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ページID:1613
更新日:2025年2月17日
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4.線状凹地
線状凹地は、山地の稜線部周辺が山地自体の隆起や山腹斜面の浸食によって重力的に不安定となり、変位量の少ない正断層を伴いながら線状の凹地を形成していく。正断層は単一のこともあり、多数が複合することもある。凹地が発達すると二重(多重)山稜が形成され、全体的に山稜は緩やかになっていく。南アルプス周辺にはこのような線状凹地が多数発達している。間の岳、赤石岳などの山頂付近から標高1000m前後の山稜など標高や植生に余り依存せず、その規模も様々である。線状凹地の多くは基盤の急傾斜した四万十帯の地層の走向とほぼ平行である。南アルプス周辺の線状凹地は、山地全体の急速隆起と山腹斜面の急速浸食、異方性の強い堆積岩分布地域などの条件が重なって形成されたものと考えられる。線状凹地直下の山腹斜面は崩壊していることが多い。
A構成・特徴・状態
線状凹地は様々な規模のものが多数存在するが、登山道などで簡単に観察できる例をあげる。小太郎尾根右俣ルート降下点北方、北岳山荘、間の岳山頂および南斜面、農鳥岳南斜面、赤石岳山頂付近、千枚岳登山道駒鳥池、上河内岳山頂付近、同お花畑、伝付峠、赤崩上方、山伏南方、鳥森山北尾根、大札山南西尾根など
B周辺環境
線状凹地は高山地域に良く見られる地形であるが、南アルプス周辺は北アルプスに比べてもその発達の程度は高い。また、大規模崩壊と結びつく線状凹地群であることも南アルプスの特徴で、世界的に見てもこれほどの発達地域は少ないであろう。急傾斜した異方性の強い付加体堆積岩で構成されていることも、線状凹地が発達する重要な要素であると考えられる。
C価値
線状凹地は高山地域に良く見られる地形であるが、南アルプス周辺は北アルプスに比べてもその発達の程度は高い。また、大規模崩壊と結びつく線状凹地群であることも南アルプスの特徴で、世界的に見てもこれほどの発達地域は少ないであろう。急傾斜した異方性の強い付加体堆積岩で構成されていることも、線状凹地が発達する重要な要素であると考えられる。
D場所
間の岳南面、伝付峠、赤崩の上方、上河内岳、山伏南方など