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更新日:2025年2月17日
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5.梅ヶ島温泉と安倍奥の金山
A構成・特徴・状態
梅ヶ島温泉は安倍川上流(安倍奥)に位置し、静岡市の中心から路線バスで約90分の市内からの奥座敷的な位置にある。ここは南アルプス南部の八紘嶺(1618m)、大谷嶺(2000m)、山伏(2014m)などの安倍奥の山々の登山基地ともなっている。「日本の滝100選」に選ばれた安倍の大滝は、約80mの落差をもつ。日影沢金山は今川、武田、徳川の三代に渡って掘られた金山で、16~17世紀には多量の金を産出していたようだが、現在に残された小規模な坑道入り口跡には、その面影はない。この金山は瀬戸川帯の黒色スレート中に存在する石英脈に起源をもつもので、瀬戸川スレートは周辺各所に露出している。県道から分岐し金山温泉、日影沢金山に向かう道の安倍川本流にかかる橋から上流は幅広い河床に変化する。これは1707年の大谷崩れにともなって大谷から安倍川本流に流失した土石流によって形成された堰止め湖の跡である。
【状態】県道37号線には静岡市から毎日5往復の路線バスが運行されている。終点梅ヶ島温泉までの数カ所に立ち寄り温泉施設を含む旅館、民宿などが点在する。新田上流の黄金(こがね)の湯は一般客向きの手軽な日帰り温泉地である。金山跡、黄金の湯、安倍大滝にはそれぞれバス停、新田、黄金の郷、安倍大滝下車。安倍の大滝、日影沢金山跡にはそれぞれ往復一時間以上のややハードなハイキングが必要である。
B周辺環境
梅ヶ島温泉までは公共交通機関の利用が可能。そこから、安倍の大滝、日影沢金山跡などは徒歩で巡ることができる。入浴を兼ねた手軽なハイキングである。大谷崩れと組み合わせても良い。
C価値
安倍川上流部を南アルプスに含めるかどうかについては異論があろう。しかしながら、地質的には早川流域と連続する瀬戸川層群のスレートの分布域であり、小規模ながらも金鉱を産出するという点でも共通している。かつて安倍川上流域や早川流域の瀬戸川帯、大井川中~上流部の犬居帯にはこのような小規模な金鉱山が散在していたようだが、現在その跡が簡単に見られるのは、この日影沢鉱山のみである。
D場所
【位置】静岡市葵区梅ヶ島温泉,安倍川支流大谷川の上流部
【緯度・経度】梅ヶ島温泉源泉(N35゜18’22”,E138゜20’14”)