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更新日:2024年2月15日
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次世代シークエンサーの貸与とゲノム解析について
次世代シークエンサーの無償貸与を受けました!
静岡市環境保健研究所では、令和3年4月に国から「次世代シークエンサー(ナノポアMK1c)」という機器の無償貸与を受け、リモートによる研修を受講後、令和3年5月から次世代シークエンサーを用いた新型コロナウイルスの「全ゲノム解析」を実施しています。
「全ゲノム解析」を行うことにより、新型コロナウイルスの変異株の系統(アルファ株・デルタ株)の確定を行うことが可能になります。これまでは、変異株の可能性があった検体について国立感染症研究所に送付し、解析を依頼していました。このため、送付に手間や時間が掛かっていましたが、当所で解析を行うことが可能となり、迅速な解析が可能となりました。
実際の解析では、無償貸与を受けた次世代シークエンサーで「生データ」を取得後、そのデータを国立感染症研究所のサーバーにアップロードをすることで解析してもらい(1時間程度)、アルファ株・デルタ株等の判定をしてもらいます。
国立感染症研究所では、全国の衛生研究所からデータがアップロードされるため、解析データが蓄積し、全国規模でのデータ解析などが可能となっています。また、国立感染症研究所で解析を受けた全ゲノム解析結果(ゲノム配列)は、データの精査後、GISAIDという全世界共通のデータベースに登録され、研究活用が可能となっています。
貸与を受けた次世代シークエンサーでは、検体数にもよりますが2日程度で生データを取得可能です。データの解析はサーバーの混雑具合にもよりますが、概ね1時間程度で可能なため、最短2日程度で変異株の解析が可能となっています。これまでは検体の送付までに1~2日かかっていたため、非常に迅速な解析が出来ています。
新型コロナウイルスゲノム解析のフローチャート
無償貸与を受けた機器について
国から貸与されている次世代シークエンサーは、ナノポアMK1cという写真にある機器です。非常にコンパクトな機器ですが、1回の解析で最大24検体までゲノム解析を同時に行うことが可能です。当所では、原則として毎週ゲノム解析を行っています。
解析中の次世代シークエンサー(ナノポアMK1c)
次世代シークエンサー(ナノポアMK1c)の内部にはこのようなフローセルが入っています
次世代シークエンサーを無償貸与されたことにより出来ること
ゲノムネットワーク図のイメージ
当所に次世代シークエンサーが貸与されたことにより、これまで当所のスクリーニング検査で判別できなかった変異株も解析が可能となっています。例えば、ラムダ株やミュー株といった新しい変異株も当所で解析が可能です。全ゲノム解析が可能になったことで、より迅速に変異株の侵入状況が監視できるようになりました。
また、リアルタイムな解析が可能になったことで、全ゲノム解析を行った後、ゲノムネットワーク図を作成することにより、市内における感染リンクを推定することが可能になりました。検出されたウイルスが市内のクラスタが由来となっているのか、市外からの流入なのか推定を行っています。