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ページID:1559
更新日:2024年2月15日
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28 ブナ・ミズキ・アオダモ・クマシデ・ヒメシャラ
A構成・特徴・状態
特徴
- 20m×20mの調査区内に、
樹高15m~18mのブナ・ミズキ・アオダモ・モミなどの高木や、
樹高10m~12mのクマシデ・ヒメシャラなどが生育する。 - アブラチャンやタンナサワフタギフタギなどは樹高が4~5mで、低木層を構成する。
状態
南アルプスの静岡県側に位置する照葉樹林帯上部、亜高山帯下部にあたるこの樹林帯は、過去にほとんどの地域が伐採されていて天然林はほとんど残存していない。このような状況の中で、南アルプスの南部に位置する大札山のブナ林は大変貴重である。この森林は二次林ではあるが、大茎木のブナがかろうじて残っている。大札山の登山道沿いは観察林・教育林として管理されているため、今後も残るものと思われる。
B周辺環境
- 山頂付近までミズキやアオダモ・モミを交えるブナ林が広がる。
- わずかに照葉樹林が点在する落葉樹林が広がっている。
C価値
一般に、太平洋側のブナ林は日本海側に比べ分布域が狭く、ブナの優占度が低いと言われている。
また、ブナの実生や小径木はあまり見られない。これは、現在生育する大木が枯死するとこの場所からブナが消滅することを意味する。環境が激変しつつある今日において、分布域の狭い太平洋側に見られるブナ林として、さらに今後どのようにこのブナ林が変遷するのかを知る上でも非常に貴重な存在であると言える。
D場所
【位置】
大札山南東面の標高1260m付近
【GPS】
北緯 35°06′18.0″
東経 138°03′26.0″