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更新日:2025年3月11日
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【当事者向け】無料ギャンブル依存回復プログラム
ギャンブル(パチンコ・スロットマシン・競馬・競輪・競艇・オートレースなど)への欲求が非常に強くなり、意志の力でコントロールできなくなった状態のことをギャンブル依存といいます。
ギャンブル依存の人は、何よりもギャンブルを優先させてしまうため、対人関係や金銭面で様々な問題が生じてしまいます。
例えば、ギャンブルのための借金・隠しごとは、ギャンブルをコントロールできないギャンブル依存の状態になっているサインです。
ギャンブル依存は、性別・学歴・職業などに関わらず誰でも陥る可能性があり、また意思の強さや性格の問題でなってしまうものでもありません。
そして、ギャンブルへのとらわれを克服した状態への回復が可能と言われています。
静岡市こころの健康センターでは、ギャンブル依存からの回復プログラムを実施しています。
ご本人以外の関係する方からのご相談も承っています。ご家族やパートナーの方も、お気軽にご相談ください。
- 静岡市こころの健康センター(電話番号054-262-3011。平日9時~17時)
ご相談された方の秘密は守られます。匿名でのご相談も可能です。
ギャンブル依存症とは
ギャンブルに対してのコントロールを失った状態
ギャンブル(パチンコ・スロットマシン・競馬・競輪・競艇・オートレースなど)は、時間や金銭のコントロールをしながら適度に楽しむことができる人たちにとっては、気分転換や対人交流の場となる良い趣味やレジャーとなっています。
しかし、中にはギャンブルに熱くなりすぎてしまい、コントロールを失ってしまう人がいます。
- ギャンブルで負けた時、負けた分を取り戻そうとギャンブルをしたことがある。
- ギャンブルをするために仕事をサボるなど、本来すべきことよりもギャンブルを優先したことがある。
- 家族やパートナーとの言い争いなど、ギャンブルが理由で対人トラブルになったことがある。
- ギャンブルをするために嘘をついたことがある。
- ギャンブルをするために借金をしたことがある。
これらの項目に当てはまるものがある人は、お金や時間、対人関係よりもギャンブルを優先にしてしまっており、コントロールを失ってしまっている状態であると言えます。(参考:日本語版SOGS短縮版)
ギャンブルをコントロールできない理由
ギャンブルをコントロールできないのは、気持ちが弱いからでしょうか?
実は近年、ギャンブル依存症の状態の人は脳のはたらきに変化が起きているという研究結果が複数報告されています。
ギャンブルをすることでスリルや興奮を味わうと、脳内でドパミンという快楽物質が分泌されます。
この快楽物質が脳内に放出されると、中枢神経が興奮し、それが快感・喜びにつながります。
この感覚を、脳が報酬(ごほうび)と認識すると、その報酬(ごほうび)を求める回路が脳内にできあがります。
そして、脳内に快楽物質が放出されることが繰り返されると、脳はそれに慣れてしまい、少しの快楽物質では快感・喜びを味わうことができなくなっていきます。
その結果、もっと多くの快楽物質を分泌させるためにギャンブルをすることがエスカレートしていきます。
この悪循環が繰り返されることで、脳が「ギャンブルをコントロールできない脳」に変化してしまいます。
このように、依存症は意志の弱さや性格の問題ではなく、脳の仕業によって陥る状態です。
依存症は、条件さえ揃えばだれでもなる可能性があり、特別な人だけがなるわけではありません。
(参照:厚生労働省HP依存症についてもっと知りたい方へ)
ギャンブル依存症からの回復は可能
いったん報酬(ごほうび)を求める回路が脳内にできあがってしまうと、脳を以前の状態に戻すことは難しいと言われています。
しかし、様々な助けを借りながらギャンブルへのとらわれを克服して新しい生活スタイルを作り直すことは可能です。
この「ギャンブルへのとらわれを克服して新しい生活スタイルを作り直すこと」を『回復』といいます。
そして「様々な助け」には、家族や関係者によるサポートや認知行動療法という心理療法、自助グループというグループ活動への参加などがあります。
静岡市こころの健康センターでは、認知行動療法に基づくギャンブル依存回復プログラム(リカバリー・チャンネル)を実施しています。
また、静岡市内には、GA(ギャンブラーズ・アノニマス)とGam-Anon(ギャマノン)という自助グループが活動しています。
ギャンブル依存回復プログラム(リカバリー・チャンネル)
リカバリー・チャンネルは、認知行動療法に基づくギャンブル依存に特化した回復プログラムで、ギャンブルへのとらわれを克服して新しい生活スタイルを作り直すことを目指します。
リカバリーとは「回復」、チャンネルとは「道筋・ルート」のことで、リカバリー・チャンネルは、ギャンブルからの回復への道筋を進むことを支援するプログラムです。
ギャンブルのことでお困りの方は、まずは電話で、静岡市こころの健康センター(054-262-3011)へ、お問い合わせください。
ご相談された方の秘密は守られます。匿名でのご相談も可能です。
内容
リカバリー・チャンネルは、依存症からの回復に効果があると言われている認知行動療法の考え方に基づいたプログラムで、個別相談の「Step1」とグループ活動の「Step2」で構成されたプログラムです。
Step1で依存症と自身のギャンブル問題についての理解を深め、Step2で同じ悩みを抱える方同士で意見交換をしながら、ギャンブル問題からの回復方法を探っていきます。
月1回程度の参加で、約半年間で修了するプログラムです。
プログラム形態
Step1(個別相談)
- 3回の個別相談を行い、依存症についての理解を深め、自身のギャンブル問題を整理します。
- 実施日時は、ご本人とスタッフの相談によって決定します。実施可能な時間帯は静岡市こころの健康センターの開所時間内(平日9時~17時)です。
- Step1終了後にStep2に進みます。
Step2(グループ活動)
- 5つのプログラムで構成されており、「ギャンブルをしたくなった時に切り替える方法」や「ギャンブルの代わりにできること」など、ギャンブル問題から回復するための方法を探っていきます。
- グループで実施し、同じ悩みを抱える方同士で意見交換をしながら、ギャンブル問題から回復するためのアイデアを増やしていきます。
- グループ参加時のみに使用するニックネームでの参加も可能です。
- 5つのプログラムはそれぞれ毎月開催されており、概ね1か月に1つずつプログラムに参加していただきます。5つのプログラムに参加したら修了になります。
費用
無料
実施場所
静岡市こころの健康センター(静岡市葵区柚木1014番地)
実施日時
Step1:随時
Step2:第1火曜日および第3木曜日の午後2時~午後4時
自助グループ
自助グループとは、同じような悩みや問題を抱えた人同士が集まって意見を交換し、互いに援助しあう集団のことです。
お互いに話を聞き、あるいは聞いてもらうことで、自分自身や自分の問題についての理解を深めていきます。
自助グループでの話し合い(ミーティングや例会と呼ばれます)には、ルールがあります。
- ルール1:言いっぱなし、聞きっぱなしであること
仲間の体験談は、反論や批判をせずに黙って聞きます。 - ルール2:秘密を守る
仲間の話の中で出てきた個人情報やデリケートな内容は外部に洩らしてはいけません。
このルールが守られることで、責められたり批判されたりすることがないという安心感の中で、自分の感じることをありのままに話すことができます。
自助グループには、グループであるということの強い力が作用します。自助グループに所属しているという気持ちを持つことができれば、依存症からの回復の道のりは孤独なものではなく、仲間と支え合いながら乗り越えていくものになります。
また、話しているうちに考えていたことが整理できたり、新しい気付きを得られることもあります。
さらに、自分よりも先の段階に進んでいる先輩の体験談を聞くことで、目標や希望を持つこともできるようになります。
静岡市内で活動している自助グループ
ご本人向け
GA(ギャンブラーズ・アノニマス)静岡
グループの概要やミーティングの開催日時・場所については、GA日本インフォメーションセンターのサイト(外部サイトへリンク)をご覧ください。
GA静岡の代表
ツカモト氏(電話番号090-1820-1219)
ご家族向け
Gam-Anon(ギャマノン)静岡
グループの概要やミーティングの開催日時・場所については、ギャマノン日本サービスオフィスのサイト(外部サイトへリンク)をご覧ください。
ご家族にできること
依存症からの回復のために家族がすべきこと
ギャンブル依存症は気持ちで解決できないということを知る
依存症は意志の弱さや性格の問題ではなく、脳の仕業によって陥るギャンブルをコントロールできなくなった状態です。
本人がギャンブルを始めたきっかけは様々で、嫌なことから逃れるためにギャンブルに手を出した方もいるかもしれません。
しかし、依存症という状態になってしまったら、本人一人の強い気持ちでギャンブルをコントロールするということは非常に困難です。
ご家族を困らせているのは、本人ではありません。
ご家族を困らせているのは、本人の依存症という脳が変化した状態であり、本人と家族が協力して依存症から回復していくという考え方が必要です。
ギャンブル依存症が『否認の病気』と言われる理由を理解する
多くの方が「ギャンブル依存症になるのは気持ちが弱いからだ」と捉えているように、ギャンブルをコントロールすることが難しい状態の本人もそう考えている場合が多いです。
本人が「ギャンブル依存症になるのは気持ちが弱いからだ。」と考えていたら、ギャンブル依存症であることを認めることは、「自分は気持ちが弱い人間である」ということを認めることになってしまうため、本人はギャンブル依存症であることを否認しようとしてしまいます。
本人の周囲からの提案を受け入れることができるタイミングには限りがありますが、本人に対して「脳の仕業でギャンブルをコントロールできない状態になっているので、1人ではなく支援を受けながらギャンブルをコントロールできる状態に回復していく必要がある」ということを理解してもらえるように働きかけていくことが大切になります。
本人が率直に話せる良好な関係を築く
一般的に、ギャンブル依存症の方は、次のような「考え」と行動をとります。
- 「今日こそ勝てるだろう」→ギャンブルにお金を投入→結果としてギャンブルに負ける→「ギャンブルの負けはギャンブルで取り戻すしかない」
そして、本人は「ギャンブルをコントロールできる」と思い込んでいるので、家族からの提案を受け入れることは難しいと考えられます。
「ギャンブル依存症は病気である」という説明や、専門機関や自助グループの紹介は、本人がギャンブル行動から少しでも距離をおいているときであれば受け入れられるかもしれません。
本人がギャンブル行動から離れていたとしても、信頼感が損なわれていると、本音や弱音は言えませんし、相手からの提案を受け入れようとはしません。
次の『依存症の悪化を招いてしまう家族の行動』に注意し、本人との信頼関係を維持しておくようにしましょう。
本人がギャンブルをしていたことや借金をしていたことを正直に話せたり、普段から弱音を言えるような関係を築いていくことが回復につながるために重要と考えられます。
依存症の悪化を招いてしまう家族の行動
本人と敵対関係になる行動
- 本人を責める
- 本人をコントロールしようとする(本人の了解なく無理に本人の金銭を管理するなど)
家族が身構えれば、本人も身構えます。「言ったら責められる」と思ったら、本人は本音・弱音は言いません。
家族と敵対関係になってしまった本人は、そのイライラをギャンブルによる興奮で解消させようとすることがあり、依存症の悪化を招いてしまう可能性があります。
本人に「家族が何とかしてくれる」と思わせてしまう行動
- 金銭の提供
- 借金の肩代わり
「最終的には家族が何とかしてくれる」という思いは、本人の「今日だけ…」「少しなら…」というギャンブルへの甘い誘惑の気持ちを激しく後押ししてしまいます。
金銭の提供や借金の肩代わりをしてもらった際には、ご本人は反省しますが、依存症という脳の変化が本人のその気持ちを長続きさせることを防ぎます。