国指定史跡 賤機山古墳 印刷用ページ

最終更新日:
2020年5月26日

賤機山古墳全景

 賤機山古墳(しずはたやまこふん)は、静岡平野の中心部に突き出た賤機山の南端に造られています。当所は、標高約50m、比高差約30mの尾根上で、ここからは静岡平野を一望することができます。
 賤機山古墳は、古くからその存在が知られ、江戸時代の文献にも発見の経緯等が記されています。『駿河国志』(天明三年)、『駿河記』(文政元年)などがその主なもので、「明和年間に古墳の上の大木が大風により倒れ、根の下に穴が開いたため中に下りたところ石積みの部屋(=石室)があり、中に石櫃(=石棺)が置かれている」ことが記載されています。
 昭和24年に、後藤守一・斎藤忠両博士により初めて考古学的調査が行われました。その結果、古墳の形は直径約32m、高さ約7mと推定される円墳で、内部には巨石を積み上げて造られた巨大な横穴式石室(よこあなしきせきしつ)があり、石室内には大型の刳抜式家形石棺(くりぬきしきいえがたせっかん)が置かれていることが明らかになりました。
 石棺内は既に盗掘により荒らされ、人骨や副葬品(ふくそうひん)はほとんど残っていませんでしたが、石棺のまわりからは土器や武器、武具、馬具など質・量ともに豊富な副葬品が出土しました。遺物の検討などから、古墳は6世紀代の当地方の最有力豪族の墓であると考えられています。
 この調査成果をもとに、賤機山古墳の重要性が評価され、昭和28年には国の史跡に指定されました。
 
 現在古墳は保存整備がおこなわれ、古墳前部に解説板・野外模型が置かれています。石室内には入れませんが、入口から内部を覗くことが可能となっています。

横穴式石室

 賤機山古墳の主体部(しゅたいぶ)は巨石を積み上げて造られた横穴式石室で、現在のところ静岡県内最大の規模を誇ります。
 石室は遺体を埋葬する主室である「玄室(げんしつ)」と玄室へ至る通路である「羨道(せんどう)」(天井石が載る部分)・「前庭(ぜんてい)」(羨道より外側)とで構成され、石室の端は墳丘の裾にある「外護列石(がいごれっせき)」につながります。玄室奥壁(おくへき)から外護列石までの長さは18.2mです。
 石室は、羨道の幅が玄室の幅に比べて狭い羽子板のような平面形で、また、玄室の高さが羨道の高さの約2倍であるなど、近畿地方に典型的に見られる大型石室との共通性が認められます。
 石室の床面は、玄室から前庭部に向かって緩く傾斜し、玄室から羨道までの範囲には拳大の川原石が敷き詰められていました。また、石室は、もともと500個あまりの人頭大の川原石により石室の中と外を区切るように塞がれていました。現在はそれらの石は崩れ落ち、地面下に埋まっています。
賤機山古墳の石室の様子の写真 賤機山古墳の石室の様子の写真
賤機山古墳の石室実測図 賤機山古墳の石室実測図

家形石棺

 玄室内には遺体を納めた石棺が置かれています。
 石棺は伊豆産出の凝灰岩を刳り抜いて造られ、家の屋根の形をした蓋と箱型の身の部分からなり、全体の形から「家形石棺」と呼ばれています。
 石棺は前後の長さが2.9mを測る大型のもので、蓋には四角形の突起が左右に3対(6個)と1対(2個)削り出されています。また、蓋と身の合わせ目には、赤色のベンガラ(鉄の酸化物)が塗られていました。
賤機山古墳の石棺の様子の写真 賤機山古墳の石棺の様子の写真
賤機山古墳の石棺実測図 賤機山古墳の石棺実測図

出土遺物

 過去の盗掘により、石棺は側面に穴をあけて内部が荒らされ、棺内には金銅製冠帽(こんどうせいかんぼう)の破片やガラス玉などが僅かに数点残されていました。
 しかし、石棺の周囲からは土器(須恵器・土師器)、武具(挂甲)、武器(大刀・鉄鏃など)、装身具(金銅製冠帽・金環など)、馬具(金銅製歩揺付飾金具・鞍金具など)などのほか、鉄製工具・六鈴鏡など、質・量ともに豊富な遺物が出土しました。
 遺物の年代は、6世紀後半から7世紀前半と長期に及び、このことから石室内への埋葬行為は複数回おこなわれた可能性が認められます。
 
賤機山古墳の出土遺物 須恵器の写真 賤機山古墳の出土遺物 須恵器の写真
賤機山古墳 出土遺物の馬具の写真 賤機山古墳 出土遺物の馬具の写真

保存整備事業

 昭和24年の発掘調査時に石室石積みのズレが指摘されていましたが、その後も石室の傷みが徐々に進行し、何らかの保護策が必要になってきました。また、墳丘についても、自然的な崩壊や人為的な破壊により原形はかなり変容し、これについても対策が必要になってきました。
 静岡市では、平成元年度から検討を開始し、平成3年度からは発掘調査により古墳構造の再確認を始めました。
 そして、平成5年度から平成8年度まで保存修復工事を実施し築造当時の姿に復元整備しました。
賤機山古墳 解体整備の様子1
賤機山古墳 解体整備の様子2

アクセス方法

賤機山古墳の位置図

交通
 JR静岡駅北口バス乗場 「安東循環」線 「赤鳥居前」下車
 賤機山古墳の専用駐車場はありません。
公開時間
 午前8時~午後6時(石室内照明時間)
見 学 料
 無料
注意事項
 古墳墳丘は危険ですので登らないで下さい。
 古墳内及び周辺は、禁煙火気厳禁です。
 ゴミ、空き缶空きビンなどは各自お持ち帰りねがいます。

学校等団体による見学のお申込み

 団体(小学校等)で、国指定史跡賤機山古墳の見学をご予定される場合は、事前に静岡市文化財課までお問い合わせください。
 見学にはお申込みが必要です。次の書式をダウンロードし、必要事項をご記入のうえ、下記の宛先にお送りください。

<団体見学受入れについてのお知らせ>
新型コロナウィルス感染拡大防止のため、ご見学に際しては、以下のとおりご理解・ご協力をお願いします。

団体見学者の皆様へのお願い
(1) 発熱やせき・のどが痛いなど、風邪の症状がある場合は、見学をご遠慮ください。
(2) 見学する方は、マスクを着用してください。マスクが無い場合は、ハンカチやタオル等を使用して、 飛沫感染対策を行ってください。
(3) 見学する際には、手指を消毒してください。
(4) 石室内の混雑を防止するため、入室制限を行う場合があります。ご了承ください。

安心・安全にご利用いただくため、皆様のご理解・ご協力をお願いいたします。

【お問い合わせ・お申込み先】
〒420-8602 静岡市葵区追手町5番1号 静岡市文化財課
(電話番号:054-221-1069)

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