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更新日:2024年10月23日
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「手揉み製茶」が国の登録無形文化財に登録
国の文化審議会が、令和6(2024)年10月18日に、『手揉み製茶』を登録無形文化財に登録及び静岡市内に事務所のある「手もみ製茶技術保存会」を保持団体に認定するよう、文部科学大臣に答申しました。今後、必要な手続きを経たのち、正式に登録無形文化財となる予定です。
現在、登録無形文化財は、「書道」「伝統的酒造り」「菓銘をもつ生菓子(煉切・こなし)」「京料理」しかありません。この4件に続く登録となります。
登録無形文化財(生活文化の部)名称
手揉み製茶(てもみせいちゃ)
手揉み製茶とは
「手揉み製茶」は、茶種の1つである煎茶(せんちゃ)、かぶせ茶又は玉露(ぎょくろ)を、手作業で作り上げる伝統的なわざです。
煎茶は、17世紀に伝来したとみられる手揉みによる製法を改良することで誕生したと伝えられます。その後に、覆下(おおいした)栽培の茶葉を用いることで玉露などが生まれました。
製茶の作業には、焙炉(ほいろ)と呼ばれる乾燥炉と、その上に乗せて熱を茶葉に伝えるための助炭(じょたん)(木枠の底面に和紙を張った製茶道具)を用います。
製茶は、助炭上で茶葉を撹拌しながら、付着した水分を取り除くことから始めます。次に、多様な手使いで茶葉に圧力を加えながら、内部の水分の排出を促していきます。十分に水分が減少したならば、茶葉を一時的に取り除き(中上なかあげ)、助炭に付着した茶渋(ちゃしぶ)を清掃します。それが済むと茶葉を助炭に戻し、形状を伸ばして整える工程を行います。形状が定まり、茶葉が十分に乾燥すれば完成となります。
登録の要件
一、蒸した茶葉を用いて煎茶、かぶせ茶又は玉露を製造すること。
二、焙炉を用いて手作業にて製茶を行うこと(中上げを除く)。
三、大正時代に提唱された標準的な製法に沿うこと。
四、形状、色沢、香気(こうき)、水色(すいしょく)、滋味(じみ)のすべてにおいて手揉み茶の特質を保持すること。
保持団体
名称
手もみ製茶技術保存会(会長中森慰)
静岡市葵区北番町94
株式会社静岡茶市場全国手もみ茶振興会事務局内
概要
手もみ製茶技術保存会は、手揉み製茶のわざの継承及び向上を図ることを目的として、令和6(2024)年に結成されました。
わざの優劣を競う場としては、品評会及び競技会が設けられています。また、個人の技能水準を認定する民間の資格認定試験も実施されていて、上位者には「茶匠(さしょう)」や「師範」の資格が与えられます。
登録に先立ち、文化庁が調査を行い、この度、国から『手揉み製茶は、生活文化に係る歴史上の意義を有し、かつ、美的な評価を含むわざである。』として評価されました。
製茶中の風景(文化庁提供)