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更新日:2026年2月20日

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令和8年2月定例会施政方針

議員各位におかれましては、日頃より市政運営にご理解とご協力を賜り、心より感謝申し上げます。令和8年度当初予算案ならびに関連議案の審議にあたり、議員各位をはじめ、広く市民の皆様にご理解を賜りたく、私の施政方針を申し述べます。

市政運営の方針

私が市長に就任し、まもなく3年になります。令和8年度は市長の任期4年のうち、1年を通じて私が市政運営のかじ取りを行う最終年度となりますが、市政運営に関する方針や考え方は市長就任当時から一貫し、変わっていません。

私は、市政運営を行政経営と捉えています。企業経営と同様に、行政経営も、経営目的と目標を明確化し、経営資源を用いて、目的・目標を達成するための実現方法や道筋を明らかにして、意思決定を行い、実行に移し、執行を管理し、結果を出すことが重要です。

また、市政の経営資源を市が持つ財産(市有財産)だけではなく、民有地まで含めて社会共有資産と捉え、社会共有資産を経営資源として有効活用することを重視してきました。

そして、社会全体の力によって、新しい価値を共に創る「共創」を重視してきました。市民一人ひとりの力、それが集まった社会の大きな力も市の経営資源です。社会の大きな力が上手く動くよう、市政が下支えし、一緒に走ることによって、課題解決や新しい価値を創っていきます。

また、私は、市長の役割には、二面があると考えています。一つは、実務家公務員のトップとして行政実務を行うことです。もう一つは、選挙で選ばれた政治家市長として、情熱と責任感を持って「価値判断」と「意思決定」を行うことです。

意思決定を行う際には、根拠をわかりやすく市民の皆様に示さなければなりません。そのために現実を直視し、その現実が起きている原因を、なぜ、なぜ、なぜと根底まで突き詰め、その上で、しがらみに捉われず、事実を隠すことなく、論理を歪めることなく、解決策を考え抜くことを心がけてきました。

「できない」「難しい」から「できる」行政への転換

また、私は、市政運営の「政策づくり(政策形成)」と「政策の実行(政策執行)」の二面を強く意識しています。

どんなに良い政策をつくっても、政策を適切に実行して、良い結果を出さなければ、市民の幸せにつながりません。市長就任当初、静岡市政は政策の実行力に大きな課題があるとして、この改善に努めてきました。

その結果、これまでは「できない」「難しい」あるいは「検討する」として、実際には本気で取り組まずに放置されていた多くの課題が徐々に「できる」に変わってきました。

私は行政の判断に「難しい」はないと考えています。「難しい」はただの感想であり、判断ではありません。行政は「難しい」で思考停止・行動停止せず、解決できるように前に進まなければなりません。そして、「できる」にしようとする強い意志・情熱のもと、解決の方法を考え抜き、見つけ出し、行動に移し、結果を出すことが実務者の仕事です。

そのため、「現場」に行き、「現物」を見て、「現実」を知り、その現実の根底・原因を考え抜き、人の「行動原理」やものごとの「原理・原則」を確認するという“五ゲン主義”で政策形成・政策執行を進めることを重視してきました。

わかりやすい例で言えば、浸水被害の起きている現場に行き、水の流れを見て、何が水の流れの弱点になっているかを知り、何をすれば水の流れが変わり、浸水被害を軽減できるかを考え、解決策を見出すことです。

こうした行政経営についての考え方のもと、この3年間、職員とともに、現実を直視し、仕事のやり方を見直し、様々な取組を積極的に進めてきました。

もう一つ重要なことは、市民の困りごとや心配に共感する「温かい市政」です。

これについても、例えば、つい先日、障害者支援推進課の職員の対応がとても温かかったという声をいただきました。

このように、「政策の執行力」は相当改善され、結果が出せるようになり、市政運営の土台が築かれつつあります。

こうした政策執行力の高まりを踏まえ、令和7年度は、政策を根底から見直すこととし、第4次総合計画(4次総)の見直しに着手しました。

総合計画の見直し

4次総の見直しにあたっては、静岡市の厳しい人口減少を直視しました。

静岡市独自の方法を用いて将来人口推計を行った結果、このまま何も有効な対策を講じなければ、2050年には総人口が49.5万人にまで減少する予測結果になりました。

1990年をピークに、これまで緩やかに減少してきたものとは比べものにならない厳しい人口減少を迎えてしまう恐れがあります。

人口に関連する諸指標をみても、深刻さは明らかです。

例えば、生産年齢人口(15~64歳人口)の減少については、このまま何も対策を講じなければという前提ですが、2025年と比較し、2050年は、総人口が26%減となるのに対し、生産年齢人口は34%減となります。2000年と比較すると、総人口は32%減に対し、生産年齢人口は48%減、つまり半減する見通しです。

このように、これまではあまり実感しなかった、人口減少の負の影響が、人手不足の問題などによって、今後、表面に明確に表れてきます。

そして、重要なことは、静岡市においては、人口減少問題の解決策の一つとして、合計特殊出生率を上げても2050年の人口に大きな変化はないことです。

静岡市の合計特殊出生率は、全国的に見ても決して低いものではありません。しかし、若年層の市外への流出が続いた結果、総人口に対する若年層の比率が少なくなり、このため出生数が少なく、出生率も低い。よって、合計特殊出生率が上がっても、子どもの数がそれほどには増えない。そういう人口構造になってしまっています。

合計特殊出生率の向上は重要ですが、現在の静岡市の人口構造上、それによる人口増大効果は限定的です。

静岡市に必要なのは「合計特殊出生率を高める政策」ではなく、「出生率・出生数を高める政策」です。そのためには若者の流出抑制と流入促進が不可欠です。

この問題への対処は、これをやれば解決するというような単純なものではありません。ありとあらゆる政策を総動員させることが必要です。

また、見直し後の総合計画においては、政策検討の根拠値として、2050年の人口目標を「55万人以上」としました。

この人口目標「55万人以上」は、静岡市独自推計による2050年に49.5万人という厳しい現実を直視すると、達成できない目標に思えるかもしれません。しかし、静岡市の持つ多様な強みを活かし、様々な取組を講じていけば、十分に達成可能であると確信しています。

また、これまで計画期間としていた2023年から2030年までの8年間を見直し、2026年から2035年までの10年間に変更しました。これは、短期的な視点ではなく、中長期的な観点から何をなすべきかを計画する必要があるからです。

さらに、現在の4次総は「行政が何をするのか」というアウトプット型の取組内容を列挙する「政策集型」の計画となっていました。しかし、市民にとって重要なことは、政策の実行により「市民にとってどういう良いことが生まれるのか」というアウトカムです。よって、総合計画をアウトカムを強く意識した「成果志向型」の計画へ変更することとしました。

このように、現在の4次総の計画内容を抜本的に見直し、また、計画期間も変更することにしました。その結果、計画が大幅に変更になったことから、「4次総の見直し」ではなく、新たな総合計画として、「第5次静岡市総合計画」を策定することとし、この2月定例会に上程しました。

5次総を基に、適切な政策執行、結果を出す市政運営を進めていきます。

財政運営の基本的考え方

次に、5次総を推進するにあたっての「財政運営の基本的考え方」について述べます。

財政支出は、「義務的経費」と「投資的経費」に大別するのが一般的です。しかし、私は、財政支出を「消費支出」と「投資支出」に大別して考えることを重視しています。「消費支出」は、支出の効果が主にその年に発生する支出です。一方「投資支出」は、単年度の効果ではなく、社会資本整備や人材育成等を通じ、支出の効果が未来に残るものです。

財政支出の議論において、単年度の収支の均衡を見ることはもちろん重要ですが、あわせて、支出の質、すなわち「消費支出」なのか「投資支出」なのかを見ることが重要です。

静岡市は、このまま何も有効な対策を講じなければ、これから人口減少が加速していきます。それは、静岡市の総需要が減ることに直結し、経済は縮小し、これにより総雇用が減少し、人口減少につながり、あわせて総所得が減少するため、さらに地域の総需要が減少するという悪循環に陥ります。

これまでの静岡市は、1990年に人口減少社会に転じたにも関わらず、単年度収支や財政規律を重視し、中長期的な成長に必要な「投資支出」を十分に行ってきませんでした。

人口減少の加速期に入りつつある静岡市に、今、必要なことは、地域の稼ぐ力を向上し、所得と雇用を創出するための「積極投資財政」への転換です。

その際に重要なことは、公共投資だけの経済効果ではなく、いかに民間投資拡大の機会を創出するかを考えることです。例えば、アリーナ整備や清水庁舎整備の公共投資だけで経済効果を考えるのではなく、公共投資を機会としてまちづくりへの民間投資を大きくすることにより、地域の稼ぐ力を拡大し、所得と雇用を創出することを考えなければなりません。

そこで、次のとおり4つの財政運営の基本的考え方を定めました。

1つ目は、財政の健全性を維持しつつ、今後5年間は緊急対策として、「地域の稼ぐ力・所得の向上のための投資支出」を積極的に行うこと。

2つ目は、積極投資にあたり、公共投資による民間投資の誘発を重視すること。

3つ目は、人材育成のための教育投資を積極的に行うこと。

4つ目は、経済的・社会的に弱い立場に置かれている人への支援を強化すること。

この基本的考え方に基づき、5次総の財政運営を行っていきます。

当初予算編成の概要

次に、具体的な令和8年度の当初予算編成(案)について説明します。

予算規模は、

一般会計4,035億0,000万円

特別会計2,842億7,030万円

企業会計798億4,640万円

全会計で7,676億1,670万円です。

このうち、一般会計予算額については、前年度に比べ150億円、3.9%増加し、過去最大の予算規模です。

これは、扶助費約55億円、人件費約50億円の増加が主な要因です。これらに予算を使いながらも、先に示した財政運営の基本的考え方に基づき、「地域の稼ぐ力・所得の向上のための投資支出」として、例えば、企業立地を促進するための助成約16億円やデジタル関連企業の誘致約1億円などを予算に盛り込みました。

また、大規模投資事業として、アリーナ整備約300億円(現年予算約5.7億円、債務負担行為約295.8億円)、清水庁舎整備約160億円(現年予算1億円、債務負担行為約159.8億円)のほか、公共用地取得事業会計にENEOS社用地の購入費41.5億円(現年予算29.05億円、債務負担行為12.45億円)を計上しました。これらの公共投資を機会としたまちづくりを行うことで、民間投資を誘発し、まち全体に大きな経済社会効果が生まれることを目指していきます。

さらに、「人材育成のための教育投資」にも力を入れていきます。小学校の給食費の無償化など、子育てしやすい環境の整備や、安心・安全で快適に教育を受けることができる環境の整備に取り組みます。

これまで、学校の特別教室のエアコン設置を緊急に進めてきましたが、令和8年の夏までに終了する見込みになりました。そこで、8年度からは、体育館へのエアコン設置を開始します。

さらに、老朽化した小中学校の施設の改修・維持補修費を増額します。

これまでは、小中学校の維持補修費は毎年約20億円でしたが、5次総では、毎年約40億円に増額します。ただし、改修・補修にあたっては、ライフサイクルマネジメントの考え方、すなわち、初期建設費・改修費・維持補修費という建物の供用期間全体のライフサイクルコストを最小化する計画的な管理が重要です。このため、令和8年度は、学校施設のライフサイクルマネジメント計画を策定し、その上で、9年度から、本格的に学校施設の改修に取り組みます。

また、「経済的、社会的に弱い立場に置かれている人への支援」も重要です。就労が困難な方や生活上の困りごとを抱えている方など、多様な支援ニーズに対応する支援体制を強化します。令和8年度は、障がい者相談支援窓口の一元化約2億円や、生きづらさを抱える方が気軽に利用できるオンライン上の居場所の運営約1千万円などの新たな取組のほか、誰もが移動しやすく暮らしやすい交通システムの構築約2億円などを計上しました。

このように、新たな財政運営の基本的考え方に基づき、当初予算を編成しました。今後5年間は積極投資財政を行いますが、財政規律は堅持します。5次総の策定にあわせ、今後10年間の財政見通しを作成しました。

財政規律として、中長期的に実質公債費比率9.0%以下、経常収支比率を概ね98%以下の水準とすることを指標とします。

組織機構改編の考え方

次に、令和8年度に改編する組織について説明します。

私は、市政運営の土台は人と組織であると考えています。そして、この3年間、良い結果が出せるよう職員個々の技術力を高めてきました。その結果、職員の政策執行力は相当高まったと実感しています。

今後は、さらに職員の専門力を高めます。「ゼネラリスト」と「スペシャリスト」という言葉がありますが、私は幅広い知識やスキルを持ち、多様な業務に対応できる「何でもできるゼネラリスト」は、少数で良いと考えています。単なるゼネラリストではなく、特定の分野に強みを持つ「専門性のあるゼネラリスト」が重要です。

人事配置もこの考えに基づき、一人の職員が様々な部署に配置換えになり、また一から勉強するということを減らし、多くの職員が「自分はこの分野に強い」という専門性を持つようにしていきます。

また、職員がより活き活きと仕事をするためには、組織力を高めていかなければなりません。静岡市は、まだまだ縦割り行政の弊害が残っています。行政需要が複雑化・高度化し、ひとつの局・部・課・係では対応できない行政課題が増える中、これらの課題に適切に対応していくためには、行政組織の横の連携を強化し、これまで以上に結果を出す市政にする必要があります。

そこで、令和8年度に向けた組織機構改編に当たっては、全庁的に局・部・課・係のそれぞれについて、小さな組織を統合・再編し、大くくりにするとともに、特定のプロジェクトに対し、部局横断的に対応するチーム組織を引き続き編成します。

まず、縦の組織である、局・部・課・係の統合・再編についてです。

「局」においては、組織規模が小さい市民局は、市民生活分野と文化・スポーツ分野の関わりが深いことから、観光交流文化局と統合した上で、「観光文化・市民局」に再編します。

「部」においては、部相当組織である総務局市長公室を廃止します。

「課」においては、1課10人未満の小さな組織については、事務分掌上関連のある組織と統合・再編します。

「係」においても、1係3人以下の小さな組織については、事務分掌上関連のある組織と統合・再編します。

次に、横断的組織の設置等についてです。

まず、総合政策局の企画課を「総合政策課」に改めるとともに、人口減少対策の司令塔機能の役割を果たすため、総合政策課に「人口減少対策推進係」と担当課長を設置します。

また、社会共有資産の利活用をさらに推し進めるため、全庁的な資産活用の司令塔となる局長級ポスト「社会共有資産利活用統括監」を新たに配置します。

そして、清水庁舎整備や公有財産管理に関する業務を、財政局の管財課から総合政策局の社会共有資産利活用推進課に移管します。その上で、同課に「公民連携推進係」を設置します。

また、突発的な人員不足や繁忙期に人員が必要な所属に対して、職員が手挙げにより業務を支援する「おたがいさま応援制度」を、令和7年度から試行実施しています。8年度からは、新たな取組として、年度当初には想定していなかった業務や一時的に集中する業務などに柔軟に対応するため、あらかじめ一定数の職員を応援職員として確保し、必要に応じてその職員を各所属に配置、業務に従事させることで、全庁的な業務支援体制を構築します。

このように、令和8年度の組織機構改編により、組織間の壁や垣根をなくし、社会課題の解決に向け、総合的な観点から取り組む体制を整えます。

むすびに

静岡市は大きな潜在力がありながら、まだまだそれを十分に活かしきれていません。令和8年度は市政運営、財政運営の変革をさらに進めます。

議員各位をはじめ、広く市民の皆様のご理解、ご協力をお願いし、社会全体の力による「共創」による「誰もが安心して暮らし、幸せを実感し、住み続けたいと感じられるまち」づくりを進めてまいります。

ご清聴、誠にありがとうございました。

お問い合わせ

総合政策局企画課政策企画・総務係

葵区追手町5-1 静岡庁舎新館12階

電話番号:054-221-1020

ファックス番号:054-221-1295

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