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ページID:1598
更新日:2024年2月15日
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4 大谷崩
A構成・特徴・状態
大谷崩は赤石山地南部を代表する大崩壊地で、日本三大崩れの一つとされている。安倍川支流の大谷川沿いに付けられた林道を上るとその全容が観察できる。最近の大崩壊は、1707年の宝永地震に伴って生じたとされている。崩壊した土砂は大谷川を流下して安倍川本流に達し、大谷川下流および安倍川に堆積段丘を形成した。現在の新田周辺がその堆積段丘を利用した宅地・農地である。流下した砂礫は安部川本流を堰き止めて、その上流側にダム湖を形成した、その名残が幅広い河床として残されている。現在の大谷崩の下部には,多数の砂防堰堤が建設されている。山伏南方、崩壊地の北側尾根上には線状凹地が発達し、緩やかな稜線を作っている。
【状態】大谷川沿いに林道が設けられ、崩壊地の全容が遠望できる扇の要まで自家用車で到達可能である。小規模な崩壊は絶えず継続しているので、扇の要より上部では落石に要注意であり、特に凍結が弱まる初春は落石が多い。新田の堆積段丘、安倍川本流の埋積ダム跡も比較的簡単に観察できる。この崩壊の影響は赤水の滝の下流側まで保存されており、滝の見学地点には案内看板がある。
B周辺環境
扇の要まで乗用車でアクセス可能。静岡市から梅ヶ島温泉行きのバスで新田下車。大谷嶺や山伏の登山、梅ヶ島温泉安部奥の金山跡と組み合わせた静岡から日帰りのジオツァーとなる。
C価値
静岡市街から2時間程度で南アルプスを代表する崩壊地の一つを簡単に望むことができ、崩壊に伴う自然災害の状況が学べる場所である。大規模崩壊が作る堆積段丘、その平坦面が宅地・農地として活用されている。自然災害がもたらした生活の場として平坦地は活用されている。
D場所
【位置】静岡市葵区安倍川支流大谷川最上流部
【緯度・経度】大谷嶺山頂(N35゜19’10”,E138゜18’41”)