印刷
ページID:3178
更新日:2025年2月13日
ここから本文です。
認知行動療法のエッセンスを取り入れた対話スキル
静岡市では、令和7年度、対人援助職向けに対話スキル研修の実施を計画しています。
詳細が決まりましたら、お知らせします。
ケアの質は対話で決まる
認知行動療法は、うつ病や不安障害、強迫性障害、依存症など、さまざまな疾患に対して用いられている効果的な支援方法です。
静岡市こころの健康センターでは、「うつ病集団回復プログラム」や「ギャンブル依存回復プログラム」などで認知行動療法を取り入れて実施しています。
認知行動療法プログラムを受ける方々は、プログラムセッションで認知行動療法についての心理教育を受け、認知行動療法の使い方について理解したのちにホームワークを設定し、ホームワークで実践したことを次回のセッションで振り返る、といったプロセスを繰り返していきます。自ら認知行動療法を理解して実践できるようにしていくことを目標としています。
したがって、動機づけの高い人でないとこうしたプログラムを継続することは難しいと言えます。
一方、ふだんの相談支援の場では、各疾患を対象とした認知行動療法を使える機会は非常に限られております。相談支援の場面では、相談者からクレームを受ける、相談者との関係が十分に築けない、相談者の話を一方的に聞くだけになっている、支援者の伝えたいことが相談者にうまく伝わらない、といったコミュニケーションの問題が起こりやすいのではないでしょうか。
こうしたコミュニケーションの問題に一石を投じ、ケアする人の強力な武器となるものが対話スキルです。医療、保健、福祉、教育などのさまざまな現場では、日々、患者、相談者、利用者、児童・生徒、保護者と称される方々と「対話」を行っております。このときの「対話」はいつもの支援者自身のスタイルで行っているのではないでしょうか。もちろん「対話」がうまくいっていることは多いのかもしれません。しかし、支援者自身のスタイルで行き詰まりを感じることもあるのではないでしょうか。
うまくいかないときの「対話」では、対話の順番が意識されていなかったり、相手の言い分を最後まで聞く前に正しいと考えていることを伝えていることがあります。相手との関係がうまくいっていないときには共感することは難しいでしょう。「質問」はもっぱら情報収集になりがちです。質問には本来もっと広い使い方があり、活用の仕方によっては質問で相手が自ら気づく機会を与えたり、質問で相手の視点を変えることもできます。対話スキルでは質問によって相手を動かしていくことができるのです。
対話スキルの中には認知行動療法のエッセンスが取り入れられており、認知・感情・行動面に整理してアプローチする手法が使われているため、ケアする人の頭の中も対話が整理されやすいと思われます。ケアのための対話スキルには「型」があるので学習やトレーニングによって習得することができます。
支援者向け研修
静岡市こころの健康センターでは、令和4年度から前国立精神・神経医療研究センター・認知行動療法センター長の堀越勝氏を講師に、「ケアの質は対話で決まる」をテーマに支援者向けの研修会を開催しています。令和7年度も、同テーマでの研修会を予定しています。
詳細が決まりましたら、お知らせします。