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ページID:1565
更新日:2024年2月15日
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3 大型ソリフラクションローブ
A構成・特徴・状態
特徴
- 線状凹地内に大型のソリフラクションローブ(永久凍土や地面の凍結融解のはたらきによって形成される舌状の高まり)が複数、見られる。
- ソリフラクションローブの大きさは最大で幅が20m、全長が50m、末端部の高さが2m~3mである。そこには平均礫径40cm~50cmの粗大な岩塊が堆積している。
このサイズは国内最大級の大きさを誇るものである。
状態
- 本地域の大型ソリフラクションローブは,規模が大きいことから。過去の寒冷な時期に形成され、現在は活動が停止している化石ソリフラクションローブであると考えられている。
- 大型ソリフラクションローブに見られる礫は風化し、コケに覆われている。また、その地表面はハイマツなどの木本植物や草本植物に植被されている。
B周辺環境
線状凹地内には、小規模なソリフラクションローブ、礫質円形土、階状土、ストーンペイブメントなどの周氷河地形が見られる。
C価値
本地域の大型ソリフラクションローブは、報告されている中で国内最大級の大きさを誇るものである。そのようなソリフラクションローブが中部山岳地域の南部に位置する南アルプスに存在することは非常に興味深い。
また現在、大型ソリフラクションローブが多く見られるのはアラスカなどの北極域である。本地域の大型ソリフラクションローブは、かつてこの地域が現在の北極域のような環境下にあったことを示す証拠(化石地形)であり、南アルプス北部地域の過去の自然環境を復元する上でも重要な地形であると言える。
D場所
【位置】
農鳥岳北側線状凹地内の標高2870m付近
【GPS】
北緯 35°36′55.0″
東経 138°09′14.0″