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更新日:2024年2月15日
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令和3年6月1日に施行された改正動物愛護法の概要について
令和3年6月1日に第2段階の改正動物愛護法が施行されました。
動物取扱業者の方に関わる、改正の要点について解説しています。
改正の内容は大きく2つです。
- (1)生後57日齢未満の犬猫の販売が禁止されました(一部例外あり)
- (2)犬猫の飼養基準が具体化されました
飼養基準は第一種動物取扱業者及び第二種動物取扱業者が取り扱う動物の管理の方法等の基準を定める省令(以下、基準省令と記載します)により規定されます。
省令基準の策定を受け、「第一種動物取扱業者が遵守すべき動物の管理の方法等の細目」および「第二種動物取扱業者が遵守すべき動物の管理の方法等の細目」は廃止されました。
さらに、(2)の飼養基準には以下の2種類あります。
- (1)法改正後すぐに守らなければいけない基準
- (2)令和3年6月までに登録した事業所には猶予のある基準(経過措置が設けられている基準)
各改正内容についての概要を解説していますので、参考のうえ遵守いただくようお願いいたします。
なお、2021年6月1日以降に新規登録する事業所については、猶予基準はありません。
登録後すぐにすべての基準を満たす必要がありますので、ご注意ください。
生後57日齢未満の犬猫の販売が禁止されました
動物愛護法の改正後は、販売できる犬猫は生後57日齢以上に限られます。
生まれた日を0日齢として計算します。
例外的に50日齢以上で販売できる犬については、次の条件を満たす必要があります。
- (1)天然記念物の日本犬6種のいずれかである。
(柴犬、紀州犬、四国犬、甲斐犬、北海道犬、秋田犬) - (2)今後環境省が定める、公益性の高い団体が発行する血統書があること。
- (3)上記の特定犬種を繁殖している事業者が、一般の飼い主に販売する場合。
事業者から事業者への販売は、どんな条件であっても57日齢以上での販売となりますのでご注意ください。
動物愛護法の改正後すぐに守らなければいけない基準
動物愛護法の改正後、すべての事業所がすぐに守らなければならない主な基準は以下の10点となります。
- (1)年1回以上の獣医師による健康診断の実施
- (2)6時間以上の連続展示の禁止
- (3)輸送後2日間以上の観察を実施
- (4)繁殖制限に係る基準
- (5)ケージの構造や材質
- (6)温度計・湿度計の設置
- (7)臭気の管理
- (8)犬猫の不適切な状態の禁止
- (9)清潔な水の供給
- (10)人とのふれあいの実施
次に、上記の10点について解説します。
年1回以上の獣医師による健康診断
1年以上飼養する犬猫は、年1回以上獣医師による健康診断を受けるさせることが義務付けられました。
健康結果の診断書は5年間の保管義務があります。
出産するメスについては、後述する繁殖に適するかどうかの診断も必要になります。
また、犬猫だけでなく動物が病気やケガをした場合には、必要に応じて獣医師の診察を受けることと規定されています。
6時間以上の連続展示の禁止
犬猫の展示を行う場合、休息ができる設備に自由に移動できるように管理することが求められます。
それができない場合は、展示を行う6時間ごとに、人目につかず、人に触れられない静かな休息場所に移すようにしてください。
輸送後2日間以上の観察を実施
犬猫の輸送を行った場合は、輸送後2日(48時間)以上、健康状態を目視で観察しなければなりません。
観察期間中は、販売や展示等はできません。
また、輸送中も動物の状態の目視確認、日常的な動作ができる空間の確保、清潔な状態の確保が求められます。
繁殖制限に係る基準
繁殖制限に係る基準については、3点の遵守事項が追加されました。
- (1)繁殖に適さない犬猫の交配禁止
出産を予定する犬猫の場合は、獣医師による健康診断時に繁殖に適するかどうかの判断を受ける必要があります。
獣医師が繁殖に適さないと判断した場合、交配は禁止となります。 - (2)帝王切開に関する注意点
帝王切開は獣医師が行うこと、出生証明の交付を受けること、母体の状態と今後の繁殖の適否に関する診断書の交付を受けることが必要となり、診断書は5年間の保存義務があります。 - (3)これらの情報は繁殖実施状況記録台帳に記載する必要があります。
ケージの構造や材質
犬猫を飼養するケージなどの床に、金網を使用することは禁止されました。
また、サビや割れなどの破損がある状態で使用することも禁止されています。
温度計・湿度計の設置
犬猫の飼養施設には温度計・湿度計の設置が義務づけられました。
低温や高温により、健康が損なわれないよう配慮する必要があります。
臭気の管理
臭気により、飼養環境や周辺の生活環境をそこなわないよう清潔にする必要があります。
臭気が著しく環境を損なう場合には、空気清浄機や脱臭装置、汚物用の密閉容器を備える必要があります。
犬猫の不適切な状態の禁止
以下のような、犬猫の健康や安全が損なわれる状態になることが禁止されました。
- 被毛にふん尿等が固着した状態
- 体表が被毛に覆われた状態
- 爪が異常に伸びている状態
- その他、飼養環境に起因する健康や安全が損なわれるおそれのある状態
清潔な水の供給
犬猫が清潔な水をいつでも飲める状態であることが義務づけられました。
人とのふれあいの実施
散歩や遊具(おもちゃ)を使用した、人とのふれあいを毎日実施するよう義務づけられました。
経過措置が設けられている基準
動物愛護法の改正後でも、令和3年6月より以前に登録した事業所には一定の猶予期間(経過措置)が設けられている基準があります。
経過措置が設けられている基準は以下の3点となります。
- (1)ケージなどのサイズや構造
- (2)飼養する犬猫の頭数制限
- (3)繁殖年齢や繁殖回数の制限
次に、上記3点について解説します。
ケージなどのサイズや構造
犬猫を飼養するケージ等のサイズに関する基準が具体化されました。
- 運動スペースを持たない「分離型」の場合
犬:タテは体長の2倍×ヨコは体長の1.5倍×高さ体高の2倍
猫:タテは体長の2倍×ヨコは体長の1.5倍×高さ体高の3倍(棚を1つ設け2段以上設置)
*運動スペースを「一体型」の基準に合うよう、別に設置する必要があります。 - 運動スペース「一体型」の場合
犬:分離型の床面積の6倍×高さ体高の2倍
猫:分離型の床面積の2倍×高さ体高の4倍(棚を2つ以上設け3段以上設置)
*令和3年6月前に登録した事業者は令和4年6月1日までに基準に適応する必要があります。
*傷病やトリミング後の一時的な保管は例外とされるケースもあります。
飼養する犬猫の頭数制限
飼養者1人あたりの犬猫の飼養頭数に制限が設けられました。
週40時間以上の勤務で、1人の飼養者と認められます。
- 飼養者(従業員)1人あたりの飼養頭数
- 犬:20頭(うち繁殖犬は15頭)まで
- 猫:30頭(うち繁殖猫は25頭)まで
*令和3年6月前に登録した事業者は、令和6年6月1日までに基準に適応する必要があります。
経過措置中の頭数や、犬猫両方を飼養するケースは基準省令をご確認ください。
*週40時間以下で勤務する従業員は、他の従業員と勤務時間を合算することができます。
繁殖年齢や繁殖回数の制限
犬猫の繁殖年齢や繁殖回数に制限が設けられました。
- 犬:生涯の出産回数は6回までとなり、メスの繁殖は6歳までと制限されます。
7歳の時点で出産回数が6回未満の場合、交配は7歳までとなります。 - 猫:メスの繁殖は6歳までと制限されます。
7歳の時点で出産回数が10回未満の場合、交配は7歳までとなります。
*7歳まで繁殖できる犬猫は、生涯出産回数が証明できる場合に限られます。
*令和4年6月1日から開始されます。