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更新日:2025年2月17日
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2.伝付峠周辺
A構成・特徴・状態
伝付峠は、かつて南アルプス南部に入山するための代表的な通過点であった。峠の南部では、延長100m以上の船底状の線状凹地が数列ならび、幅広く平坦な稜線を作っている。峠から約500m北の稜線状の展望台から西方に千枚岳、悪沢岳、赤石岳、聖岳、上河内岳などが一望できる。東方の富士山の好展望地でもある。峠の南方の東海フォレスト管理林道を大井川側に下ると、千枚岳崩れや、大井川西俣のV字谷を通して塩見岳が展望できる。また途中、林道脇の露頭で、半波長数cm程度の小褶曲を伴う犬居帯の結晶片岩化した泥質岩が観察できる。
【状態】2009年に設置された展望台とその周辺の遊歩道は笹藪中にあるために、シーズン中は定期的な整備が必要である。東俣林道から入る稜線上つけられた管理林道は、現在は車両の運行はほとんどなく、稜線上の部分を除き落石が多く、歩行するには注意が必要である。林道が最も北に張り出した部分から登山道に簡単に移行できる。
B周辺環境
二軒小屋から90~100分程度の登山(ハイキング)で伝付峠に着く。登山道の一部は二軒小屋周辺の自然観察周遊道でもあり、良く整備されていているが。樹林体内にあるため展望は良くない。峠を山梨側に下ると、糸静線新倉露頭にでる。伝付峠-新倉間については、こちらは本格的登山道である。椹島周辺のジオサイト群と組み合わせると良い。
C価値
新倉から二軒小屋にかけてのルートは、南アルプス南部の登山を担った歴史的な意義を持つ登山道である。伝付峠の線状凹地は稜線上にあり、アクセスが手軽で規模が大きい船底状の凹地として貴重な存在である。また峠周辺は、赤石岳を含む南アルプス南部の高山地形、大井川西俣のV字谷、千枚岳崩れの崩壊地形、富士山などを望める展望地としても良好である。
D場所
【位置】静岡市葵区と早川町新倉との境界.新倉から二軒小屋を結ぶ登山道の最高地点.
【緯度・経度】展望台の位置(N35゜30’13”,E138゜15’37”)