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更新日:2025年2月21日
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静岡市高層建築物の防災設備等に関する指導要綱
目次
第1章 総則(第1条)
第2章 出火防止対策(第2条)
第3章 火災拡大防止対策(第3条-第8条)
第4章 避難対策(第9条、第10条)
第5章 消防活動上の施設(第11条-15条)
第6章 防災センター(第16条、第17条)
第7章 消防用設備等
第1節 消火設備(第18条-第21条)
第2節 警報設備(第22条-第24条)
第3節 避難設備(第25条、第26条)
第4節 消防用水(第27条)
第5節 消火活動上必要な施設(第28条-第31条)
第8章 電気設備等(第32条)
第9章 雑則(第33条、第34条)
附則
第1章 総則
(趣旨)
第1条 この要綱は、高層建築物(軒の高さが31メートルを超える建築物又は地上11階以上の建築物をいう。以下同じ。)の出火防止、火災拡大防止、避難の安全確保、消防活動の容易性の確保等を図るため、関係法令で定めるもののほか、必要な指導の基準を定めるものとする。
第2章 出火防止対策
(火気使用器具及び設備)
第2条 気体燃料(都市ガス又は液化石油ガス等をいう。)又は液体燃料を使用する火気使用設備及び器具(以下「火気使用設備等」という。)は、努めて抑制するものとし、やむを得ず使用する場合は、次に定めるところにより行うものとする。
(1)共同住宅以外の用途で使用する場合
ア 高層階(高さ31メートルを超える階又は地上11階以上の階をいう。以下同じ。)以外で使用するものであること。ただし、最上階の展望を目的とした飲食店、途中階等に設ける必要のある社員食堂等の厨房設備器具又は建築物の最上階等に設ける機械室内の集中冷暖房設備で機能上必要と認められるものは、この限りでない。
イ 火気使用設備等は、努めて一定場所に集中して設けるものとし、当該部分は、耐火構造の壁、床又は常時閉鎖式の特定防火設備(使用上やむを得ない場合は、煙感知器連動とすることができる。)で区画すること。この場合において、区画内の壁及び天井の室内に面する部分の仕上げは、不燃材料とすること。
ウ 電気を熱源とするものを除き、ストーブ、パッケージ型温風暖房機等による局所暖房は、努めて抑制すること。
エ ガス配管等の設置については、耐震措置を十分講ずること。
オ 油類を煮沸する火気使用設備等にあっては、温度上昇防止装置付きのものとすること。
カ 燃料容器持込み型又は組込み型の液化石油ガスを燃料とする火気使用設備等は、使用しないこと。
キ 軒の高さが60メートルを超える建築物内に設ける厨房設備及び軒の高さが31メートルを超える建築物のうち最大消費熱量の合計が350キロワット以上の厨房設備の天蓋及び排気ダクトに設ける火炎伝送防止装置は、フード等用簡易自動消火装置とすること。
(2)共同住宅の用途で使用する場合
ア 火気使用設備等のうち気体燃料を使用するものは、立ち消え安全装置付きのものとし、設置場所等には、ガス漏れ警報器を設置し、警報器の作動と連動して自動的に遮断できること。
イ 火気使用設備等のうち液化石油ガスを使用するものについては、持ち込み型を使用しないこと。
ウ 液化石油ガスを燃料とする火気使用設備等については、前号カを準用する。
エ 厨房設備の電気こんろは、努めて調理温度制御装置付きのものとすること。
第3章 火災拡大防止対策
(防火、防煙区画)
第3条 面積区画(建築基準法施行令(昭和25年政令第338号。以下「建基令」という。)第112条第1項に規定する区画をいう。)は、次に定めるところによるものとする。
(1)高層階の防火区画ごとに、2方向避難ができる経路を確保すること。ただし、100平方メートル未満ごとに防火区画した場合は、この限りでない。
(2)防火区画に、防火戸を使用する場合は、防火戸の上部におおむね30センチメートル以上の耐火構造のたれ壁を設けること。
(3)防火区画に用いる防火シャッターは、内のり幅が6.5メートル以下であること。
(4)防火区画に用いる軽量気泡コンクリート、プレキャストコンクリート等の接合部及び取付部は、モルタル等の不燃材料を充てんし、耐火性及び防煙性を高めること。
(5)電線等が防火区画の壁及び床を貫通する場合は、当該貫通部を不燃材料又は国土交通大臣の認定を受けたもので埋戻し、耐火性及び防煙性を高めること。
(6)ファンコイルユニット等の配管類(給湯配管、冷媒管等を含む。)が床を貫通する場合は、当該部分を気密性及び耐火性を有する材料で埋戻しすること。
(竪穴区画)
第4条 竪穴区画(建基令第112条第9項に規定する区画をいう。)は、次に定めるところによるものとする。
(1)階段、エレベーター等の昇降路及び排煙シャフトを除き、建築物の全階層にわたる竪穴を設けないこと。
(2)エスカレーターは、3階層以上に通じないものとし、当該エスカレーターの防火区画の乗降面にあっては、遮煙性能を有する特定防火設備を、その他の部分については網入ガラスその他の防火設備と同等以上の性能を有するもの又は特定防火設備で区画すること。
(3)パイプシャフト、電線シャフト等は、努めて各階ごとの床に相当する部分で耐火性能、防煙性能を有する材料で塞ぐこと。この場合において、当該部分には、延焼防止上有効な措置を行ったものを除き、多量の電線ケーブルをグループ化して設けないこと。
(4)換気、暖房及び冷房設備の風道は、各階に空調機械室を設け、各階方式とし、原則として階を貫通しないこと。ただし、耐熱処理した金属ダクトによる新鮮空気供給用風道にあっては、この限りでない。
(5)前号によりがたい場合は、多層階にわたらないよう数階層ごとに水平区画を設けること。
(6)エレベーターの乗降ロビーは、他の部分と耐火構造の壁、床及び常時閉鎖式の防火設備若しくは煙感知器の作動と連動して閉鎖することができる防火設備で区画すること。
(防火戸)
第5条 防火区画に設ける防火戸は、努めて常時閉鎖方式とするものとする。ただし、使用上やむを得ない場合は、煙感知器連動とすることができる。
(避難経路等の区画)
第6条 主要な避難経路等の区画は、次に定めるところにより設けるものとする。
(1)高層階の廊下と居室等とは、努めて耐火構造の壁又は常時閉鎖式の防火設備で区画されていること。
(2)避難階においては、下階に通じる階段の出入口と上階に通じる階段の出入り口とは、努めて共用しないものとし、耐火構造の壁又は常時閉鎖式の特定防火設備で区画されていること。
(外壁の帳壁と床板との区画)
第7条 外壁の帳壁(カーテンウォールをいう。)と床板との区画等を行う場合は、次に定めるところにより施工するものとする。
(1)外壁の帳壁と床板との接続部は、気密性及び耐火性能を有するモルタル等の不燃材料を充てんすること。この場合において、鉄鋼、鉄板等により脱落防止を行うこと。
(2)帳壁の支持部材、構造上重要な方立、ファスナー等は、耐火被覆を行うこと。
(3)外壁の帳壁の室内側は、外壁面に要求される性能と同等以上の耐火性能を有すること。
(内装材料等の不燃化)
第8条 内装材料等は、次に定めるところによるものとする。
(1)内装材料は、下地を含め不燃材料又は準不燃材料であること。
(2)天井面に設ける照明用カバーは、可燃材料以外のものとすること。ただし、床面積の10分の1以下とした場合は、この限りでない。
(3)机等の家具調度品は、努めて不燃材料で造られていること。
(4)可燃性の装飾物品の使用は抑制するものとし、やむを得ず使用する場合は、防炎性能を有すること。
2 消防法(昭和23年法律第186号)第8条の3に定める防炎対象物品以外の物品についても、努めて防炎性能を有するものを使用するものとする。
第4章 避難対策
(避難施設)
第9条 避難施設は、次に定めるところによるものとする。
(1)各階において、特別避難階段に通じる廊下等の避難経路は、努めて避難上容易な経路とすること。
(2)避難階において回転ドアを使用する場合は、別の避難用扉を設けるとともに、回転ドアの事故防止のための措置を講ずること。
(3)排煙設備の設置に当たっては、当該設備を作動した場合に扉内外の静圧差によって避難時に扉の開閉障害が生じないよう、空気の流通に有効な外気に面する開口部を各階の避難経路の一部に設けること。
(4)エレベーターの乗降ロビーには、当該階の平面図に避難経路を明示した標識を設けるもとする。この場合において、当該標識は、縦30センチメートル以上、横40センチメートル以上の大きさとする。
(5)居室の各部分から2以上の方向に避難経路が確保されていること。ただし、100平方メートル未満の居室にあっては、この限りでない。
2 特別避難階段の附室、バルコニー及び非常用エレベーターの乗降ロビー(以下この項において「附室等」という。)は、次に定めるところによるものとする。
(1)附室等から階段に通じる防火設備は、常時閉鎖式とすること。
(2)室内から附室等に通じる出入口に設ける防火戸は、防火シャッター以外の防火設備とすること。
(3)室内から附室等に通じる出入口の上部には、30センチメートル以上の防煙上有効な固定のたれ壁(小壁等をいう。)を設けること。
(4)附室等は、原則として廊下等から通じるものであること。
(5)附室等に設ける給気用風道(シャフト等をいう。)は、おおむね10階層から15階層単位ごとに外気取入口を設けるとともに、当該外気取入口は、排煙口等とは十分な離隔距離を取ること。
(6)階段室及び附室等内に面して消防用設備等(消防法(昭和23年法律第186号)第17条第1項の消防用設備等をいう。以下同じ。)又は特殊消防用設備等(同条第3項の特殊消防用設備等をいう。以下同じ。)を除く電気配線、衛生配管等の点検口及び倉庫、湯沸室等の出入口を設けないこと。
(7)室内から附室等に通じる出入口に設ける防火戸が両開きの扉の場合にあっては、順位調整器等を設け、閉鎖した場合に隙間が生じないこと。
(8)附室等には、非常用エレベーター以外のエレベーターの出入口を設けないこと。
(9)附室等内に屋内消火栓設備又は連結送水管の放水口が設けられている場合は、廊下との区画に設ける特定防火設備に消防用ホース通過孔(別図1によるもの)を設けること。
(10)附室等の出入口には、「特別避難階段」である旨の表示をすること。この場合において、当該表示は、緑色の地に白文字で縦10センチメートル以上、横60センチメートル以上の大きさとすること。
(屋上広場)
第10条 建築物の屋上部分には、避難上有効な屋上広場を次に定めるところにより設けるものとする。
(1)屋上の面積2分の1以上となるよう設けること。
(2)地階を除く階数が15階層以上で、かつ、屋上の面積が500平方メートル以上の建築物にあっては、広場に通じる2以上の階段を設け、そのうち1以上を屋外避難階段又は特別避難階段とすること。
第5章 消防活動上の施設
(消防隊の進入路)
第11条 消防隊の進入のための進入路は、次に定めるところにより設けるものとする。
(1)道路、空地等から直接進入できるものを除き、消防自動車の使用できる通路を2以上確保し、当該通路は、建築物の直近まで通じていること。
(2)消防自動車の進入に使用する通路等に設ける門、扉等は、容易に開放できる構造であること。
(3)通路は、幅員4メートル以上とし、かつ、交差部分又はコーナー部分は、通行及び回転上有効な隅切り(別図2によるもの)を設けること。
(4)通路は、梯子付消防自動車の通行に支障のない耐力(20トン以上とする。)を有する構造であること。
(消防隊の進入口)
第12条 建築物の3階層以上には、消防隊進入用の進入口を次に定めるところにより設けるもとする。
(1)消防隊進入口(非常用進入口及びこれに準ずるものを含む。)の付近に、赤色灯及び赤色反射塗料による一辺が20センチメートルの正三角形の標識を設けること。この場合において、非常用進入口に準ずるものについては、赤色灯を省略することができる。
(2)常時施錠される進入口にあっては、屋外から解錠できる装置を設けること。
(消防活動用空地)
第13条 道路等から直接進入できる建築物を除き、消防自動車等の活動(梯子付消防自動車にあっては、架梯を含む。)のため消防活動用空地を次に定めるところにより設けるものとする。
(1)消防活動用空地は,消防隊進入口等の下方地盤に設けるものとし、幅6メートル以上、長さ12メートル以上とすること。この場合において、消防活動用空地と建築物との間隔は、5メートル以下とすること。(別図3によるもの)
(2)消防活動用空地は、舗装路面とし構造は、第11条第4号の規定を準用する。
(3)消防活動用空地及びその周囲の上空は、梯子付消防自動車の伸梯及び旋回に支障となる工作物等を設けないこと。
(4)消防活動用空地には、「消防活動用空地」である旨の標示(別図4によるもの)を設けること。
(非常用エレベーター)
第14条 非常用エレベーターを設ける場合は、次に定めるところによるものとする。
(1)消防隊が進入する建築物の出入口に近い位置で、かつ、出入口に有効に通じていること。
(2)乗降ロビーは、避難階についても設けること。
(3)乗降ロビーは、廊下及び特別避難階段以外の部分に直接通じていないこと。
(4)乗降ロビー内に連結送水管の放水口又は屋内消火栓設備等を設ける場合は、廊下との区画に設ける特定防火設備に消防用ホース通過孔を設けること。この場合において、乗降ロビー等から昇降路に水が流入しないように排水措置を講ずること。
(5)病院、旅館、ホテル及び福祉施設等に設ける非常用エレベーターについては、1機以上を救急用担架が収納可能なもの(大きさは、幅1.8メートル以上、奥行2メートル以上とする。)とすること。
(6)非常用エレベーターは、耐震性を十分考慮すること。
(7)屋上部分に消防ヘリコプターの緊急離着陸場等を有する建築物にあっては、消防活動を有効に行うために1機以上を屋上に着床できるようにすること。
(緊急離着陸場等)
第15条 屋上部分に設ける消防ヘリコプターの緊急離着陸場等は、別に定める「緊急離着陸場等の設置指導指針」によるものとする。
第6章 防災センター
(防災センターの位置等)
第16条 防災センター(防火対象物に設けられる消防用設備等、特殊消防用設備等その他の防災設備機器(以下「防災設備機器等」という。)の監視、制御等を集中して管理する場所をいう。以下同じ。)の位置等は、次に定めるところにより設けるものとする。
(1)避難階又はその直上階若しくは直下階で、消防隊が外部から容易に出入りできる位置とすること。
(2)特別避難階段の附室、バルコニー及び非常用エレベーターの乗降ロビーと容易に連絡できる位置であること。
(3)他用途部分とは、耐火構造の壁、床又は常時閉鎖式の特定防火設備により区画されていること。
(4)防災センターに設ける換気、暖房及び冷房設備は、専用とすること。
(5)防災設備機器等の監視、制御、操作及び保守が容易にできるとともに消防活動の拠点として運用するため、床面積25平方メートル(地階を除く階数が15階層以上の建築物にあっては、階数5階層以内ごとに5平方メートルを増した床面積とする。)以上の広さを保有すること。
(6)総合操作盤、防災監視盤その他の操作盤等は、耐火構造の床にアンカーボルト等で堅固に固定する等、充分な耐震措置を講ずること。
(7)防災センター内に防災センターの要員が仮眠又は休憩をする部分がある場合は、当該部分と防火区画されていること。
(防災センターの機能)
第17条 防災センターには、防災設備機器等の監視、制御及び操作を行う機器のほか、次に定めるところにより、消防用設備等又は特殊消防用設備等の監視及び制御ができる機器その他必要な機器等を設置するものとする。
(1)屋内(外)消火栓設備、スプリンクラー設備、水噴霧消火設備及び泡消火設備は、次に定めるところによること。ただし、イの規定は、屋内(外)消火栓設備については適用しない。
ア 加圧送水装置の起動を表示すること。
イ 防火区画ごとの流水検知装置等の起動を表示すること。
ウ 過電流警報を表示すること。
エ 呼水槽減水警報を表示すること。
(2)不活性ガス消火設備、ハロゲン化物消火設備及び粉末消火設備は、防護区画ごとの操作箱開閉、起動、放出等及び制御盤の電路異常を表示すること。
(3)地階を除く階数が15階層以上の建築物に設ける自動火災報知設備の受信機は、図式表示盤方式等(CRT画像を含む。)火災室の位置が明確に把握できる方式とすること。
(4)非常警報設備の放送設備については、操作装置(起動装置に非常電話装置を使用する場合は、親機も含む。)を設けること。
(5)消防用水に係る機器等は、次に定めるところによること。
ア 有効水源が4分の1以上に減水した場合に警報を表示すること。
イ 加圧送水装置を用いる消防用水は、遠隔起動装置及び加圧送水装置起動表示を設けること。
ウ 加圧送水装置を用いる消防用水の設置場所との通話装置を設けること。
ただし、当該設置場所に非常電話装置が設けられているものにあっては、この限りでない。
(6)軒の高さが70メートルを超える建築物に設ける連結送水管については、遠隔起動装置及び加圧送水装置起動表示を設けること。
(7)無線通信補助設備の接続端子を設けること。
(8)特別避難階段の附室及び非常用エレベーターの乗降ロビーの排煙設備(機械排煙方式をいう。)には、遠隔起動装置を設けるとともに作動状況を表示すること。
(9)自家発電設備の起動表示並びに軽故障及び重故障を表示すること。
2 前項に定めるもののほか、防災センターには、次に定める機器を設けるものとする。
(1)ガス導入管が建築物の外壁を貫通する場合は、ガス緊急遮断弁の位置表示及び制御装置を設けること。
(2)当該防火対象物の電話交換機を経ることなく通話可能な直通加入電話を設けること。
(3)緊急離着陸場等の夜間照明設備の照明及び非常電源(自家発電設備をいう。)の制御装置を設けること。
(4)緊急離着陸場等との通話装置を設けること。ただし、当該場所に非常電話装置が設けられているものにあっては、この限りでない。
第7章 消防用設備等
第1節 消火設備
(消火器)
第18条 消火器は、次に定めるところにより設けるものとする。
(1)消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号。以下「規則」という。)第8条第1項から第3項までの規定は、適用しないものであること。
(2)消火器は、粉末消火器等に片寄らず水系消火器を併設すること。この場合、おおむね粉末消火器等2に対し水系消火器1の割合とする。
(3)消火器は、屋内消火栓箱(補助散水栓箱を含む。)に併設し、又はその付近等に設けるものとし、努めて埋込型とすること。
(4)各階への設置については、努めて同一の場所とするほか、見易い場所とすること。
(5)電気室、ボイラー室等の特殊な場所に付加して設けるものは、室外の出入口付近に設置すること。
(屋内消火栓設備)
第19条 屋内消火栓設備は、次に定めるところにより設けるものとする。
(1)屋内消火栓設備は、防火対象物全体を包含できるよう設置すること。ただし、スプリンクラー設備の補助散水栓を有効に設置した場合は、この限りでない。
(2)2号消火栓(消防法施行令(昭和36年政令第37号。以下「令」という。)第11条第3項第2号に規定するものをいう。)又は易操作性消火栓(1号消火栓の取扱いについて(平成8年12月12日付け消防予第254号消防庁予防課長)に適合するものをいう。)を設置すること。
(3)加圧送水装置は、防火区画されたポンプ専用室等で火災による被害を受けるおそれが少ない箇所に設けるとともに、当該ポンプ専用室等には、その入口に「消火設備専用ポンプ室」である旨の表示をすること。この場合において、当該表示は、赤色の地に白文字で縦10センチメートル以上、横60センチメートル以上の大きさとすること。
(4)水源は、消防用設備等の専用とすること。
(5)配管は、補助用高架水槽又は圧力タンクにより常時充水しておくこと。
(6)屋内消火栓箱は、階段室付近、廊下等の火災の際、容易に接近でき、使用に支障がない場所に設けるとともに消火栓箱の表面に「消火栓」である旨の表示をすること。この場合において、当該表示は、赤色の地に白文字で縦10センチメートル以上、横30センチメートル以上の大きさとすること。
(7)ノズルは,噴霧切替式とすること。
(スプリンクラー設備)
第20条 スプリンクラー設備は、次に定めるところにより設けるものとする。
(1)令別表第1に掲げる防火対象物で、地階を除く階数が15階層以上のもの又は延べ面積2,000平方メートル以上の特定防火対象物にあっては、防火対象物全域を包含できるようにスプリンクラー設備を設置すること。この場合において、規則第13条第2項の規定は適用しないものとし、当該設備の不適合部分には、その部分に適応する消火設備等を設けること。
(2)高層階における階層ごとのヘッド数が50個以上を有するものにあっては、主配管の内径を150ミリメートル以上とし、双口型送水口を2以上設けること。
(3)制御弁は、特別避難階段の附室又は非常用エレベーターの乗降ロビー等の付近に設けること。この場合において、制御弁設置場所付近には、建基令の基準による非常用の照明装置を設けること。
(4)前号の制御弁設置場所付近には、「制御弁設置場所」である旨の標識を設けること。この場合において、当該表示は、赤色の地に白文字で縦10センチメートル以上、横60センチメートル以上の大きさとすること。
(5)放水区域は、自動火災報知設備の警戒区域と調和のとれた防火区画内で設定すること。
(6)配管等は、十分な耐震措置を講ずること。
(水噴霧消火設備等)
第21条 水噴霧消火設備等を設ける部分で「火災のとき著しく煙が充満するおそれのある場所」以外の場所においても泡消火設備が適応する部分には、固定式の泡消火設備を設けるものとする。
第2節 警報設備
(自動火災報知設備)
第22条 地階を除く階数が15階層以上の建築物に設ける自動火災報知設備については、階段室及び非常用エレベーターの乗降ロビーの警戒区域は、単独にするものとする。ただし、感知器ごとに設置場所が表示できるものは、この限りでない。
(ガス漏れ火災警報設備等)
第23条 ガス燃焼機器、設備を設ける場所及びガス導入管が建築物の外壁を貫通する部分には、ガス漏れ検知器を設け令第21条の2の規定に準じてガス漏れ火災警報設備を設置するものとする。
2 ガス導入管が建築物の外壁を貫通する部分には、ガス緊急遮断弁を設けるものとする。
(非常警報設備)
第24条 非常警報設備のうち放送設備を設置する場合は、次に定めるところによるものとする。
(1)非常用エレベーター(乗降ロビーを含む。)及び特別避難階段(附室を含む。)のスピーカー回路は単独とすること。
(2)屋上広場又は緊急離着陸場等を有する建築物にあっては、屋上回路を設けること。
(3)操作装置は、防災卓方式(総合操作盤の基準(平成16年5月31日付け消防庁告示第7号)に適合するものを除く。)とするほか、第17条の規定に準じて設けること。
(4)起動装置に非常電話装置を使用する場合は、次により設けること。
ア 防火対象物の全域に設置するものとし、非常用エレベーターの乗降ロビー及び連結送水管の放水口並びに送水口にも子機を設けるほか、第17条第1項第4号の規定に準じて設けること。
イ 設備方式は、親子同時通話方式とし、子機の発信が表示され、親機の選択で特定子機と通話が可能であること。
ウ 非常電源は、蓄電池設備とし容量は当該設備を30分間以上作動可能であること。(容量は、1回線通話分と最大表示数分を加えたもの以上とすること。)
エ 非常電源回路の配線は、規則第12条第1項第4号ホの規定に準じ、親子機間の配線は、規則第12条第1項第5号の規定に準じて設けること。
オ 火災等により一の階の子機の配線が短絡又は断線しても他の子機の通話に支障がないこと。
第3節 避難設備
(避難器具)
第25条 地階を除く階数が11階層以上の建築物の階であっても、屋外避難階段又は特別避難階段が設けられている場合を除いて、安全かつ有効に避難することができる避難施設を設けるように努めるものとする。
2 避難器具を設ける開口部等などの付近には、表示灯を次に定めるところにより設けるものとする。ただし、当該付近に建基令の基準による非常用の照明装置が設けられているものにあっては、この限りでない。
(1)表示灯は、予備電池内蔵式とし、規則第28条の3の規定による誘導灯の基準に準じて設けること。
(2)表示灯の大きさは、誘導灯のB級以上とすること。
(3)表示灯の表示面は、白色の地に黒文字で「避難器具」とすること。
(誘導灯及び非常用の照明装置)
第26条 誘導灯及び非常用の照明装置は、次に定めるところにより設けるものとする。
(1)誘導灯は、全て予備電源内蔵式とすること。
(2)特別避難階段の附室の出入口及び直接地上へ通じる出入口に設ける誘導灯は、点滅機能又は音声誘導機能を有する誘導灯を設けること。
(3)屋上広場を有する建築物にあっては、階段室から屋上広場への出入口の両側に、避難口誘導灯を設けること。
(4)避難階の階段室の出入口扉は、避難方向開きとし、避難階が階段の途中となる場合は、階段室側に避難口誘導灯を設けること。
(5)非常用の照明装置の配線は、一の階の当該配線が短絡し、又は、断線しても、他の階の非常用の照明装置に支障がないように設けること。
第4節 消防用水
(消防用水)
第27条 消防用水は、延べ面積が2万平方メートル以上の建築物に、次に定めるところにより設けるものとする。
(1)吸水方式は、吸管投入口又は採水口(口径75ミリメートルのネジ式とする。)とし、努めて連結送水管の送水口付近に設けること。
(2)地盤面下4.5メートルを超える部分に設ける有効水量を消防用水とする場合は、専用の加圧送水装置を設けること。この場合において、加圧送水装置の吐出量は毎分2,200リットル以上(所定水量が40立方メートル未満にあっては毎分1,100リットル以上、120立方メートル以上にあっては毎分3,300リットル以上とする。)とすること。
(3)採水口に接続する吸水管は、内径100ミリメートル以上とし、有効水量40立方メートル以上保有する場合は2本以上、有効水量120立方メートル以上保有する場合は3本以上設けること。
(4)第2号の加圧送水装置には、自家発電設備による非常電源を設けること。この場合において、起動については、採水口付近において遠隔起動ができること。
(5)消防用水には、自動給水装置及び減水警報装置を設けること。
第5節 消火活動上必要な施設
(排煙設備)
第28条 排煙設備を特別避難階段の附室並びに非常用エレベーターの乗降ロビー及び令第28条で定める部分に設ける場合は、次に定めるところによるものとする。
(1)排煙機の排煙容量は、隣接した排煙区画(天井面から50センチメートル以上下方に突出した垂れ壁等の防煙壁で区画された部分をいう。)の容積のうち、最大のものを組み合わせた場合に、同時に2以上の当該区画を毎時30回以上排煙できる能力を有すること。ただし、天井高の算定に当たり、その高さが3メートルを超えるものにあっては、3メートルとすることができる。
(2)排煙機の操作回路は、規則第12条第1項第5号の規定に準じて設けること。
(3)特別避難階段の附室及び非常用エレベーターの乗降ロビーに設ける機械式排煙設備の起動は、手動式又は煙感知器連動方式とすること。
(4)特別避難階段の附室及び非常用エレベーターの乗降ロビーに設ける自然排煙の開口部は、努めて引き違いの防火戸とすること。
2 機械排煙設備の排出口は、排出された煙が消防活動や避難の支障とならないよう配置するものとする。
(連結送水管)
第29条 連結送水管を設ける場合は、次に定めるところによるものとする。
(1)配管は、次に定めるところによる。
ア 専用とし、かつ、湿式とすること。
イ 補助用高架水槽又は圧力タンクにより常時充水しておくこと。
(2)立上げ主管が2以上の場合は、それぞれ双口送水口を設け各主管を連絡(ループ方式をいう。)するものであること。この場合において、連絡する管については、低層階に設けること。
(3)地上11階以上に設ける放水用器具を格納した箱は、各階ごとに設けること。この場合において、放水用器具は、長さ20メートルのホース2本及び噴霧切替式の筒先1本とし、ホースは呼称が65のものとすること。
(4)放水口及び放水用器具を格納した箱は、特別避難階段の附室(特別避難階段が設けられないものにあっては階段室)又は非常用エレベーターの乗降ロビーに設けること。ただし、開放廊下、バルコニーその他の消防隊が有効に消火活動を行うことができる場所に面する直通階段に設ける場合にあっては、当該直通階段の出入口から5メートル以内の場所に設けることができる。
(5)軒の高さが70メートルを超える建築物に設ける連結送水管の加圧送水装置の起動方法は、次のいずれかの方法によることとし、防災センターで起動が確認できること。
ア 防災センターから遠隔操作により起動することができ、かつ、送水口の直近から防災センターと相互に連絡できる装置を有すること。
イ 送水口から遠隔操作により起動することができること。
(6)放水口(放水用器具を格納した箱を含む。)の上部には、赤色の灯火を設けること。ただし、他の消防用設備等の表示灯が当該放水口付近に設置されている場合は、この限りでない。
(7)送水口の位置は、特別避難階段の直下付近及び非常用エレベーターに至る出入口直下付近で、前面道路から容易に識別できる位置に設けるものとし、その付近には、当該設備の系統図、放水口の位置等を明示した案内表示板を設けること。
この場合、加圧送水装置を設けるものについては、当該表示板に使用方法を明示すること。
(8)加圧送水装置の操作回路は、規則第12条第1項第5号の規定に準じて設けること。
(9)加圧送水装置の吐出量は、規則第31条第6項イ(イ)の規定にかかわらず毎分、2,400リットル以上とすること。
(非常コンセント設備)
第30条 非常コンセント設備は、連結送水管の放水口付近の位置とするほか、次に定めるところにより設けるものとする。
(1)屋内消火栓箱(補助散水栓箱を含む。)又は連結送水管の放水口格納箱に接続して設ける場合は、不燃材料で区画するとともに、扉を別とすること。
(2)一の階に2箇所以上設ける場合は、立上がり配管を別系統とすること。
(3)配線回路は、一の非常コンセント設備について、2回線とし(一の種別を2基設ける場合に限る。)1回線に非常用コンセントの数は、10以下とすること。
(4)幹線は、一の回路につき非常コンセント3個分100V、45A以上の容量を有効に供給できる電線を用いること。ただし、設置個数が2以下の場合は、設置個数に15Aを乗じた容量以上を有効に供給できる電線を用いること。
(5)幹線に使用する開閉器のしゃ断器は、100V、45A以上の容量とすること。ただし、設置個数が2以下の場合は、設置個数に15Aを乗じた容量以上のしゃ断器とすること。
(6)保護箱の大きさは、長さ25センチメートル以上、短辺20センチメートル以上とし、保護箱内にプラグ受けを2個設けること。
(7)保護箱の表面に表示する「非常コンセント」の文字の大きさは1字につき2平方センチメートル以上の大きさで表示すること。
(無線通信補助設備)
第31条 無線通信補助設備は、地階の床面積の合計が1,000平方メートル以上の防火対象物の地階部分に次に定めるところにより設けるものとする。
(1)使用周波数は、150MHz帯(260MHz帯も含む。)及び400MHz帯の周波数を有効に伝送又は輻射できるものであること。(消防無線のデジタル化に伴い当分の間、3波対応とする。この場合150MHz帯と260MHz帯を混合器で接続すること。)
(2)接続端子は、次によること。
ア 地上で消防隊が指揮本部等として有効に活動できる場所及び常時人のいる場所(防災センター等が設けられている場合には、当該室)に設けること。
イ 前アの地上に設ける接続端子の数は、一の出入口から他の出入口までの歩行距離が300メートル以上となる場合は、2箇所以上とすること。
ウ 接続端子は、JISC5411高周波数同軸C01形コネクタのうちコネクタ形状が接せん座、コンタクト形状がめすのものに適合するものであること。
(3)接続端子を収納する保護箱は、次によること。
ア 材質は、防せい加工を施した厚さ1.6ミリメートル以上の鋼板製又はこれと同等以上の強度を有するものであること。ただし、屋内に設けるものにあっては、厚さ0.8ミリメートル以上とすることができる。
イ 容易に開閉できるとびらを有し、かつ、操作が容易に行える大きさのものであること。
ウ 地上に設けるものは、施錠ができる構造のものであること。
エ 地上に設ける保護箱のかぎ穴及びとびら部には、防滴及び防じん措置を講じること。
オ 保護箱内の見やすい箇所に最大許容入力電力、使用できる周波数帯域及び注意事項等を表示すること。
カ 保護箱の前面には、「消防隊専用無線機接続端子」と表示すること。
キ 保護箱の表面は、赤色又は朱色とすること。ただし、前面に直径10センチメートル以上の消防章を設けたものについては、この限りでない。
ク 保護箱内には、次の(ア)から(ウ)に掲げる物品を収納すること。
(ア)両端にJISC5411高周波同軸C01形コネクタ(コネクタ形状が接せん、コンタクト形状がおすのものに限る。通称「N-P型」という。)及びMIL規格TNC形コネクタ(コネクタ形状が接せん、コンタクト形状がおすのものに限る。通称「TNC-P型」という。)を設けたJISC3501の規格に適合する長さ2メートル以上の高周波同軸ケーブル
(イ)両端がMIL規格TNC形コネクタ(コネクタ形状が接せん、コンタクト形状がめすのもに限る。通称「TNC-J形」という。)及びJISC5412高周波同軸C02形コネクタ(コネクタ形状が接せん、コンタクト形状がおすのものに限る。通称「BNC-P型」という。)により構成される交換コネクタ(細い鎖で(ア)の同軸ケーブルに接続したもの)
(ウ)JISC5412高周波同軸C02形コネクタ(コネクタ形状が接せん、コンタクト形状がめすのものに限る。通称「BNC-J型」という。)である無反射終端抵抗器(細い鎖で(ア)の同軸ケーブルに接続したもの)
第8章 電気設備等
(電気設備)
第32条 受電設備、変電設備等の変圧器及び遮断器を設ける場合は、努めて乾式のものを使用するものとする。
2 電気設備等は、次に定める基準により設けるものとする。
(1)特定防火対象物以外で延べ面積3,000平方メートル以上のものは、防災設備機器等の非常電源として自家発電設備、蓄電池設備又は燃料電池設備を設けること。
(2)自家発電設備、蓄電池設備又は燃料電池設備は、長時間型のものとし、その容量は防災設備機器等の全負荷に十分適応できるものであること。
(3)地階に変電設備、発電設備、蓄電池設備又は燃料電池設備を設ける場合は、当該設備の存する階の床面から50センチメートル以上高く設置し、又は有効な防水堤を設けるなど消防活動による浸水対策をすること。ただし、当該設備の存する階より下に階が存するなど消防活動に支障がない場合は、この限りでない。
(4)地階を除く階数が15階層以上の建築物における受電方式は、ネットワーク方式、ループ方式又はこれらと同等以上の信頼性のある方式を採用すること。
(5)電気室等には、不活性ガス消火設備又はハロゲン化物消火設備を令第16条又は第17条に定める技術上の基準の例により設置すること。
(6)電線を同一ダクト、ラック等に多条布設する場合は、有効な延焼防止対策を講ずること。
第9章 雑則
(設置の特例)
第33条 この要綱の規定は、消防長が防火対象物の状況等から判断して、この要綱の規定によらなくても所期の目的が達成されると認めた場合又は予想しない特殊な設備等の設置により、この要綱の規定による場合と同等以上の効果があると認める場合においては適用しない。
(共同住宅の基準)
第34条 高層建築物に該当する共同住宅の基準については、第2条に定めるもののほか、別に定めるものとする。
附則
(施行期日)
1 この要綱は、平成15年4月1日から施行する。
(経過措置)
2 この要綱施行の際、現に建築基準法(昭和25年法律第201号)第6条の規定に基づく建築確認申請又は同法第18条第2項に基づく通知が受理されている建築物については、この要綱の規定は、適用しない。
附則(平成25年5月1日消消第4号)
この要綱は、平成25年5月1日から施行する。