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更新日:2024年2月15日
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井川メンパ
井川メンパとは
井川メンパとは、葵区の山間地「井川」で古くから作られてきたお弁当箱です。
ヒノキの薄い板を丸く曲げて、継ぎ目を桜の皮で縫い合わせた後、生漆を塗って仕上げています。天然漆の光沢が美しく、滑らかな手触りがあります。大きさによって男持ち、女持ち、菜メンパの3種類あり、形は丸型と小判型があります。使い込んでいくと、漆の色が抜けていき、色合いの変化を楽しめ、愛着がわいてくるお弁当箱です。
左:丸型 右:小判型
起こり
井川メンパの原型となった曲物(まげもの:木材を丸く曲げて作る桶などの容器)は、鎌倉時代から井川で作られていたと言われています。室町時代になると、井川は金が採れる鉱山として栄えます。鉱山での作業に使う柄杓や桶などの曲物が盛んに作られていました。
江戸時代末期になると、曲物の技術を使ってお弁当箱やお櫃などの生活用具を作り、近隣へ販売していました。この時期に漆塗りの技術が加わり、現在の井川メンパの姿が出来上がったと言われています。
工房の様子
特徴
井川メンパは、農作業に出かける村民のために開発されました。常温でも食材をおいしく長持ちさせるため、吸湿性が良いヒノキや、抗菌作用のある漆が材料に使われています。夏は腐りにくく、冬は保温性が高く、お弁当とは思えないおいしさが味わえます。
また、漆を塗りなおせば何年も使える程、壊れにくいのが特徴です。継ぎ目は、幅の広い桜の皮でしっかり縫い止めており、さらに上から漆で塗り固めているため、とても丈夫な作りになっています。シンプルなデザインながら、性能は群を抜いたお弁当箱です。
現在の井川メンパ
井川メンパは、古い歴史と伝統を持った民具として見直され、人気が高まっています。しかし、現在井川メンパの製造技術を継承している職人は数名のみです。生産者数は非常に少なくなりましたが、需要に答えるため、日々制作活動を続けています。また、長年使い込んだ井川メンパの塗り直しなど、修理も可能な限り行っています。
現在、井川メンパは、静岡特有の歴史と伝統が評価され、静岡県郷土工芸品(外部サイトへリンク)に認定されています。
井川メンパ職人・望月栄一氏
井川メンパを購入したい方へ
以下で展示販売を行っています。詳しくは各ホームページをご覧ください。
- 駿府楽市
HP:駿府楽市(外部サイトへリンク)
JR静岡駅ASTY内で工芸品等を店頭販売
※在庫はお問合せください。
駿府楽市
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