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更新日:2024年2月15日

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2 氷河・周氷河地形群

センジヶ原のアースハンモックの写真 間ノ岳山頂から見た細沢カールと北沢カールの写真

A構成・特徴・状態

南アルプスの高山域には、最終氷期に形成された氷河・周氷河地形が散在している。そのうち、山岳氷河の頭部となるお椀の底状の地形であるカール(圏谷)は2800m以上の高度に分布する。いずれも幅数100m程度である。また、氷河から連続するU字谷も仙丈ヶ岳藪沢、間の岳細沢、悪沢岳万の助沢などがその例であるが、これらはその後の浸食により形態の保存が悪く、下流部は浸食が進んでV字谷に変化している。カール内にはモレーン(一部は岩石氷河か。)、羊背岩を伴うものもある(たとえば、藪沢)。また,周氷河地形も各所で認められる。それらは岩塊斜面(白鳳峠・仙水峠、赤石岳南西斜面など)、周氷河性低起伏地形面(丸山など)、ソリフラクションローブ(大聖寺平など)、階状土(丸山など)、亀甲状土(上河内岳お花畑)、アースハンモック(センジヶ原)などである。これらの氷河・周氷河地形は日本での南限とされている。

B周辺環境

これらの氷河・周氷河地形の大部分は、稜線上の登山道に沿って見ることができる。登山道の一部はカール内を横切っている。全体としてこれらは小規模ながらも、比較的良好に保存されている。これらが特に良く保存されている場所での歩行は登山道のみに限定する必要があり、一部は木道などによりその措置がなされている。各山頂にいたる登山道から観察することになるので、その他の地学現象とあわせて、ジオツァーコースを設定すると良い。

C価値

氷河・周氷河地形自体は、世界的にみて特に珍しくはなく、中~高緯度にある山岳地形の典型である。南アルプスのこれらは、規模と保存度からいって、北アルプスや日高山地、さらには台湾山脈の氷河地形群にははるかにおよばない。したがって、氷河地形のみでは世界自然遺産の登録基準を満たさない。しかしながら、特有の植物群やライチョウの分布などとあわせれば、日本の南限の氷河地形であり、東アジア東縁の温帯域では珍しいものなので、ジオサイトとして活用することができる。

D場所

藪沢、小仙丈沢、細沢、万の助沢、荒川中岳、赤石岳北沢、大聖寺平、センジケ原など

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