井上道博氏
松尾:それに向けて何か動いていますか。
井上:色々な企業の方に一緒に取り組みませんかと声掛けをさせていただき、企業間の繋がりはかなり増えてきています。NPOに対してはまだ支援をするという形でしかないのですが、もう少し対等な関係で取り組めるような動きもいくつかあります。ただ、成功しているかと言えるかは難しいです。元々多様な方たちがいるので、何か一つのことをやっても、100人がいいよねとか100人が合っていると言うことはないのです。そう言うこと自体がおかしいので。逆に100人がいいと言っていることは、本当に皆の意見を拾えているのかと思うようにしているので、愚直にこのトライアルを止めないようにしたいです。企業はリスクヘッジのために、「これ大丈夫かな。これ反対する人がいるんじゃないか。」と思うとやはりやらない訳です。そうすると、ずっと社会が変わらないので、その一歩を踏み出せる企業をどれだけ多く増やしていくかということが重要です。「合っている」「合っていない」と言うことすらできない社会になっているのがおかしいです。
この前、東京の店舗のジュエリー売り場で、男性同士2人が来てくれて、ペアリングを買ってくれたらしいのです。販売員が聞くと、「僕たちが住んでいる地方では、とても二人でペアリングを買いに行けない。でも丸井だったら買えるかもと思って来ました。」と2人で楽しそうだったと。こういう事例をどれだけオープンにしていくか、もっともっと発信していきたいと思っています。
松尾:私は小学生から大学生までの話を聞くことが多く、学校卒業以降についてはよく知らないのですが、学校卒業後子どもたちがどうなるのだろうとの心配が今の話を聞いて期待に変わりました。
井上:心配ですよね。大学の先生からよく相談されるのですが、私たちが信念を持って、良い学校にしているのだけれど、「就職活動の時にどうですか。」、「会社に入ったら誰にも言えなくなりました。」という学生の相談が多いそうで、もう少しNPOや学校、企業の取組を繋ぐということをしていく必要があります。企業は良くも悪くも学校と少し違うのは、一つの物差しや決まりで企業活動をしていくので、多様性を認めることが企業のプラスになるというのをどれだけ植え付けるかだと思います。多様な人々が自分らしさを最大限に発揮して仕事ができることが企業のイノベーションと利益に繋がるということ、そこさえできていれば別に同性愛者でもトランスジェンダーでも自分らしさを出して働いてくれることが企業のプラスになるということをどれだけ具体的に示せるかということだと思っています。
弊社に対して、「そこまで活動しているのなら、LGBTQの社員でカミングアウトした人は何人いますか。」とよく聞かれるのですが、会社でオープンにカミングアウトしている社員は今のところいません。なぜかと言うと、当事者の社員は、「自分がゲイだと言ったところで会社にとって何かプラスになるのですか。同性愛者ということを生かして企業が伸びていったり、そういう仕事ができるのだったらカミングアウトします。だから井上さんの部署に呼んでくれるのなら僕はカミングアウトします。」と言う訳です。カミングアウトすることが目的ではないし、そういうところがもう少し企業に浸透して欲しいと願っています。
松尾:学校、企業の話を伺ってきましたが、行政と連携して事業を実施されている細川さん、今後行政に望むことはありますか。
細川:他分野との連携のサポートやそれに関係付随する専門相談の整備です。「にじいろカフェ」を例に挙げても、楽しい交流だけではなく、具体的な支援や相談を必要としている人がいます。例えば、トランスジェンダーの就労の悩み、制服や名前で悩んでいることを相談したいというのがあります。また、セクシュアリティとの関連が考えられるメンタルヘルスの相談もあります。啓発をすると相談を受けることになるし、相談を受けたらそこに具体的な対応が必要になるので、啓発をする以上は就労支援や学校の対応、それからメンタルヘルスの問題などで具体的・専門的な関わりができる仕組みをセットで整備する必要があるし、これは急ぎの課題です。
井上:色々な企業の方に一緒に取り組みませんかと声掛けをさせていただき、企業間の繋がりはかなり増えてきています。NPOに対してはまだ支援をするという形でしかないのですが、もう少し対等な関係で取り組めるような動きもいくつかあります。ただ、成功しているかと言えるかは難しいです。元々多様な方たちがいるので、何か一つのことをやっても、100人がいいよねとか100人が合っていると言うことはないのです。そう言うこと自体がおかしいので。逆に100人がいいと言っていることは、本当に皆の意見を拾えているのかと思うようにしているので、愚直にこのトライアルを止めないようにしたいです。企業はリスクヘッジのために、「これ大丈夫かな。これ反対する人がいるんじゃないか。」と思うとやはりやらない訳です。そうすると、ずっと社会が変わらないので、その一歩を踏み出せる企業をどれだけ多く増やしていくかということが重要です。「合っている」「合っていない」と言うことすらできない社会になっているのがおかしいです。
この前、東京の店舗のジュエリー売り場で、男性同士2人が来てくれて、ペアリングを買ってくれたらしいのです。販売員が聞くと、「僕たちが住んでいる地方では、とても二人でペアリングを買いに行けない。でも丸井だったら買えるかもと思って来ました。」と2人で楽しそうだったと。こういう事例をどれだけオープンにしていくか、もっともっと発信していきたいと思っています。
松尾:私は小学生から大学生までの話を聞くことが多く、学校卒業以降についてはよく知らないのですが、学校卒業後子どもたちがどうなるのだろうとの心配が今の話を聞いて期待に変わりました。
井上:心配ですよね。大学の先生からよく相談されるのですが、私たちが信念を持って、良い学校にしているのだけれど、「就職活動の時にどうですか。」、「会社に入ったら誰にも言えなくなりました。」という学生の相談が多いそうで、もう少しNPOや学校、企業の取組を繋ぐということをしていく必要があります。企業は良くも悪くも学校と少し違うのは、一つの物差しや決まりで企業活動をしていくので、多様性を認めることが企業のプラスになるというのをどれだけ植え付けるかだと思います。多様な人々が自分らしさを最大限に発揮して仕事ができることが企業のイノベーションと利益に繋がるということ、そこさえできていれば別に同性愛者でもトランスジェンダーでも自分らしさを出して働いてくれることが企業のプラスになるということをどれだけ具体的に示せるかということだと思っています。
弊社に対して、「そこまで活動しているのなら、LGBTQの社員でカミングアウトした人は何人いますか。」とよく聞かれるのですが、会社でオープンにカミングアウトしている社員は今のところいません。なぜかと言うと、当事者の社員は、「自分がゲイだと言ったところで会社にとって何かプラスになるのですか。同性愛者ということを生かして企業が伸びていったり、そういう仕事ができるのだったらカミングアウトします。だから井上さんの部署に呼んでくれるのなら僕はカミングアウトします。」と言う訳です。カミングアウトすることが目的ではないし、そういうところがもう少し企業に浸透して欲しいと願っています。
松尾:学校、企業の話を伺ってきましたが、行政と連携して事業を実施されている細川さん、今後行政に望むことはありますか。
細川:他分野との連携のサポートやそれに関係付随する専門相談の整備です。「にじいろカフェ」を例に挙げても、楽しい交流だけではなく、具体的な支援や相談を必要としている人がいます。例えば、トランスジェンダーの就労の悩み、制服や名前で悩んでいることを相談したいというのがあります。また、セクシュアリティとの関連が考えられるメンタルヘルスの相談もあります。啓発をすると相談を受けることになるし、相談を受けたらそこに具体的な対応が必要になるので、啓発をする以上は就労支援や学校の対応、それからメンタルヘルスの問題などで具体的・専門的な関わりができる仕組みをセットで整備する必要があるし、これは急ぎの課題です。