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更新日:2025年3月12日
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エイズ・性感染症予防
エイズとは
エイズ(AIDS)とは、HIVというウイルスの感染により、体の免疫力が低下してかかる様々な病気の総称です。
英語の「Acquired(後天性)Immuno(免疫)Deficiency(不全)Syndrome(症候群)」の頭文字をとったもので、日本語では「後天性免疫不全症候群」といいます。
HIV感染症/エイズの発生動向
2023年のHIV感染者年間新規報告数は669件と7年ぶりに増加し、AIDS患者年間新規報告数は291件と3年ぶりに増加しました。HIV感染者とAIDS患者を合わせた新規報告数に占めるAIDS患者の割合は30.3%でした。
【参考:エイズ動向委員会】
HIV感染からエイズ発症まで
通常、HIV感染から6~8週間経過すると、血液中にHIV抗体が検出されます。HIVに感染してもすぐにエイズを発症するわけではありません。
感染してから数週間以内に風邪に似た症状が出ることがありますが、その後数年から10年以上「自覚症状のないまま」経過します。
この無症候期に、体内ではHIVの増殖を続け、免疫の仕組みの中心であるCD4リンパ球(白血球の一種)が破壊され、徐々に免疫力が下がっていきます。やがて、「日和見(ひよりみ)感染症」などと呼ばれる、本来なら自分の力で抑えることのできる病気を発症するようになるのです。
カンジダ症、ニューモシスティス肺炎、サイトメガロウイルス感染症などの「日和見感染症」のほか、抵抗力の低下が原因で発症する悪性リンパ腫やカポジ肉腫などの「日和見腫瘍」など、23の疾患がエイズ発症の指標として決められています。HIV感染者はこれらの指標疾患を発症した時点で「エイズ発症」と診断されます。
日和見感染症:免疫力が低下し、健康な人では発症しない病原性の弱い菌やウイルスが原因でかかる感染症
HIV感染経路(3つの経路)
性行為による感染
HIV感染者の「血液」「精液」「膣分泌液」に含まれるHIVが、性行為中に、性器や肛門、口などの粘膜や傷口を通してパートナーに感染します。日本国内で圧倒的に多い感染経路です。
血液を介しての感染
HIVが含まれる血液の輸血やHIVに汚染された注射針や注射器での麻薬などの「回し打ち」による注射器具の共有が原因で感染します。
母子感染
妊娠中や出産時、授乳時に、HIVに感染している母親から赤ちゃんに感染することがあります。現在の日本では予防措置を行うことで、母子感染は1%以下に抑えることができます。
知っておきたいHIV感染の予防
HIVは感染力が弱く、日常生活においては性行為以外で感染することはありません。HIV感染やその他の性感染症(梅毒など)を防ぐために、次のことに気をつけましょう。
性行為による感染を防ぐために
- セックス、オーラルセックス(口腔性交)の際は、コンドームを必ず、正しく使う。
- 性器具を共用しない。
血液感染を防ぐために
注射器具の共用は絶対にしない。
母子感染を防ぐために
感染がわかったら「妊娠中の服薬」「帝王切開による出産」「人工栄養(粉ミルク)での養育」など主治医と相談しながらすすめていく。
エイズ検査(HIV抗体検査)・相談
HIV感染症/エイズは特別な病気ではなく「身近な慢性疾患」です。エイズ検査を受けることで感染していないことがわかれば不安を解消でき、感染がわかった場合でも、早期に治療を開始することで感染前と変わらない生活を送ることができます。
エイズ検査では、HIV抗体が体内にあるかどうかを調べる「血液検査」を行います。HIVに感染してもHIV抗体ができるまでに時間がかかるため、検査で正確な結果を得るために、感染の可能性があった日から90日以上経ってからの検査をお勧めしています。
6月1日~6月7日は、HIV検査普及週間です。詳しくは、厚生労働省「HIV検査普及週間における普及啓発動画」(外部サイトへリンク)をご覧ください。
保健所のエイズ検査(匿名・無料・予約不要)
静岡市保健所では、原則、毎月第1水曜日の午前9時15分から11時15分に、保健所棟1階健康相談室で「エイズ検査・相談」を実施しています。
さらに、希望者には梅毒・クラミジア(クラミジアは女性のみ)も行っています。
詳しくは、エイズ検査・相談についてのページをご覧ください。
HIV感染症/エイズ治療と福祉サービス
現在のところエイズの根本的な治療方法はまだ見つかっていませんが、抗HIV療法の進歩により、早期に治療を始め、適切な治療を継続することで、病気の進行を遅らせてエイズ発症を防ぎ、感染前と変わらない日常生活を送ることができるようになりました。
Highly‗Active‗Antiretroviral‗Therapy:多剤併用療法(いわゆるART:抗レトロウイルス療法)では新しい薬が増え、1日1回1錠の服用ですむ薬も開発されています。また、ARTによるHIV感染症/エイズの医療費の負担を軽減する社会制度なども整ってきました。
12月1日は「世界エイズデー」(外部サイトへリンク)です。エイズについて正しい知識をもち、感染を予防し、また感染者・患者に対する差別・偏見をなくしましょう。
知っておきたい性感染症(STI)
性感染症(STI=Sexually‗Transmitted‗Infection)は、性行為で感染する病気の総称で、梅毒、淋病、性器ヘルペス、性器クラミジア感染症など、10種類以上あります。HIV感染症/エイズもSTIの一つです。STIの原因は、外陰部や精液、膣粘膜などにすみついているウイルスや細菌などです。
現在、性行動の低年齢化・多様化などにともなって、若い世代のSTIが流行しています。
病気によって、感染部位(性器やのどなど)の痛みやかゆみ、排尿時痛、おりものの異常など、現れる症状も様々です。また、STIの中には、症状がほとんど出ないものや軽い症状のため、感染に気づかない場合もあります。
男性の場合は、睾丸炎や前立腺炎、不妊の原因になったり、女性の場合も不妊症になったり、流産や早産のリスクをともなったり、妊娠・出産時に母子感染の可能性も出てきます。また、STIにかかると、性器の粘膜が傷つくことがあるため、そこからHIVにも感染しやすくなります。これらを予防するために、コンドームを必ず、正しく使用するようにしましょう。
また、STIに感染したら放置せず、早めにパートナーと一緒に治療を受けてください。
性感染症についての市政出前講座を実施しています。
保健所では、HIV感染症/エイズを含む「市政出前講座(性感染症を防ごう!~知っておきたい現状と予防法~)」を開催しています。講師は、感染症対策課の保健師です。
詳しくは、お問い合わせください。