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更新日:2025年3月6日
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後藤哲朗議員の質問への答弁概要
目次
市長の政治姿勢について
シティプロモーションについて
社会共有資産の利活用について
質問と答弁の概要
質問:市長は、シティプロモーションについて、どう考えているか
シティプロモーションとは、様々な定義がありますが、私は、「まちの魅力を発見し、みがきあげ、魅力を地域内外の人によく知ってもらい、地域の活性化や住民の地域への誇りや愛着を高めていく活動」と認識しています。
後藤議員のご質問で初めて気づいたのですが、私は市長就任以来一度もシティプロモーションという言葉を使ったことがありません。
それは、なぜかと考えてみましたが、その理由は私が「シティマーケティング」を重視しているからです。経営の神様と言われるドラッカーは、かつて「マーケティングの究極の目的はセリングを不要にすることである」と述べています。セリングとは販売、とりわけ売り込みのことです。
私は、マーケティングは「顧客、お客様の欲求を満たすために組織が行うあらゆる活動の総称」と理解していますが、マーケティングは顧客の利益が起点になります。私は、市政運営においても、このマーケティングの顧客満足、市民満足を重視しています。
マーケティングにおいて重要なことは、セリングという、短期的に売り上げを上げるための「売り込み手段」ではありません。重要なことは顧客満足・支持を得て、長期的に売り上げを高めるための「仕組みづくり」です。そして、その仕組みづくりには、マーケティング戦略の4P、すなわちProduct・製品、Price・価格、Promotion・販売促進、Place・流通を一体的に考えることが必要です。
プロモーションという販売促進は、マーケティングの一部です。プロモーションだけを単独で行うと、セリング・売り込みという、すでにある自社の製品を「今売るために何をすべきか」という「売り手」を起点にした取り組みになってしまいがちです。
一方、マーケティングは、顧客ニーズと満足が起点になります。この点で、私はシティプロモーションではなく、シティマーケティングが重要と考えています。
例えば、「お茶のまち静岡市」をよく知ってもらう活動は、「お茶のまち静岡市」の今ある魅力をPRするだけという売り込みや販売促進になりがちです。マーケティングというお客様目線で、どうすれば観光客が静岡市に来てお茶を楽しみ、満足していただけるかを考えなければなりません。
今後伸びが期待される「ティーツーリズム」について言えば、どのお茶の生産地を訪問し、誰が作っている場所と言ってもいいかもしれません。その生産地を訪問し、そこで、どのような体験価値を、いくらの価格で提供し、それをどう流通に乗せ、販売をしていくのかが重要です。
このようなことから、私は、シティプロモーションという言葉はあえて使いませんが、高質のシティプロモーションを行うのであれば、マーケティング戦略を意識したシティプロモーションが重要だと考えています。
質問:静岡市社会共有資産利活用基本方針に則り、具体的に資産マネジメントをどのように進めていくのか
私が市長に就任する前の静岡市の「アセット」の定義は、市が有する財産でした。他の自治体でも同様だろうと思います。
私が市長に就任後まもなく、アセットマネジメントの方針を大幅に転換しました。その転換とは、市が有効活用すべきアセット・資産は、公有民有を問わないということです。民有財産も含め社会の大きな力を活用することが重要です。
この考え方のもと、社会共有資産利活用基本方針を昨年7月に定めました。これに則り、市の資産で市が直接有効活用する予定のないものは、この方針に従い、すみやかに売却・貸付をする等、民間活用を進めています。
民有資産については、耕作放棄地や空き家は、私の財産、民有財産ですが、そうであっても市政として利活用が望ましい社会共有資産として捉え、有効活用を市が下支えします。
このため、昨年8月に、「一般財団法人静岡市土地等利活用推進公社」を設立し、民間資産の活用を推進しています。
一方、資産マネジメントを行っていくうえでは、施設を単に使っているか否かではなく、いかに有効活用しているかを重視しています。重複した事務やサービスの簡素化や合理化、ムダの排除といったソフト面の変革により、使わないスペースが生まれます。そのスペースを別目的のハードとして利用する取組も行っています。
例えば、現在、時代の変化に応じた効率的・効果的な健康保健サービスを展開するために、保健福祉センターの再編及びこども家庭センターの機能強化の検討を進めています。
今のサービスをやめると、市民サービスが低下してしまうと考えるのは短絡的です。あるべきサービスの質の変化を認識しなければなりません。健康保健事業のサービス提供方法については、あるひとつのサービスを受けるために、市民が来ていただく方式よりも、多様なサービスをワンストップで受けられること、あるいは市職員が出向いていく訪問型に重点を置くべき時代となりました。
このため、現在の保健福祉センターの保健師を各区役所に集約し、他の専門職と連携することで、市民に対して、より専門的できめ細やかな対応をワンストップで可能となるなど、母子保健・児童福祉サービスが向上するソフト面からの効果を見込んでいます。
一方、余剰となるハードとしての保健福祉センターの6箇所は、市の行政機能の集約や民間事業者へ貸し出すなどの新たな活用方法を検討していく予定です。
静岡市では、これまで縦割り行政の弊害により、担当部局内だけで施設の市民サービスの内容を考えてきたため、全体最適化が不十分でした。そこで、令和7年度は、市民サービスの提供というソフト事業の見直しを進め、それと併せてハードとしての建物の使い方も見直していきます。
公共施設の利用状況の調査や市民サービス内容の棚卸しと、その整理を実施して、現在の公共施設の設置目的や利用方法にとらわれない、新しい視点をもった資産マネジメントを進めていきます。