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ページID:1590
更新日:2025年2月17日
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5.聖岳周辺
A構成・特徴・状態
聖岳(3013m)は南アルプスの3000m峰として最南部に位置する。山頂からは南アルプス南部の景観が360゜にわたって広がる。山頂周辺は比較的低起伏で、大小の緑色岩、チャート、砂岩岩塊を含む泥質基質の混在岩からなる。北側の兎岳との鞍部付近にある赤色チャートの岩壁は、登山道沿いにあるチャートの露頭としては最も大規模である。南西側の薊畑から聖平にかけても赤色チャートが露出しており、便ヶ島からの尾根沿いの登山道にも赤色チャートが連続的に見られる。椹島から聖平に向かう登山道沿いの岩頭滝見台付近では枕状溶岩が観察できる。主要登山道沿いで最も明瞭に枕状構造が観察できる露頭である。
聖岳は南アルプスの最奥部にあるため、全体として自然状態の保存は良好である。主稜線の縦走コースに位置するため、登山道は整備されているが、兎-聖のコルや聖岳南西のやせ尾根を通過する箇所では注意が必要である。長野側からは便ヶ島の聖光小屋、大井川側からは椹島ロッジが基地、中継は百間洞山の家、聖平小屋となる。
B周辺環境
荒川三山、赤石岳、上河内岳、茶臼岳、光岳などと組み合わせた縦走では、最低3泊、全コース5~6泊の山小屋泊が必要な本格的登山コースであるが、変化に富んだ絶好のジオツァーコースでもある。
C価値
聖-兎岳のコルにある赤色チャートの露頭は、南アルプスの主稜線部では最も大規模な露頭である。岩頭滝見台付近の枕状溶岩も登山道沿いのものとしては最も見事である。これら遠洋性海洋底岩石に加えて、それらを取り込んだ泥質岩を基質とするメランジュも好露出する。
D場所
【位置】静岡市葵区と飯田市との境界
【緯度・経度】聖岳山頂(N35゜25’21”,E138゜08’23”)