療など地域に不可欠な役割を担う公的病院に対する助成や、山間地診療所に対する運営費助成を拡充します。
 がんへの対策については、昨年施行された「静岡市がん対策推進条例」に基づいて、とりわけ「予防」の観点から、早期発見・早期治療につながる各種がん検診を実施します。特に大腸がんについては、働き盛りの40 代からの罹患率が上がることから、「国保特定健診」と同時に受診した場合は検診料が無料となるよう、新たな仕組みを構築します。併せて、がんを発症した場合であっても、患者の悩みや不安を軽減し、自分らしく生きるための支援制度の拡充も行います。
 

(分野別政策9 防災・消防)

 次に、<防災・消防>分野についてです。
 大規模な被害が想定される「南海トラフ大地震」だけでなく、頻発する風水害などに備えるため、自助・共助・公助の考え方の下、被害を最小限に食い止める危機管理体制を整備していきます。
 まず、災害発生時における情報伝達に関する取組です。
 本市でも、昨年の台風第19 号上陸の際に、自主的に避難された方々が約3,000 人に上るなど多くの方々が不安の中、長い夜を過ごされました。災害時において、市民の皆さんは、正確に、可能な限り早く、被害や避難状況などの災害情報を求めています。それを踏まえ、災害発生時に、的確に必要な情報提供ができるよう、市のホームページに災害情報の総合ポータルサイトを新たに整備します。また、これまで重要な情報伝達手段となってきた同報無線についても、現在のアナログ方式からデジタル方式へ更新するための検討を進めます。
 次に、風水害などによる土砂災害に関する取組です。
 市民の皆さんにとって、日頃から自ら住んでいる地域がどのような地形であるのか、どのような災害リスクがあるのかを把握しておくことは、万が一の時に大変有効です。そこで、これまで使用してきた洪水や内水、土砂災害のハザードマップを、すべて最新の状態に更新し配布するとともに、ハザードマップを活用した啓発活動を一層進めます。
 続いて、災害に対応するハード整備に関する取組です。
 沿岸部の施設については、津波避難タワーなどの整備を進め計画された全19 基のうちの最後の1基が完成します。今後も既存の建物を活用した津波避難ビル指定などと合わせ、沿岸部の避難場所確保に努めます。
 また、用宗漁港については、漁港の周囲に胸壁を設置します。令和4年度中の完成を目指し、地域の皆さんとの協議を重ね、港の景観と安全確保の両立に十分に配慮しながら、整備を実施します。
 一方、民間建築物などの耐震対策については、過去の地震で大きな被害を出した家屋やブロック塀倒壊などの教訓を活かし、被害を最小限に抑えるため、危険なブロック塀の撤去や木造住宅などの耐震化を支援します。
 最後に、消防力に関する取組です。
 まず、救急体制の一層の充実についてです。救急件数は、日中の時間帯が全体の約半数を占め、その件数は年々増加しています。これを踏まえて新年度中に、日中の時間帯に特化した日勤救急隊を新たに清水消防署に設置し、病院到着までの時間短縮や救命率向上を図ります。
 次に、消防団員の確保対策については、団員の減少による災害対応力の低下を防ぐため、新たに災害活動のみを任務とする機能別団員制度を導入し、地域防災力の充実、強化を行います。
 

(分野別政策10 生活・環境)

 次に、<生活・環境>分野についてです。
 地球温暖化の解決に向けて、豊かな自然環境を次代に引き継いでいくとともに、本市で暮らす様々な人々が、性別ジェンダーや年齢や国籍を超え互いを尊重し、安心・安全に住み続けられるまちを目指していきます。
 まず、環境保全などに関する取組です。
 はじめに、地球温暖化については、温暖化を抑える「緩和策」と、人間社会が温暖化に対し適応していくための「適応策」とを車の両輪として推進します。まず、緩和策では、温室効果ガスの削減目標を達成するための賢い選択、国民運動である「クールチョイス」のさらなる普及に向け、清水エスパルスや大手家電量販店、住宅展示場などと協働した啓発活動を進め、新たに1万人以上の賛同者の確保を目指します。一方、適応策では、各分野で進める取組を適応の視点から横断的に取りまとめた「気候変動適応策アクションプラン」を策定し、適応に係る市民や事業所の皆さんの理解を深める事業を展開します。
 また、喫緊の課題である海洋プラスチックごみの対策や食品ロスの削減については、使い捨てプラスチックから代替素材への転換を促進する一方、3010 運動などの食品ロス削減に向けた啓発事業に加え、市民の皆さんの実践的な行動である“やってみる”につなげる施策を進めます。

 南アルプスユネスコエコパークについては、交通アクセス向上を図るため、トンネル新設を含めた三ツ峰落合線や南アルプス公園線、林道東俣線に加えて、川根本町につながる閑蔵線の整備を着実に進めます。また、リニア中央新幹線建設工事については、一昨年、JR 東海との間で締結した基本合意に基づき、本市が求めている水資源の確保を含めた環境保全と地域振興の両立が図られるよう、引き続き協議を進めます。
 最後に、市民の皆さんの暮らしや生活に関する取組です。
 近年とみに増加している高齢運転者の交通事故対策については、新たに後付け式「急発進抑制装置」の取付けに対する支援を実施します。また、昨年5月に発生し多くの子どもたちが犠牲になった川崎市での路上殺傷事件を受け、公用車の青パト化・しずおか防犯パトロールの推進を図ります。また、成年年齢が18 歳へ引き下げとなったことによる未成年者への被害に対する抑止対策については、中学校全校への配布を予定している副教材を全面的に改訂します。最後に、多様性を受け入れる地域社会の実現に向け、LGBT に関するセミナーをさらに幅広い層に対して実施するなど、誰もが自分らしく生きられるまちづくりを進めます。
 

以上、新年度当初予算案の重点事業に位置付けた≪5大構想≫をはじめ、
≪3次総≫に登載された主要事業の大要を申し上げました。

【むすびに】

 2024(令和6)年から発行される、新しい1万円札の肖像画に決まった渋沢栄一翁は、今から151 年前の1869(明治2)年の春、現在の葵区紺屋町の一角にて「商法会所」という名義で「商会」を設立しました。これは、金融と商社の機能を合わせもったような組織であり、商家や農家へのお金の貸し付けや、物品の売買など行っていました。当時、渋沢翁は29 歳。以来、91 歳で亡くなるまでの62 年間で、彼が設立に関わった会社は実に約470 社、さらに500 以上の教育福祉事業にも関わり、後に「日本近代資本主義の父」と称される生涯を送りました。
 渋沢栄一翁の訓話が集められ、1927(昭和2)年に出版された「論語と算盤」の中に、渋沢栄一翁の経営哲学の要諦である「道徳経済
同一説」が記されています。その要旨は、次の通りです。「実業とは、多くの人々にモノが行き渡るようにする社会の大切な営み
であり、人々の生業である。これが完全でないと“国の富”は形にならない。では“国の富”をなす根源とは何かといえば、それは、社会の基本的な道徳を基盤とした正しい素性の富でなければならない。そうでなければ、その富は完全に永続することができないのである。ここにおいて『論語』と『算盤』というかけ離れたものを一致させていくことが、今日の急務であると、自分は考えている。」
 
渋沢栄一翁は、武蔵国の農家に生まれ、徳川慶喜公の幕臣として仕え、諸外国に渡航し学び、明治政府の行政官として執務し、そして野に下って数多くの企業・団体を創業した偉人です。その人生経験の集大成として、行き着いた信念が「いかなる時代に、いかなる国家で始める事業であろうと、人間が取り組む事業はすべて、公益を追求する『道徳』と、利益を求める『経済』とが両立していなければ、永年にわたって持続可能なものにはならない」という「道徳経済同一説」でした。私はこの事を知って、思わず膝を打ちました。「本市がなぜ、『みんなの力で創る、静岡。』を合言葉に≪3次総≫を官民連携の下で推し進めているのか」「本市がなぜ、国連が提唱する「SDGs」と結びついた≪3次総≫を推し進める意味があるのか」との問いかけに対する明快な答えを教示されたと直感しました。
 私は新年度も、本市ゆかりの渋沢栄一翁の来歴に学び、確固たる歴史観をもって、常に「社会性と経済性の両立」を意識した市政運営にあたります。そして「静岡市がひとつになって、世界に挑んでいく」という、令和の時代に与えられた本市の使命を果たしていく先頭に立つ覚悟です。

 以上、令和2年度に向けての施政方針を申し上げました。
 議員各位をはじめ、広く市民の皆さんの、一層のご理解、ご協力を重ねてお願い申し上げます。ご清聴ありがとうございました。

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