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更新日:2024年2月15日

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駿河漆器

駿河漆器

起こり

静岡では、漆器が古くから親しまれていたようで、登呂遺跡(外部サイトへリンク)からは、漆が塗られた琴(JPG:1,392KB)が出土しています。今川時代にも、御器屋町(現在の葵区西草深町辺り)では「中川大工」と呼ばれる集団が漆椀などを生産した記録が残されています。
静岡に漆器産業が定着した大きな要因は、江戸時代の寛永年間(1622~1644年)、静岡浅間神社造営の際に全国から優秀な漆塗職人が静岡に集まり、総漆塗りの拝殿を完成させたことでした。静岡は漆塗りに適した気候だったため、職人たちは拝殿完成後も定住し、技術を教え広めました。駿府の漆芸品は、江戸幕府の商業政策のもとで保護奨励を受け、参勤交代の土産として全国に知れ渡りました。

拭漆 うつわ

海外進出

江戸時代末以降、駿河漆器は、海外でも人気を博しました。
慶応3年(1867年)に開催された第2回パリ万国博覧会(外部サイトへリンク)には、日本を代表する物産として、駿府から漆塗りのタンスが出品されました。また、明治6年(1873年)のウィーン万国博覧会(外部サイトへリンク)では、寄席木細工の漆器が静岡から出品され、賞に輝きました。日本の伝統的な出展品は珍しがられ、いわゆるジャポニスム(日本ブーム)の契機となり、海外から注文が殺到しました。対欧貿易が急速に拡大し、駿河漆器はヨーロッパ各国に広がりました。

駿河漆器の平皿

時代の移ろい

1900年頃には、蒔絵付きの製品が海外受けし、全国の輸出漆器の大半を駿河漆器が占めていました。
ところが次第に、粗製乱造によって評判を落とし、さらに第一次世界大戦で対欧貿易が途絶え、多くの駿河漆器職人は廃業し、駿河塗下駄駿河雛具へ転職していきました。
しかし、一部の職人は、品質向上、名声維持のため努力を続け、終戦後の昭和34年(1959年)には、静岡漆器協同組合(現在の静岡漆器工業協同組合)を組織し、結束して駿河漆器を支えてきました。
駿河漆器の詳しい歴史について(PDF:93KB)(PDF)

塗りに用いる刷毛

現在の駿河漆器

現在、駿河漆器は、静岡県郷土工芸品(外部サイトへリンク)に認定されています。また、平成19年には、静岡漆器工業協同組合の申請により「駿河漆器」が、地域団体商標(外部サイトへリンク)に登録されました。指定商品は、静岡で漆塗りを施した椀、盆、箸、筆箱などで、静岡市初の地域ブランドとなりました。
組合は、「伝統の技と心を守り育てながら、現代に生かす」という意味を込めて「不易流行」をコンセプトに、日々精進しています。
駿河漆器パンフレット「不易流行」(PDF:5,017KB)(PDF)

駿河漆器のワイングラス

変わり塗りの開発

駿河漆器の特徴は「変わり塗り(かわりぬり)」です。基本的な漆塗技術を応用させ、様々な材料や技法を使った漆器が作られています。静岡は気温や湿度が漆塗りに適しており、高い技術を持った職人が多かったことが、応用技である変わり塗りを可能にしました。デザインや触り心地にも、独特の美しさがあります。
静岡の変わり塗りの開発者は、磯谷利三二(天保13年~明治37年)です。利三二は刀剣の研師でしたが、廃刀令により職を失い、漆器商に転業しました。刀剣の鞘に用いる塗り方を応用し、一風変わった塗り技術で漆器を作ったと言われています。
利三二が開発した変わり塗りは、各地の共進会、万国博覧会などで受賞し、国内外から高評価を受けます。後に、静岡漆器工業社を設立し、駿河漆器の品質維持、技術向上に貢献しました。
磯谷利三二について(PDF:108KB)(PDF)

磯谷利三二の肖像画

変わり塗りの発展

明治から大正にかけて、五味坂某による錫梨子地塗(すずなしじぬり)、鳥羽清一による金剛石目塗(こんごういしめぬり)など、熟練した職人による変わり塗りの開発が行われ、時代の移ろいと共に新しいデザインが生み出されました。
特に、静岡県工業試験場(現在の静岡県工業技術研究所(外部サイトへリンク))では、染箔塗、羽衣塗、硬化彩漆法、浮島塗、蜻蛉塗、紅輝塗、など多くの変わり塗りが開発されました。多種多様な技法は、漆器はもとより、家具、仏具、建物、塗下駄などにも応用されています。
変わり塗りについて(PDF:467KB)(PDF)

変わり塗り(珊瑚塗)の菓子器

静岡の名工

静岡市では、伝統工芸の職人として優秀な技術を有し、産業の発展と技術の継承に顕著な功績を持つ方を、「静岡市伝統工芸技術秀士」として指定しています。駿河漆器の職人で指定を受けているのは、以下の2名です。

新井吉雄 氏

駿河漆器を購入したい方へ

駿河トラッド
静岡市の工芸品が揃うネットショップです。
駿河トラッド直売店(外部サイトへリンク)

駿府楽市
JR静岡駅ASTY西館内「駿府楽市」では、店頭で様々な工芸品を取り扱っています。
駿府楽市(外部サイトへリンク)

駿府楽市

駿河漆器の製作体験をしたい方へ

駿府の工房 匠宿
駿河漆器をはじめ、竹細工、和染、陶芸、木工など、静岡市の伝統的なものづくりが体験できる施設です。
匠宿(外部サイトへリンク)

駿府の工房 匠宿

本ページに関連する情報

静岡市の工芸品(一覧)

このページの画像提供:静岡漆器工業協同組合
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お問い合わせ

経済局商工部産業振興課地場産業係

駿河区曲金3-1-10

電話番号:054-281-2100

ファックス番号:054-284-3987

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