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更新日:2024年2月15日
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世界文化遺産富士山の構成資産「三保松原」
「三保松原」は、万葉の昔から白砂青松と霊峰富士の眺望の素晴らしさで全国にその名を知られています。これまでにどれほどの日本人がこの景色に感動し、魂に刻んできたかは現代に伝わる数多くの詩歌、絵画が如実に証明しています。何百年にもわたり愛され続けてきた所以、それはそれが本物であるからとしか表現できません。人間が理屈抜きに本当に素晴らしいもの、美しいものを欲する以上、この地は人間を惹きつけて止まない魅力に溢れています。古今東西、老若男女を問うことなく、万民にとって一度は訪れたい、憧れの地、羨望の地となりうる吸引力を持っているのです。そして、その魅力は、「富士山」と一体となることで完成度が高まります。
なぜ、富士山から45キロメートル離れている「三保松原」が構成資産なのでしょうか。
第一に、「三保松原」からの富士山の眺望、あるいは「三保松原」と富士山が描かれた絵画が多く残されていることです。
例えば、伝雪舟「富士三保清見寺図」、狩野探幽「富士山図」、狩野山雪「富士三保松原図」、歌川広重「東海道五十三次」「六十余州名所図会」、和田英作「松原富士」「朝陽富士」などがあります。
第二に、多くの歌人・著名人が、「三保松原」を歌枕に作品を残していることです。
例えば、
「夕日影入海すずし沖つ風松にこたふる三保の浦波」読人不知
「蘆原の清見の崎の三保の浦のゆたけき見つつものもひもなし」田口益人
「きよみ潟ふじの煙や消えぬらん月影みがく三保の浦波」後鳥羽院
「諸人のたち帰りつつみるとてや関に向へる三保の松原」豊臣秀吉
「松原の色あくまでも清して海に愁ひの留る夕ぐれ」与謝野晶子
第三には、富士山信仰の一部と考えられていたことです。
例えば、富士山信仰の象徴的な「富士曼荼羅図」、狩野元信印登拝の案内図や参詣図「富士禅定図」「富士山社堂行所図」など、信仰や参詣の様子が描かれた絵図の多くに「三保松原」が描かれています。
このように、「三保松原」は、芸術の源泉・信仰の対象として、富士山との関係性が深く、構成資産としてふさわしい価値があるといえるのです。
今回の世界文化遺産登録はゴールではありません。「富士山」とその構成資産を守るための新たなスタートです。世界の宝となった「富士山」「三保松原」を皆様の力で、後世に末永く引き継いでいきましょう。
静岡市三保松原文化創造センター「みほしるべ」
開館時間:午前9時~午後4時30分(年中無休)
住所:静岡市清水区三保1338番地の45
三保松原の価値や魅力の発信、保全活動を国内外へ発信する施設です。
三保松原を次世代に引き継ぐとともに、世界中から三保松原を訪れる人たちや地元住民との交流の拠点となり、三保松原における文化的な価値と自然的な価値を融合させ磨き上げた、新たな「三保松原文化」を作っていきます。