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ページID:1603
更新日:2025年2月17日
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8.上河内岳南方の構造土(多角形土)
A構成・特徴・状態
- 直径1m~3mの礫質多角形土(大小の礫が規則的に並んでつくられる、地表の多角形の模様)が形成されている。
- 礫質多角形土の周囲にはウシノケグサ・ミヤマアキノキリンソウ・タカネハリスゲなどの草本の高山植物が生育している。
【状態】
- 多角形土を形作る礫の大きさは、大きい礫が最大55cm・平均15cm、小さい礫が平均3~5cmである。
- 大きい礫の集まる部分と小さい礫の集まる部分境界が明瞭で、多角形の形をよく保存している。
- 礫質多角形土は現在、草本の高山植物などに覆われていることから、過去の寒冷な時期に形成されたと思われる。
B周辺環境
- 上河内岳から連なる稜線に分布する線状凹地にお花畑が成立している。
- お花畑の周囲には、シラビソなどの亜高山性の針葉樹が生育する。
C価値
本地域に形成された礫質多角形土(亀甲状土)は大型で、大きさは現在、大雪山や北極域で見られるものに匹敵する。これは、南アルプス南部地域でも過去の寒冷な時期には、現在のこれらの地域のような環境下にあり、大型の構造土が形成されたことを示す証拠(化石地形)である。
よって本地域の構造土は、地球環境が激変していると言われる今日において、過去そして現在の環境を知る上で、非常に重要であると言える。
D場所
【位置】上河内岳南方のお花畑(標高2550m付近)
【GPS】(北緯35°22′47.0″、東経138°08′35.5″)