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更新日:2024年9月30日
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家庭でできる生活排水対策
浄化槽をお使いの皆様へ
合併処理浄化槽では、家庭から排出されるすべての水が微生物によって処理されます。しかし、微生物の処理能力には限界があり、過度に汚い水や異物が浄化槽内に流入すると処理しきれずに、水質が悪化するおそれがあります。また、水質改善のために点検や清掃費が余計にかかることがあり、家計への負担も多くなる可能性があります。
ここでは、私たちにできる身近な生活排水対策をご紹介します。小さな心づかい1つでも、継続して取り組めば大きな成果につながります。できる範囲で少しずつ実践しましょう。
生活排水対策
台所
調理くずを流さないようにしましょう
家庭用の合併処理浄化槽は、調理くずを処理するようにはできていません。また、調理くずが流れてしまうと、配管が詰まる原因になります。三角コーナーを設置するなどして調理くずを回収し、可燃ごみとして処分しましょう。
使用した油を流さないようにしましょう
料理で残った油や、油分を多く含んだ残り汁(ラーメンの残り汁等)を流しに流すと、排水管や浄化槽内に油が付着し、目詰まりや腐食をおこすなど機能低下するおそれがあります。
油はできるかぎり使い切るようにし、やむをえず残ってしまった場合は、凝固剤で固めるか、吸収剤や新聞紙などに吸わせるなどして、可燃ごみとして捨てましょう。
食べ残し飲み残しを減らし、食器の油汚れを流さないようにしましょう
カレーやシチューなどの食べ残しや、ジュースやお酒などの飲み残しは、浄化槽内の微生物に対して負荷が高いため、できるかぎり流さないようにしましょう。食べ残しや飲み残しがおきないよう、料理は食べきれる分だけつくるなどして工夫しましょう。
また、食器や調理器具についた油汚れは、キッチンペーパーや新聞紙で軽くふき取った後に洗うなど、そのまま流さないようにしましょう。
浴室・洗濯
洗剤、カビ取り剤、シャンプー、トリートメント等の使用は適正量を守りましょう
洗濯用洗剤や、浴室用のカビ取り剤、シャンプー、トリートメント等は、使用上の注意をよく読み、メーカーが指示する適正量を守って使用しましょう。適正量以上使用しても、洗浄力に大きな変化はありません。使い過ぎは洗剤などが無駄になるばかりか、水を汚してしまう原因になります。
適正量の使用のほかに、使用頻度にも気をつけましょう。特に塩素系の漂白剤や、カビ取り剤は、浄化槽内の微生物に与える影響が大きく、過度に使用すると(微生物が)死滅するおそれがあります。使用する洗剤を浄化槽に流していいかわからない場合は、洗剤メーカーにお問い合わせいただくか、委託している保守点検業者にご相談ください。また、メーカーによっては、ホームページのQ&Aなどに記載している場合があります。
市販の入浴剤も適量を守って使用する分には、問題ありません。しかし、浄化槽内の水に色がついてしまうことがあり、水質検査で確認しにくくなるおそれがありますのでご注意ください。なお、硫黄成分を含む入浴剤については、できるだけ使用をお控えください。
一度に大量の水を流さないようにしましょう
浴槽の水を流すとき、およそ80~120リットルの水が一気に浄化槽へ流れていきます。近年の浄化槽には、流量調整機能をもったものもあり、一時的に大量の水が入っても問題ないつくりになっています。しかし、浴槽の水のほかに洗濯機や洗い物の水などを同時に流してしまうと、水が押し出されて処理が不十分な水が流れてしまうおそれがありますので、時間をあけて流すなどして工夫しましょう。
トイレ
紙おむつ、衛生用品、たばこの吸い殻、ペットのふんや尿は流さないようにしましょう
紙おむつや衛生用品、たばこの吸い殻をトイレに流すと、排水管や浄化槽内の装置が詰まってしまい、処理機能に悪い影響をあたえるおそれがあります。可燃ごみとして出すなど適切に処理しましょう。
また、ペットのふんや尿は、ヒトのし尿と成分や性質が異なり、浄化槽で処理するように設計されていません。浄化槽内の微生物に悪い影響を及ぼすおそれがあるため、トイレに流さないようにしましょう。ペットのふんや尿、トイレ砂等は可燃ごみとして処分するようお願いします。
トイレットペーパーを使用しましょう
トイレットペーパー以外の紙を使用すると、水の中で十分に溶けずに残ってしまい、排水管や浄化槽内のパイプを詰まらせる原因になります。また、トイレットペーパーの使い過ぎも詰まりの原因になりますので注意しましょう。
トイレ用洗剤の使用は適正量を守りましょう
洗濯用洗剤や浴室掃除用洗剤と同様にトイレ用洗剤も、使用上の注意をよく読み、メーカーが指示する適正量を守って使用しましょう。使用する洗剤を浄化槽に流していいかわからない場合は、洗剤メーカーにお問い合わせいただくか、委託している保守点検業者にご相談ください。
水質の確認方法
生活排水対策を実践しようとしても、肝心の浄化槽から出ていく水がきれいかどうかがわからなければ、対策のしようがありません。では、浄化槽から出ていく水がきれいかどうかは、どのように判断すればよいのでしょうか。ここでは、水質の確認方法についてご紹介します。
法定検査結果書で確認する
「法定検査」は、浄化槽の維持管理にかかる3つの義務のうちの1つです。
(詳しくは「浄化槽の維持管理」をご覧ください。)
法定検査の検査内容の1つに「水質検査」があり、この水質検査結果で水質が確認できます。なかでもBOD(生物化学的酸素要求量)は、水の中の汚れ(有機物)がどれくらいあるかを示すものとなっており、浄化槽法施行規則第1条の2にてその放流基準が定められています。BODの水質判定が「良」であれば、基準を満たしたきれいな水が流れていると判断できます。
BODとは?
Biochemical Oxygen Demandの略で、日本語だと生物化学的酸素要求量といいます。水の中の汚れ(有機物)がどのくらいあるのかを示すものです。水の汚れが大きいと、水中の微生物(好気性微生物)がたくさん増え、たくさんの水中の酸素を消費します。BODは、この微生物によって使われた酸素の量のことをいいます。つまり、BODが大きければ、水中の汚れが大きいことを示します。
浄化槽法施行規則第1条の2では、浄化槽からの放流水の水質基準は、BOD 20mg/L以下とされています。
下の図は、台所で食品を流したときに、コイやフナなどが生きていく環境(BOD5mg/L以下)にするには、どれだけの水で薄める必要があるのかを示したものになります。浄化槽で浄化できるといっても処理能力には限界があります。水を汚さないためにも、生活排水対策の実践をお願いします。
出典:「(パンフレット)浄化槽による地域の水環境改善の取組み」(環境省)https://www.env.go.jp/recycle/jokaso/publicity/pamph/
保守点検記録で確認する
「保守点検」は、法定検査と同様に浄化槽の維持管理にかかる3つの義務のうちの1つです。
点検内容には、pHや、透視度、ばっ気状態の確認など、簡易的な水質測定があり、その測定結果から水質の概要を確認できます。ただ、法定検査で調べるBODの測定はないため、必ずしも正確に水がきれいかどうかは判断できません。法定検査の結果とあわせて確認しましょう。