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更新日:2025年11月17日
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農業集落排水事業の決算
静岡市農業集落排水事業は、経営成績や財政状況を正確に把握し、「経営の見える化」を図り、経営基盤の強化や農業集落における住民サービスを将来にわたり持続可能、且つ安定的に提供していくため、地方公営企業として経営されています。
公営企業会計の決算では、民間の企業と同じように1年間の経営成績を示す損益計算書や、財産の構成等を示す貸借対照表などの各種財務諸表を作成しています。
静岡市農業集落排水事業会計決算書
令和6年度静岡市農業集落排水事業報告書
概況
総括事項
農業集落排水事業は、農業用排水路や公共用水域の水質改善等に寄与するため、し尿や生活雑排水などの汚水等を処理する事業であり、市内には葵区8地区、清水区3地区の合計11地区で供用されています。本市では、事業経営の持続性や効率性を確保するため、令和3年3月に「静岡市農業集落排水事業経営戦略」を策定し、会計事務については、令和6年度から地方公営企業法の一部を適用しました。公営事業会計に移行することで事業に係るコスト等を明確にし、経営の透明性の向上を図り、健全化に努めております。
令和6年度末における業務状況として、処理区域内人口は令和5年度3,890人から93人減少し3,797人で、汚水処理人口普及率は80.4%となりました。また、農業集落排水への接続世帯数については、令和5年度1,387世帯から20世帯増加し1,407世帯で接続率は77.2%となりました。
次に、経営状況につきましては、収益的収支のうち収益的収入は、事業収入の根幹である農業集落排水処理施設使用料は、4,275万円となり、一般会計からの繰入金などを合わせた収入総額は、4億6,288万円となりました。また、収益的支出は、施設の維持管理等に伴う委託料や修繕費など4億1,182万円となり、この結果、当年度損益は5,106万円の経常利益が生じました。なお、一般会計補助金額を除く経常損益は1億3,856万円の損失となりました。
一方、資本的収支のうち資本的収入は、企業債の借入や国庫(県)補助金、企業債の元金償還にかかる一般会計からの繰入金など9,950万円となりました。また、資本的支出は、農業集落排水整備費に6,552万円を投じました。施設の長寿命化対策として、葵区坂ノ上処理区の処理施設内の機器・中継ポンプ施設の更新と、日向処理区の中継ポンプ施設の更新といった機能強化工事を実施しました。また今後の整備実施に向け、清水区善福寺処理区の費用対効果等算定と布沢・土処理区の機能強化工事実施設計の委託業務を実施しました。この結果、企業債償還金等を含めた資本的支出の総額は、1億9,852万円となりました。
なお、葵区油山管路施設災害復旧工事1,613万円について、建設改良費繰越により翌年度へ繰り越しております。
以上が決算概況でございますが、経済局では中山間地域の人口減少、物価・燃料費の高騰などによる投資・維持管理コストの増加に対応できる事業運営が喫緊の課題であると認識しています。
そのためにも令和6年度より開始した農業集落排水事業会計の地方公営企業法財務適用による、地方公営企業会計の原則に基づく事業運営とともに、合理的な投資・財政計画となるよう令和7年度は、最適整備構想(令和3年度策定)に基づき策定した「機能強化工事実施計画(令和4年度策定)」の改定に取り組み、引き続き、「将来にわたって良好なサービスの継続的な提供の実現」を目指し、事業の推進に努めてまいります。
経営指標に関する事項
令和6年度決算における経営成績について、経営の健全性を示す経常収支比率は、112.40%となり、健全経営の水準とされる100%を上回っています。ただし、事業運営に必要な経費に対して一般会計から補填される補助金を除いた場合は66.36%となり、収益の確保が困難な状況となります。また、汚水処理費に占める農業集落排水処理施設使用料の割合を示す経費回収率は、23.14%となりました。
償却対象資産の減価償却の状況を示す有形固定資産減価償却率は4.19%で、法定耐用年数を経過した管渠延長の割合を示す管渠老朽化率は0%となっております。また、当該年度に更新した管渠延長の割合を示す管渠改善率も0%となります。
今後、処理施設・設備や管渠の老朽化が進展するため、既存施設・設備の改築や更新とともに、再編等が必要とされる施設に対しては、効率的な施設運営ができるよう施設規模などの検討を進め、計画的に機能強化を図っていきます。