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更新日:2024年2月15日
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駿河指物
指物(さしもの)とは
指物とは、枘差し(ほぞさし:凹凸を掘り、はめ込んで構造を作る技)などの手加工技術や、物差し、尺がねなどの道具を駆使して制作した木工品を言います。
外側に組み手を見せず、金釘も使わずに、木と木を「さし合わせて」組み立てる様から、「指物(さしもの)」と呼ばれるようになったという説があります。
木の加工は、コンマミリ単位の狂いすら許されない繊細な技術で、熟練職人は、手で触れるだけで、微細な板厚の違いなどが分かるといいます。
枘を掘った木材(画像提供:森下木工所)
指物の発祥
日本の指物の発祥地は、平安時代の宮廷文化が花開いた京都と言われています。以来、全国の職人が京都で学び、地方に広めていきました。
特に発展したのは、朝廷、公家向けに調度品を作った「京指物」と、将軍家、武士、歌舞伎役者向けに調度品を作った「江戸指物」です。京指物は漆や金箔などで雅に装飾される一方、江戸指物は木目を生かした粋で質素な見た目が特徴です。
鏡台
静岡の指物
江戸時代、久能山東照宮や静岡浅間神社の造営により、優秀な指物職人が静岡に移住したことで、静岡の指物生産は飛躍的に発展しました。材質感が残る木地呂塗で仕上げるなどの特徴から、静岡の指物は、江戸指物の流れを汲んでいます。
現在は「駿河指物」と呼ばれ、静岡県郷土工芸品(外部サイトへリンク)に指定されています。静岡は全国的な家具の産地ということもあり、木工機械を上手に使いこなせる点が他産地と大きく異なります。
→駿河指物の詳しい歴史について(PDF:78KB)(PDF)
機械加工中の職
指物家具
元来、駿河指物は、茶道具、文庫、小引出、硯箱などの小物雑貨を主に手掛けてきましたが、この技術を応用し、イス、タンス、テーブルなどの大型製品を制作する「指物家具」が誕生しました。
指物家具と一般的な家具との大きな違いは、木部材の加工方法です。一般的な家具は、接合部分にダボ構造を用いるのに対し、指物家具は、多彩な組み手、継ぎ手を用います。一つ一つの部品に多くの手間を費やすため、大量生産には向きませんが、安全で丈夫な作りになっており、長年の使用に耐えうる良質な家具です。
指物家具(画像提供:吉蔵)
静岡の名工
静岡市では、伝統工芸の職人として優秀な技術を有し、産業の発展と技術の継承に顕著な功績を持つ方を、「静岡市伝統工芸技術秀士」として指定しています。指物の職人で指定を受けているのは、以下の5名です。
鈴木秀勝 氏 作:タモ拭漆箱
駿河指物を購入したい方へ
駿府楽市では、店頭で様々な工芸品、特産品、土産物を取り扱っています。
場所:葵区黒金町47 JR静岡駅ASTY西館
電話:054-251-1147
詳しくは、駿府楽市ホームページへ
駿府楽市(外部サイトへリンク)
駿府楽市
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