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更新日:2024年2月15日

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6 伝説・祭り他

林業と川狩り

【 林業と川狩り 】寸又川(すまたがわ)流域の森林は、江戸時代から大規模な伐採が行われた記録がある。
慶長9(1614)年、駿府城本丸築城用材としてケヤキ、ツガ、ヒノキ合わせて2万5千本が切り出された。
また1618~1644年にわたって浅間神社用材、江戸城本丸築城材などで21万本が切り出されており、中でも寛永13(1636)年の伐採は、駿河屋孫衛門が千百余名の人夫(にんぷ)を使い、6万本を伐採した。紀伊国屋文左衛門は、1698年から3年の間に、上野寛永寺根本中堂用材として347,120本という膨大な規模の木材を伐採して運び出したという記録が残っている。
明治時代に、寸又川流域の山林は皇室の財産である御料林(ごりょうりん)となり、昭和2(1869)年には千頭国有林(せんずこくゆうりん)となった。木材の輸送は、索道による輸送が始まる前は大井川における「川(かわ)狩(が)り」で行われていた。

焼畑農業

【 焼畑農業 】井川では古くから焼畑による農業が盛んであり、この地で「ハタケ」とは焼畑のことを指す言葉であった。
山奥のところどころにしっかりとした出作り小屋(居小屋)を立てて、そこから更に奥で焼畑をひらき、春先から秋まで泊まり込んで畑仕事を行った。また男衆はヤボヤキ(ヤブ焼き)を行ったあと山仕事に入り、その後の焼畑の草とりや収穫を女衆が行うという分業体制がしかれていた
山の草木を刈って枯らし、そこに火を入れてハタケとすることを「ヤボヤキ(ヤブ焼き)」と言いう。
春に行う「ハルヤブ」のあと、1年目はヒエが栽培されました。そして2年目以降は次のような作物が栽培された。
2年目:ダイズ、アズキ、サカアワ、シマイモ
3年目:サカアワ、ケッベー(毛稗)、アズキ
4年目:エゴマ、シマイモ、アワ、アズキ
このように3~4年の間作物を作った後ハタケはヤブに戻され、地力が回復するまで20~30年待ってからまたハタケにするという、長い周期で畑地を循環させていた
現在、地球レベルでの森林喪失の原因と言われる焼畑は一過性・不可逆的なものであるが、井川地区における焼畑は植生回復まで見込んだ循環的なものであり、地域の自然と調和したものであったと言える。

やまめ祭り

【 やまめ祭り 】田代諏訪神社に伝わる祭り。村の安泰を願い、主食であったアワと貴重なタンパク源であったヤマメの豊作・豊漁を祈願する祭りとして受け継がれてきた。
田代諏訪神社は、かつて井川で勢力を誇った海野氏のショイガミとして1238年に信州諏訪大社から勧請(かんじょう)されたと伝えられている。また、信州から移り住んできた先祖の歴史を伝える伝承がいくつも存在している。静岡市の指定無形民俗文化財、静岡県の指定無形民俗文化財。

小河内のヒヨンドリ

【 小河内のヒヨンドリ 】井川最奥の集落、小河内に伝わる正月行事です。起源は定かではありませんが、地元ではイセソーホーなる人物が曲物の製作技術と共にこの行事を伝えたとされています。
元旦の早朝、頭屋(現在は公民館)に集合した人々が提灯を片手に村内を一周し、昔はムラで唯一の共同の水場であった井戸に向かいます。頭屋と井戸の前では、独特の節回しに特徴のあるヒヨンドリの唄を音頭取りが納めます(図1)。唄の内容は火伏せを中心にムラの安泰、家内安全を祈るものなどで構成されています。
ヒヨンドリと称する行事は、大井川、天竜川流域を中心に様々な形で伝承されていますが、静岡市内では小河内にだけ残る貴重な行事です。静岡市地域登録文化財。

ヤマイヌ信仰

【 ヤマイヌ信仰 】ヤマイヌ(ニホンオオカミ)は恐るべき存在である一方で、焼畑農業を行う上で、作物の害獣、ニホンジカやイノシシなどを追い払う存在でもあった。そのため大井川流域では、ヤマイヌを祀る神社がいくつかみられる。
田代の大井神社では、「大井社」としてその下に一頭のヤマイヌが右向きで座っている図柄の神札(ふだ)を発行しており、このお札は疫病(えきびょう)よけ、猪鹿(しし)よけとして用いられたという伝承がある。
現在、ニホンジカの増殖、高標域への侵入が問題になってるが、人と自然との関係が密接であった頃は、バランスがとれていました。ヤマイヌが捕食者として南アルプスの生態系の頂点におり、また、適度に行われていた狩猟も、ニホンジカの抑制要因の一つになっていた。

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