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ページID:1591
更新日:2025年2月17日
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6.上河内岳周辺
A構成・特徴・状態
上河内岳(2803)mは、聖岳、赤石岳を含めた南アルプス南部の山々を見晴らす絶好の展望地である。この山の特徴は、山頂の北西肩を通過し北東-南西方向に走る長さ1km以上の大規模な線状凹地を持つことである。凹地の北東側(山頂側)は、白根帯の泥質基質を持つメランジュ、北西側はチャート層から構成されている。聖平からの登山道は凹地の最高部の鞍部をとおり、その約500m南西方で灰白色のチャートの岩塔、竹内門の間を抜ける。岩塔の壁面には美しい褶曲構造が認められる。さらに南西方のお花畑も、尾根上の幅広い線状凹地で、その内部に周氷河作用による亀甲状土が見られる。
【状態】南アルプスは、聖平より南側は北側に比べて登山者が少なく、自然状態も良好に保存されている。ただし、最近はお花畑の一部は荒れてきている。周氷河性微地形の保存のために、登山道を狭い範囲に固定する必要があろう。
B周辺環境
上河内岳に直接至る登山道はない。この山は聖平と茶臼岳との間にあるため、聖平小屋と茶臼小屋を利用することになり、遠山川または大井川側からの周遊登山が可能である。また聖岳から光岳への縦走も良いジオツァーとなる。
C価値
南アルプス南部に特徴的な幅広く緩やかな稜線付近の景観、大規模線状凹地、周氷河性微地形を持つ山岳地形を見ながら、おだやかな登山を楽しむことができる。竹内門のチャートの褶曲は大規模なものではないが、観察しやすい。
D場所
【位置】静岡市葵区と飯田市との境界
【緯度・経度】山頂(N35゜23’22”,E138゜09’10”)