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更新日:2025年2月12日
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感染性胃腸炎に注意しましょう
例年、11月から3月にかけての時期は、腹痛、嘔吐、下痢を主な症状とする「感染性胃腸炎」の発生が増加します。
毎年、全国各地で、保育園や幼稚園、高齢者介護などの施設で多数の集団感染が報告されています。
特に、集団感染の恐れがある各施設においては、衛生管理に注意して対策を行ってください。
感染性胃腸炎とは
感染性胃腸炎とは、主にウイルスなどの微生物を原因とする胃腸炎の総称です。
昔は、「お腹のカゼ」とも呼ばれていました。
原因となるウイルスは、「ノロウイルス」「サポウイルス」「ロタウイルス」「腸管アデノウイルス」などがありますが、感染性胃腸炎の原因として最も多いものは「ノロウイルス」です。なお、「ロタウイルス」「腸管アデノウイルス」による胃腸炎は乳幼児によく見られます。
- 症状
原因となる病原体により異なりますが、潜伏期間は1~3日程度です。
ノロウイルスによる胃腸炎の主な症状は、吐き気、嘔吐、下痢、発熱、腹痛であり、小児では嘔吐が、成人では下痢が多い傾向にあります。有症期間は平均1~2日程度です。
ロタウイルスによる胃腸炎の主な症状は、嘔吐、下痢、発熱で、1歳以下の小児ではけいれん発作を起こすこともあります。下痢の持続期間は平均5~6日です。
腸管アデノウイルスによる胃腸炎の主な症状は、嘔吐と下痢で、症状の持続は9~12日と長い傾向があります。
なお、これらに感染しても症状が起こらない場合や、嘔吐や下痢がなく軽い風邪のような症状の場合もあります。 - 感染経路と流行する季節
感染経路はいずれの病原体による胃腸炎でも、病原体が付着した手が口に触れることによる感染(接触感染)と、なんらかによって病原体に汚染された食品を食べることによる感染(経口感染)があります。
ノロウイルスによる胃腸炎は、秋~冬に流行します。ロタウイルスによる胃腸炎は、2~5月に集中し、腸管アデノウイルスによる胃腸炎は年間を通じて散発的に発生しています。 - 治療
これらウイルス群に対する特効的な薬は無いため、症状に応じた対症療法が行われます。
特に、体力的に弱い乳幼児や高齢者では下痢等による脱水症状に陥ることがあるので水分を十分に補給する必要があります。脱水症状がひどい場合には医療機関で非経口的輸液(点滴)を行るなどの速やかな治療が必要になります。
感染性胃腸炎の予防のポイント
- こまめな手洗いを行う。
手洗いは、手指に付着しているウイルスを減らす最も有効な方法です。
トイレの後、食事をする前、調理を行う前(特に、飲食業に従事されている方)、下痢等の患者の汚物処理やオムツ交換等を行った後は、十分に手を洗いましょう。
指先から腕まで、石けんを十分泡立ててしっかり洗い、流水で30秒以上流すことが有効です。 - 嘔吐物、下痢便の処理には注意が必要です
ウイルスによる胃腸炎患者の嘔吐物や下痢便には大量のウイルスが含まれており、これらが感染源となって処理する人が感染することがあります。
嘔吐物や便を処理するときは、使い捨て手袋及びペーパータオル、マスク、エプロンを着用し、処理後は石けんと流水で十分に手を洗いましょう。 - 二枚貝の十分な加熱
一般的にウイルスは熱に弱く、加熱処理をすることでその活性を失わせることができます。
特に、ノロウイルスの汚染のおそれのあるカキなどの二枚貝の食品は、中心部まで十分に加熱しましょう。
参考:ノロウイルス食中毒予防対策リーフレット(厚生労働省)(PDF:484KB)
(ノロウイルス食中毒を対象とした予防策ですが、予防方法は他の感染性胃腸炎と共通)