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更新日:2024年2月15日

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認知行動療法を学ぼうと考えている支援者の方へ

支援者に求められるスキル1

認知行動療法を支援に活かす場合、傾聴共感などのカウンセリングの基本をすでに習得していることが前提となります。

認知行動療法では、活動記録表などの使い方、基本モデル(出来事に対する認知・行動・気分・身体反応)によるアセスメントの仕方など、さまざまな場面で心理教育していくことに重きがおかれます。そのため、支援者がつい教えるようなスタイルで面接を主導してしまうと、クライエントにとって「押しつけがましく」感じられたり、クライエント自らが考えて答えをみつけていく自主性を損なうことになりかねません。

心理的支援すべてに共通しますが、クライエントと信頼関係を築き、協働して問題解決にあたることが技法以前に重要です。

支援者に求められるスキル2

うつ・不安などを悪化させる認知・行動パターンやそのパターンを切るための対処をクライエント自らが発見できるような質問力が支援者に求められます。

人は自分でみつけた答えを実行に移す傾向があります。対人援助に携わる方であれば、他者からのアドバイスや助言が意外に実行されていないことにお気づきのことと思います。自ら変わる必要性や重要性を感じ、変化の具体的手段をみつけたとき行動変容が起きるものです。

支援者が質問をするときには、ソクラテス式問答が役に立ちます。

ソクラテス式問答とは、閉じた質問とオープンな質問の中間に位置しているものです。たとえば、「今日は、良いことがあった?」という質問は「はい」か「いいえ」で答えられるので、閉じた質問です。「今日は、どんなことがあった?」という質問は話し手の自由度がとても高いオープンな質問です。

一方、「今日、どんな良いことがあった?」のように特定の方向性を質問者が決め、その方向性に沿って話し手が自由に答えるスタイルがソクラテス式問答になります。「気分が落ち込んでいるときって、どんなこと考えているんですか?」、「楽しく感じるときって、どんな活動しているときですか?」などがソクラテス式問答です。この問答を使って支援者が方向性を決め、その方向性に沿ってクライエントに自由に答えていただきます。

支援者に求められるスキル3

支援者が認知行動療法を体験している必要があります。そして、認知行動療法をストレスコーピングとしてご自身が活用できていることが望ましいと考えています。

認知行動療法にはさまざな技法がありますが、支援者が活用できていると、認知再構成法では反証をみつけると適応思考が導きやすくなるんだなとか、行動活性化療法では回避行動の長期結果を分析すると回避行動を変える方向に動いていくかもしれないなとか、マインドフルネスをやると自分自身を客観視できるななどと、体験的に理解を深めることができます。

単に知識として知っているだけではなく、認知行動療法がよく練られた技法だと信じられるようになります。支援者が自らこの技法を活用できていることは大きな強みとなります。

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保健福祉長寿局保健衛生医療部こころの健康センター 

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