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更新日:2025年3月6日

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尾崎行雄議員の質問への答弁概要

目次

市長の市政運営

これまでの市政運営と4次総の見直し

静岡市の人口減少問題

新時代の予算編成と機構改編

暮らし豊かなまちづくり

東静岡副都心のまちづくり

森林政策

文化施策の振興

次代を担う人づくり

インターナショナルスクールの誘致

持続可能なまちづくり

BXの推進

質問と答弁の概要

 質問:2年間の市政運営を踏まえ、今後の4次総の見直しをどのように考えているか

私は、就任直後の令和5年6月議会の所信表明で、4次総については、基本的に継承し、不十分な点は強化する、いわば「発展的に継承する」という考え方を述べました。
また、4次総は、「現在の静岡市が大変革期にある」という基本認識に欠けており、掲げられている政策は当面実施すべきものであるものの、DXやGXなど新たに取組の強化が必要であること、また、人口減少について、定住人口の減少問題への危機感が乏しいことも指摘をしました。
急な方針転換による混乱を避けるため、当面は、「4次総は発展的に継承する」と述べました。そして、少なくとも、来年の3月までは発展的に継承します。

4次総は、前期後期あわせて8年間の計画ですが、策定時から4次総には変更すべき点が多いと、私は考えていました。
そして、人口減少の急速な進行やAIの発展などといった歴史的な転換点にある中で、策定時に想定していなかった、或いは、これまでに考えてこなかった社会の変化、その変化は短期間ではゆっくりに見えますが、中長期には劇的な変化となるものへの対応も必要です。

総合計画においては、将来人口をどう設定するかは最も基礎となるものと言っていいと思います。それはサービスの需要と供給に影響するからです。
人口減少について、4次総では定住人口の目標は、国立社会保障・人口問題研究所、いわゆる社人研が公表した「直近の推計を上回る定住人口を目指す」とされています。
社人研の直近の推計は、2050年に54.6万人になるというものでした。しかし、令和6年9月に実施した市独自の推計では、このまま何も対策をしなければ、2050年の人口は49.2万人になる、社人研推計よりも5万人、10%下振れします。4次総の政策項目については継承すべきことが多いと思いますが、この人口想定については、いかに甘い想定で策定されているかはこれで明らかだと思います。

私は、4次総の見直しにあたり、重視すべき点が2つあると考えています。
1つ目は、人口減少を直視し、強い危機感を持つことです。4次総では、静岡市の人口減少が他都市に比べ、あるいは県平均に比べ、どれだけ危機的な状況にあるのかといった認識について、触れていません。
また、定住人口の目標について、社人研が公表した「直近の推計を上回る」という目標を立てていますが、その具体策を示していません。
前に述べたように、現状の延長上で何も特別な対策をしなければ、社人研推計を大きく下回る予想になっています。私たちは、決してこのような将来を迎えてはなりません。

2つ目は、「まちづくり」の基本的考え方の転換です。
今は、まちづくりにおいて、歴史的転換点に立っていることを認識しなければなりません。人口減少社会、インターネットやAIの急速な発展、車の自動運転化、脱炭素化社会などを踏まえ、静岡市は「職住近接」「歩きと新交通システムの融合」の新しいまちづくりへ進むべき歴史的転換期にあると考えています。

このような時代認識を持ち、新しい時代の新しいまちづくりに主眼をおいて、4次総の見直しに取り組む必要があると考えています。
人口減少問題に対する認識や「まちづくり」の基本的考え方は、総合計画の根幹部分です。甘い将来想定や不十分な時代認識による、現状の延長上のまちづくりは変えなければなりません。

現実と不都合な未来予測を直視し、目指すべき未来像を描き、それを実現するための道筋を明確にするためにも、4次総の見直し或いは改定に、来年度から着手をいたします。

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 質問:本市の人口減少の現状分析を踏まえ、本市が抱える課題は何か。また、令和7年度に実施する人口減少対策の取組はどのようか

施政方針で述べたように、静岡市の人口は、1970年では、現在と同じ市域だったとすると約68万人でしたが、2024年には約67万人に減少しました。
1970年に同じような人口規模だった浜松市は約15万人増、岡山市及び熊本市は約21万人増となっています。静岡県は約43万人増となっています。この違いは、静岡市がこれまで他と比べて人口減少が厳しい状況にあるという現実を直視せず、強い危機感を持ってこなかったため、具体的対策を取ってこなかったことによるものと考えざるを得ません。

このような状況を踏まえ、市政変革研究会の人口減少対策分科会では、静岡市が直面する人口減少の要因と、その根底にある原因を明らかにするための研究を進めてきました。
研究を通じてわかったことをいくつか述べます。

「若者が希望する企業や職種が、不足していること」「女性の雇用の非正規率が他政令市と比べて高いこと、その原因の一つとして考えられるのが、共働き世帯が増加する中で、子どもが病気になった時の緊急時の対応に苦慮していること」「県内市町や、移住先として人気の高い地方都市に比べ、地価および家賃が高いこと」など、多くの課題が浮き彫りになりました。
これらの問題は、静岡市がこれまで取り組んでこなかったことと言えます。

これまで静岡市が取り組んでこなかったこと、いわば、戦略ミスと言えるものの一つが、「市内大学の入学定員数÷市内高校生の大学等進学者数」で求められる大学収容率です。
現在、静岡市は104%であるという優位性があります。この優位性を活かすことなく、大学卒業時の人口流出対策を十分にとってこなかったことが戦略ミスの一つです。なお、静岡県全体では大学収容率は50%です。

そこで、就職時の若者の市外への流出を抑制するために、例えば、デジタルエンタテインメント関連産業の誘致を進めます。直ちに着手する取組が、令和7年度は、若者の就職先として人気の高い、このデジタルエンタテインメント関連の企業誘致を強力に推進していきます。
これによって、若者にとって魅力的な雇用の場を創出することになります。新たな産業の集積による地域経済の活性化も期待できます。
また、働きながら安心して子育てできる環境を整えるため、子どもが急に体調不良となった際に、保護者に代わって園への迎え、診察の付き添い等の対応を行う病児・病後児保育室を新設しました。細かい対応ですけれども、効果はあると考えています。

さらに、若者や子育て世帯などの移住を増加させ、転入超過への転換を図るため、県外から移住する若者や子育て中の方を対象に、住宅購入費用や家賃など、移住を検討する際に特に重要な要素とされる「住宅の確保」などに対する支援を強化します。

しかし、長きに渡り原因分析を行わず、十分な具体的対策を取ってこなかった結果としての問題点は、これらの取組だけで解決できるものではありません。静岡市の人口減少に歯止めをかけるためには、直ちに着手できる取組にとどまらず、これまで実施に至っていない、しかし効果的と考えらえられる取組を進めることなどにより、移住促進や企業立地促進等による若者の雇用創出を図り、速効性のある社会増と将来的な自然増につなげていく必要があります。
自然増の改善には、長期的な視点で取り組む必要があります。出生率・婚姻率の低迷には様々な要因が関係しています。要因の一つひとつについて対策をとっていくことにより、結婚や子育てをしやすい環境を整えていきます。

令和7年度当初予算のみならず、補正予算を機動的に活用し、定住人口の増加策となる取組を継続的に打ち出し続け、これまでの延長上にない、抜本的な人口減少対策に本気で取り組んでいきます。

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 質問:令和7年度当初予算はどのような考えで予算編成を行ったのか。また、今後の財政見通しをどのように考えているか

施政方針でも述べたように、静岡市の人口減少は危機的な状況にあります。この現実を直視し、本気で人口減少対策に取り組まなければなりません。
このような強い危機意識のもと、令和7年度当初予算を編成しました。

静岡市は、少なくともここ20年、経済的な直接利益を生む部門への投資が不足していたと考えています。
とりわけ、産業振興、企業の新規立地、起業支援などの新しい産業、新しい雇用を生むための投資が不足していました。逆に、経済的利益、とりわけ持続的に利益を生み出さない部門への支出が多かったと言えます。

よく「ハコモノ行政」が批判されますが、「ハコモノ行政」で問題となるのは、経済的利益を生み出さない「ハコモノ」への投資です。
「歴史博物館」は文化的利益という重要な社会便益を生み出します。一方で、経済的利益の点では、来訪者による経済波及効果がありますが、その効果は毎年約3.5億円の指定管理料に見合うものと、私は考えていません。経済的利益を生み出す以上の指定管理料を支払い続けることにより、いわゆるコストセンター、すなわち「利益を生み出さず、コストだけが発生する部門」、ここまでは言えませんけれども、歴史博物館は十分な経済的利益を生み出しません。
静岡市はここ20年、ハコモノ、建物で経済的利益を十分に生み出す部門に投資したでしょうか。

一方、今年の夏頃開館予定の南アルプスユネスコエコパークミュージアムは、廃校利用の「ハコモノ」ですが、運営を担う民間事業者には管理運営費を支払いません。運営事業者は井川の他の分野にも投資を行い、地域全体の活性化も行う予定です。これらにより経済的利益が発生します。

旧清水西河内小学校も民間事業者によるこどもが集う施設、宿泊施設として活用を予定していますが、こちらも管理運営費を払いません。運営事業者は、周辺の魅力ある資源を活用して、地域全体の活性化を図ろうとしています。

商業用施設、店舗は「ハコモノ」ですが、これらは利益を生み出すプロフィットセンターです。そのため、誰もこれらを「ハコモノ」とは呼ばないでしょう。このように表面的には同じような「ハコモノ」であっても、経済的利益を生み出すプロフィットセンターか、経済的利益を生み出さないコストセンターかで将来財政負担や地域活性化効果は大きく異なります。

次に「市債」、投資的経費の財源となる「借入金」について考えてみます。住宅ローンがわかりやすいと思いますが、住宅購入のために30年のローンを組んだとします。毎年、元金と利子の支払いが必要ですが、それは「住まい」を持続的に確保するための対価です。「住まい」は将来にわたって変わらぬ利用価値を生み出すから問題はないでしょう。
このように、投資的経費における借入金は、将来にわたって便益を生み出し続けるものに対して、単年度支出ではなく、長期にわたって支出を平準化させるものです。ここで大事なことは将来利益・便益を生み出し続けるものか否かです。

今、大事なことは何かです。
市債残高や将来負担比率は重要な指標ですが、その値の将来予測という数値の表面を見るのではなく、その根底にあるものを見ることが重要です。同じ投資的経費のための市債であっても、プロフィットセンターへの市債とコストセンターへの市債ではまったく性格が異なります。そして、市債の対象となる投資の1件1件について、投資の質や将来発生するおそれのある無駄を精査することが必要です。

3つ例をあげます。
ひとつめは、市営住宅への投資です。私が市長になる直前に4次総が策定されました。その中で、4次総期間内における市営住宅の新築・改修計画が策定されています。私は将来の人口減少を踏まえ、直ちに計画を見直すよう指示しました。この結果、投資計画は8年間で103億円の減少となりました。

ふたつめは、給食センターです。4次総で計画されていた清水区における給食センターの整備計画は、根底から見直しています。なぜなら、この計画がこれまでの延長上の考え方だったからです。今、給食センターをつくるのであれば、これからの30年、50年先を踏まえた施設の内容にすることが必要です。新しい食と農のシステム、流通や物流システムの革新を考慮したものにしなければなりません。

みっつめは、維持補修費です。維持補修は、いわゆるライフサイクルコストという、供用期間全体のコストを下げるために、計画的に実施すべきです。一方、短年度の維持補修費を削り、先送りすれば、当面の収支は改善し、市債残高は減ります。しかし、適切な維持管理が行われないため、後年度に大きなツケが回り、結局、ライフサイクルコストが増大することになります。ここ数年は、この市政においては、回ってきたツケの支払いとして大規模補修費が増加する見込みです。

以上が、投資的経費や市債などに関する私の考えです。投資的経費が増加すれば、当然、市債残高や将来負担比率といった財政指標は悪化することが想定されます。
しかし、投資を絞りすぎると、そして、適切な部門への選別投資をしなければ、将来の収入が縮小・市債発行増という悪循環に陥ります。今は、回ってきたツケの維持補修費や更新投資をうまくさばきながら、将来の収益のための投資を行うべきです。

こうした考え方に基づき、積極的な投資を行ってまいります。

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 質問:令和7年度の組織機構改編は、どのような考え方で行うのか

私は就任以来、「政策執行力」の強化に取り組んできましたが、まだまだ十分とは言えません。局と局の連携は、一歩ずつ進んではいるものの、依然として縦割り行政による壁・垣根が存在します。
この縦割りの壁を解消して、結果を出す市政をさらに推し進めること、これを令和7年度の組織機構改編の基本的な考え方といたしました。令和7年度も「縦の行政組織」×「横のチーム組織」の形で、政策執行力を高めていきます。

まず、「縦の行政組織」ですが、組織の細分化は、特定の行政課題に専属的に取り組むことができる一方で、職務領域が限定的となり、縦割り行政の弊害となるおそれもあります。そこで、所掌する事務内容に関連性や類似性があるものについては集約し、組織の統合・再編を図ります。

例えば、観光交流文化局は、現在の9課体制から6課体制とします。また、行政課題はますます複雑高度化し、行政目的の重点も変化します。
その代表的なものは、森林行政です。森林行政は、これまで「林業・林産」に重点が置かれてきました。しかし、現在そして今後は、水源涵養機能など、森林が有する公益的機能の維持増進が、より重要な行政目的となります。このため、森林行政を経済局から環境局に移管し、環境局内に「森林経営管理課」を新設することにしました。

そして、「中山間地振興課」についても、経済局から環境局に移設します。これは、環境局が森林の基盤整備から森林資源の活用、中山間地振興に至るまで、入口から出口までを全体的・包括的に俯瞰・対応し、かつ、中山間地の自然豊かな環境を活かした中山間地域の活性化を進める必要があるからです。

次に、「横のチーム組織」です。このチーム組織は、前例のない取組や複数の局にまたがる事案など、これまで一つの縦の行政組織では対応できなかった事案について、局横断的に対応するもので、縦割り行政の壁や垣根の解消に繋がるものです。また、チームリーダーとチーム員という、フラットな組織にすることで、自律性を高め、判断・決断のスピードを上げることも可能となります。

例えば、学校の部活動から地域クラブ活動への転換を図るため、総合政策局、市民局、観光交流文化局、教育局の職員による「しずおか地域クラブ活動推進プロジェクトチーム」を令和6年11月に設置しました。
この取組を進めるためには、民間企業や各種団体の皆様との共働が欠かせません。しかし、これまでのように教育委員会という枠の中だけでは、これらの団体との繋がりが小さいことから、なかなかうまく進みません。
そこで、教育委員会のみで取組を進めるのではなく、スポーツ、文化、生涯学習等を担当する様々な部署が一体となって、令和9年9月からの地域クラブ活動への転換を目指し、取り組んでいます。

このように、令和7年度は、縦割り行政の壁や垣根の解消を強く意識しながら、「縦の行政組織」×「横のチーム組織」を編成することで、社会問題に対し責任感を持ち、自由な発想が生かされ、自律的に行動できる組織体制を構築いたします。

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 質問:アリーナ整備及び東静岡地区のまちづくりの現状と今後の進め方はどのようか

アリーナ整備については、1991年に構想が生まれて以来、静岡市は30年にわたり検討を重ねてきましたが、これまで明確な方向性を見出だせませんでした。
これ以上、先送りすることなくアリーナ整備の方針を決めるべきと考え、2023年4月に市長に就任して以来、静岡市におけるアリーナの必要性を見極めるため、先進事例の視察を重ねるとともに、経済社会効果の分析や、整備・運営手法の検討、民間事業者ヒアリングによる市場調査などに取り組んでまいりました。
その結果、次世代アリーナは、多彩なコンテンツを市民が身近に楽しめ、まちの魅力を高めるとともに、初期投資額を上回る大きな経済活性化効果が見込まれ、静岡市の将来にとって必要不可欠な施設だと考えるに至りました。

そこで、2024年度は静岡市が目指すべきアリーナ像や、事業の進め方などを示した「静岡市アリーナ基本計画」の策定に取りかかりました。
計画案を10月に公表後、11月に開催した市民説明会では、若い世代を含む約300人の皆さんにご参加いただきました。パブリックコメントでは、110名の方から252件のご意見をいただきました。これらのご意見を反映して「静岡市アリーナ基本計画」を策定し、2月3日に公表しました。
また、1月14日に行った地元の方々との意見交換では、様々なご意見・ご要望をいただき、その一つひとつに対して私から回答し、事業への一定のご理解をいただいたものと考えています。
基本計画の策定、及び市民理解の進展といった状況から、アリーナの事業化の予算計上が可能な段階に至ったと判断しました。よって、このたび、アリーナ整備に必要な予算として、2026年度から2059年度にかかる債務負担行為限度額300億円を、2025年度当初予算案に計上しました。

本議会において、市民の代表である議員の皆様に十分なご議論をいただいたうえで、予算が承認された場合には、2025年9月頃に入札公告を行い、アリーナ整備・運営を担う事業者を公募し、最短で2030年春の完成をめざしてアリーナ整備を進めてまいります。

次に、アリーナ整備と一体的に進める、東静岡地区のまちづくりについてです。

未来につながる持続可能で住みやすいまちを実現するためには、これからの20年、30年、その先を視野に入れて、アリーナ単体ではなく周辺地域が一体となったまちづくりを公民共創で進めることが、重要だと考えています。
そのため、現在、東静岡地区のめざす将来像やまちづくりを進める上での重要な視点などを示す、「東静岡地区まちづくりの基本構想」を作成しています。その基本的な方向性を示す基本構想骨子を、2月にアリーナ基本計画と合わせて公表しました。

めざす将来像は、「新たな文化・スポーツの拠点づくり」と「快適で住みやすい住環境づくり」です。最先端の文化・スポーツ等による新たな交流の創出と、安心して住み続けられる住環境が共存する、非日常と日常が融合した新時代のまちづくりをめざします。
その実現に向けては、JR東静岡駅北口のアリーナ、南口の新県立中央図書館を活かした、文化・スポーツと触れ合える空間づくりや、次世代モビリティの導入も含めた誰もが移動しやすく、住みやすいまちづくりなどに重点的に取り組んでいきます。

2025年度は、まちづくりを進めるための具体的な取組や役割分担などを示す「東静岡地区まちづくり基本計画」の作成や、JR東静岡駅とアリーナ、静岡鉄道長沼駅を結ぶペデストリアンデッキの基本設計などに取り組んでいきます。

人口減少・少子化が市の大きな課題の中、アリーナは、東静岡周辺あるいは静岡駅周辺のまちづくりとあいまって、まちの魅力向上、文化振興、地域経済の活性化など、大きな経済社会効果を生むことが期待されます。将来を担う子どもや若者が「このまちの未来は明るい」と夢を抱き、希望がもてるまちを、社会全体でつくってまいります。

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 質問:将来に向けた森林政策の基本的な考え方とその取組はどのようか

静岡市の森林の面積は10万7,211ヘクタールです。静岡市総面積の約4分の3を占めています。森林行政は、静岡市にとって非常に重要な分野と認識しています。

静岡市の森林は、ヒノキをはじめとする人工林が森林全体の44%を占めています。そのうち84%は45年生以上の標準伐期齢を迎えており、資源として十分成熟しています。一方、適切な森林管理が実施されていないため、荒廃している人工林が増えており、裸地化している伐採跡地が散見される状況もあります。
このような森林は、土砂崩れなど大規模な災害を発生させるおそれがあることから、土砂流出防止を行うとともに、環境面において、水源涵養や生物多様性など森林の有する公益的機能を高度に発揮できるよう、適正な森林経営管理を推進する必要があります。

静岡市は、これまでは、山間部を中心に林業が雇用や地域振興に寄与しているため、林業を中心に森林行政を行ってきました。
しかし、伐採しても採算があわない人工林が多いことなどから、近年管理不足が原因で荒廃した人工林が増加しています。人工林についても木材生産を前提としない適切な森林経営管理の普及にも重点を置くことが必要な時代になっています。
このため、市内の森林を、静岡市独自の考え方で、「環境林」と「循環林」に区分し、森林経営管理を徹底していきます。

「環境林」は、森林の有する公益的機能の高度発揮を目指すものです。「循環林」は森林の有する公益的機能に配慮しつつ、木材生産を主体として資源の循環利用を行うものです。
「環境林」については、木材生産を見込めないことから、森林所有者が適正な管理に必要な費用を負担することができない状況にあります。よって、木材生産による収入がなくても適正に森林管理を行うことができる仕組みをつくることが必要です。

このため、新しい森林カーボンクレジットの創出に向けた取組を進めていきます。新しいクレジットは、適正に森林管理を行うことにより、温室効果ガスの吸収だけでなく、土壌の保全や水源の涵養、生物多様性などの森林が持つ公益的機能を評価したものになります。
創出されたクレジットが認証され、環境への貢献をアピールしたい企業が自社のCO2排出量と相殺するために、クレジットを購入いただければ、それが森林所有者などの収入となり、適正な森林管理事業に充当することができます。これにより、森林所有者だけでなく、企業や団体等が森林管理へ参画することの促進につながります。
また、森林所有者自らが森林の適正管理が実行できないため、静岡市に再造林等を委ねられた裸地化している伐採跡地について、市は天然更新や広葉樹植栽による自然林への誘導を進めていきます。これらの施策の展開により、「環境林」として適切に管理していきます。

一方、「循環林」については、原木価格の低迷により、再造林や育林に必要な資金が不足していることが大きな原因です。このため、伐採後、一部では再造林が行われていません。
また、現在は工務店等からの寸法・数量・樹種・強度などの「需要情報」、製材所等からの在庫・価格などの「取引情報」、あるいは林業家等からの産地・樹種・樹齢などの「供給情報」、これらの情報が工務店等の発注元から林業家等の発注先まで十分に共有されていません。
このため、木材の過剰供給や需要不足等が発生し、効率的な木材の生産や加工が行われていません。

これらのことから、「循環林」を対象とする新規事業としてICTを活用した新しい仕組みの構築、すなわち、木材の需要、供給、取引などの情報を発注先までの関係者間で共有する木材情報共有システムの構築に取り組みます。

このシステムの構築により、木材の生産、加工などを効率的に実施するとともに、木材価格の適正化や流通の効率化を図り、市産材の活用促進や、森林所有者の所得向上につなげ、林業振興を図っていきます。また、新たに「持続可能な森づくり研究会」を組織し、有識者や実務的な知見を有する方からご意見を伺い、「環境林」と「循環林」の区分に応じた森林経営管理を徹底することにより、経済価値だけではなく、環境価値を有する森林を将来世代につなげてまいります。

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 質問:静岡市民文化会館再整備事業の今後の進め方について

まず、入札不調になり、ただちに改修工事の方針を転換しました。4つの項目に転換をいたしました。
ひとつめは再開館時期を遅らせないこと、ふたつめは再開館後も安全快適な施設サービスを持続すること、みっつめは予算の範囲は現在の約161億円の範囲で行うこと、よっつめは必要な安全性と快適性を確保することです。

不調の要因の一つとして、耐震補強を含めた大規模改修工事には、撤去と新設の工事が輻輳(ふくそう)するため、施工監理と人工の集中的投入が必要となります。かつ、建築関係の需給がひっ迫していることから、このような工事については、市の積算よりも金額が大幅に上振れしたものと考えられます。
この積算については、公共積算は基準に基づいて行っていますので、どうしても、まさに時価、あるいは直近の状況を上手く反映されないという構造的問題があると考えています。この状況は当分の間続くと想定されます。
現在の耐震性能の評価では、建物が地震により倒壊する可能性が低いと示されています。このことから、工事費が高額となり、かつ人工のかかる耐震補強工事は、当分の間、工事を見送ります。

その上で先ほどの4つの大方針のもと、令和7年度早々に、実施設計業務を発注し、早期の改修が必要で、最小限かつ実施可能なものに限定し、工事内容を決定します。
現時点で実施予定のものは、特定天井や外壁における地震や経年劣化による落下防止措置を講じるとともに、受変電設備、水回りの配管の更新やトイレの洋式化等です。

これらの見直しによって、工事内容が小規模になるため、建築、電気設備などの工種ごとに分割して工事発注を行うことができます。その結果、地元の事業者が参入しやすく、かつ時価を反映したものになり競争が働く環境を整えられると考えています。

本施設は、市民の皆さまにとって、貴重な文化活動の拠点です。事業スケジュールとしては、これまでどおり令和10年1月の一部供用開始を目指し、一日でも早い再開ができるよう努めてまいります。
また、地下駐車場については本年4月から休館に入ります。近隣の駐車場需要を勘案し、敷地内の土地を活用して、一般有料駐車場を整備する予定です。

静岡市民文化会館の再整備においては、これまで様々な経過を辿ってきましたが、この局面を乗り越え、本施設を利用する皆様にとって、これまでどおり安全に、豊かな時間を過ごせる施設となるよう、改修を進めていきます。

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 質問:インターナショナルスクールの誘致の進捗状況はどうか

静岡市にインターナショナルスクールが開設されることで、海外志向のある市内・市外の子どもたちにとっては、国際水準の多様な学びの場になると期待されます。
そして、そのような教育環境が整備されることで、家族帯同で来る国内外の研究者や専門人材の誘引が期待できます。

清水区で現在進めている、海洋分野の研究・新産業創出の世界的拠点化にも寄与します。
さらに、スクールの運営事業者の経済活動や、勤務する教員、子どもの家族などの来訪者による消費活動などにより、地域経済の活性化にもつながります。
インターナショナルスクールの経営は民間事業として行われるものです。その前提で、誘致には企業立地と同様に静岡市での開設に意欲をもつ事業者が、その実現に向けての具体の取組ができるよう、市は下支えをして立地環境を整えることが重要です。

そのため、事業用地の確保も含めた、インターナショナルスクールを開設するための道筋を、事業者とともに行政も一緒に考え、迅速に対応していきます。
令和6年5月に、市と静岡商工会議所による、インターナショナルスクールへ参入意欲のある事業者の相談に対応する「支援チーム」を立ち上げ、両所に窓口を設置しました。

そのような中、ある事業者から、静岡市でのインターナショナルスクール開設の意向が、令和6年9月に示されました。その事業者からは、「事業用地となる土地の確保」について、支援要請を受けています。
具体的な場所については、地域住民や地権者などの関係者との調整があり、現時点では申し上げられません。駿河湾と富士山の眺望の優れた場所に、世界中から人が集まるインターナショナルスクールをつくりたいとの希望があります。この点において、清水区内の土地が、事業用地として有力です。

静岡市でのインターナショナルスクールの早期開設が実現できるよう、現在、支援要請のあった事業者と今後の進め方などについて、調整を行っています。
インターナショナルスクールの具体的な候補地や開設時期など、詳細について調整がつき次第、皆様にお知らせをいたします。

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 質問:市長が示すFuji-Suruga BX PARC 構想は、他の様々な計画とはどのような関係にあり、その上で、この構想をどのように実現につなげていこうと考えているのか

まず、構想と計画の違いについて述べます。

構想とは、これからしようとする物事について、その内容などを考えて、骨組みをまとめることです。一方、計画は、将来実現しようとする目標と、それを実現するための手順などを示すものです。言い方を変えると、「こうしたい」という段階までは構想であり、より具体的な手順が伴うのが計画と言えます。
この「Fuji-Suruga BX PARC構想」は、私がこうしたいと考えているものと言えます。

私はこれまで、清水港、駿河湾には大きな「場の力」がある。それを活かし、世界の大きな「知」と「人」が集まるようにすれば、静岡市を海洋の研究開発、産業、教育・人材育成を総合的に展開する世界的拠点にすることができる、と考えてきました。
このため、県の副知事時代には、橋本正洋現法政大学教授、当時は東京工業大学教授でしたが、橋本先生の提案を受け、一般財団法人マリンオープンイノベーション機構、MaOI機構の設立に努力しました。
MaOI機構が設立された2019年度には、「Fuji-Suruga BX PARC」という名前はつけていませんが、私の構想として「こうしたい」という考えは、すでに持っていました。

この構想の実現のためには、静岡県と静岡市の強力な連携が不可欠ですが、当時、静岡市は「海洋産業クラスター」や「海洋ミュージアム」に注力をしていました。市は、オープンイノベーションやトランスフォーメーションといった、世界の知を集めた海洋分野の技術革新や社会変革には、あまり熱心ではありませんでした。

2023年4月に市長に就任し、県と市の強力な連携を進めることができるようになりました。
しかし、まだ計画ではなく構想にとどめざるを得ませんでした。その理由は、清水駅東口、貝島などについては、それぞれ地権者がいるため、「こうしたい」という構想、将来像までは許されますが、勝手に人の土地に計画を書くことはできません。したがって、構想段階で計画までは進んでおりませんでした。

この構想・将来像の実現のためには、社会全体の力を合わせて、「共創」で取り組んでいくことが重要です。そして、世界的な拠点とするためには、外部の人財や資金が集まるようにする必要があります。そのためには、市長の「こうしたい」という構想を外に示す必要があります。

「Fuji-Suruga BX PARC構想」は、こうした考えのもと、駿河湾という水深2,500mの多様性の海が目の前にあり、海洋関係の企業も集積している清水港周辺エリアが持つ高い潜在力と将来性を、研究機関や経済界に発信する必要があります。このため、BX、ブルー・トランスフォーメーションの前に、静岡を象徴し、世界にも通じる「Fuji」「Suruga」を名称としてつけました。
そして、「PARC」には、Practical and Applied Research Centerという、実用と応用の研究センターと言う意味と、美しい公園のような場所、「PARK」の意味を持たせて、PARCとつけました。

内閣府の地方大学・地域産業創生交付金事業では、事業推進の責任者である市長の強いリーダーシップが求められたため、2024年6月の事業採択審査において、市長の私案として、この構想を示しました。事業採択にあたって、この構想の提示は貢献があったと認識しています。

さらに、2024年7月に清水港で開かれた、ブルーエコノミーエキスポの際にも、私の私案として提示し、発信しました。
そして、同じ7月に、「駿河湾・海洋DX先端拠点化計画」が内閣府の交付金事業に採択され、静岡理工科大学、静岡大学、東海大学の連携、NTT、鈴与をはじめとする企業との連携による産学官連携の枠組みが整いました。

「Fuji-Suruga BX PARC構想」は、現段階ではまだ「構想」にとどまっていますが、いよいよ「計画」という、現実的で実効性のある内容へ変えていく段階にきたと考えています。
計画とするには、行政が利害関係者との調整の上、社会に対して目指す姿と実現の道筋を分かりやすく示す必要があります。
このため、令和7年度に、4次総の見直し作業と整合を図りつつ、この「構想」を静岡市の公式な「計画」へと変え、位置付けていきたいと考えています。

次に、構想の実現に向けた考えについてですが、この構想は、まさに「社会の大きな力」×「世界の大きな知」が集まりつながることによる「共創」が要です。
すでに各所で、投資意欲がある様々な主体による取組が動いてきています。行政がこうした動きを的確に捉え、連携し、下支えし、一緒に走っていくことが、構想の実現のためには重要です。
例えば、清水港を基地港として使っていただいているJAMSTECの「みらい」の後継となる、北極域研究船「みらい2.」は、2026年11月の竣工を目指して建造中です。この船籍港は、青森県むつ市の関根浜港に、すでに決定をしていますが、「みらい2.」も「みらい」と同様に、清水港を基地港として利用していただきたいと考えています。
このため、県との連携のもと、貝島地区の基盤整備をはじめ、港の利用環境を整えていく必要があります。

また、民間企業の動きとして、中部電力やエネオスが、清水港周辺エリアの大規模な低利用地の有効活用の検討を進めています。折戸湾や三保エリアにおいても、水辺や景観を活かした新たな開発を真剣に考えている地元企業もいます。
こうした地域経済や環境に貢献する企業の取組がうまく進むよう、市が用地の提供、インフラ、交通アクセスなど、行政ならではの役割を果たしていくことが重要です。

さらに、世界中から人が集まり、創造的な活動が展開されるためには、研究・産業の集積だけではなく、充実したMICE機能やレジャー機能、魅力的な生活環境、教育環境などを整えていく必要があります。MICEにはホテルが重要になります。

そのため、他の計画等との関係を調整の上、今後市の計画として公式に示す予定です。これにより、新たな民間投資の誘致、官民連携の広がりをさらに進めていきたいと考えています。

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