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更新日:2025年3月6日
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安竹信男議員の質問への答弁概要
目次
リニア中央新幹線建設事業について
南アルプスの環境影響評価の在り方について
- ツバクロ発生土置き場の盛土が環境に影響を及ぼすことはないのか
- 他工区のトンネル工事現場で地下水位低下や地盤沈下が発生しているが、大井川上流域の生態系への影響はないのか。また、市は今後どのように対応するのか
質問と答弁の概要
質問:ツバクロ発生土置き場の盛土が環境に影響を及ぼすことはないのか
これまで静岡市では、ツバクロ発生土置き場の盛土が環境に及ぼす影響を3つに区分し、それぞれの影響に対する環境保全のための措置について、静岡市中央新幹線建設事業影響評価協議会において協議してきました。
その3つとは、ひとつめ「盛土の存在による動植物の生息環境や河川の水質への影響」、ふたつめは「降雨や地震などの外力に対する盛土の安定性」、みっつめは「周辺で大規模深層崩壊等が発生し、天然ダムが形成された場合などの周辺状況の変化による河川流量や下流部への影響」です。
今月4日の市協議会において、最後まで残っておりました「外力に対する盛土の安定性」に関して、「地震力に対する盛土の安定性」についての協議が行われました。最終確認ということになります。
静岡市は、「盛土規制法」や「静岡県盛土条例」の技術基準を参考としつつ、法令上の義務の履行基準よりも、より厳しい条件でも盛土の安定性が保たれるような設計を、事業者であるJR東海に求めてきました。
今回の市協議会では、課題となっていた非常に強い地震動に対する盛土の変位量や具体的な施工管理方法について、JR東海の設計は、法令上の義務の履行基準よりも厳しい条件に適合していることが確認されました。その上で、「将来、盛土する前に、実際の盛土材料の物性値等の確認を行った上で、その時点で最良と思われる解析方法で安定性の解析を行い、盛土の高さや勾配、補強方法の変更など安定性に必要な措置を検討することが必要」という条件を付けました。
その理由は次のとおりです。
実際にトンネル掘削により発生する盛土の土質は、現在行っている設計で用いるものとは性状が異なります。したがって、現時点でこれ以上の解析を行っても、仮の設計をより精緻に行っているのにすぎません。
JR東海も、トンネル掘削土の物性値が確認できた時点において、最適な解析方法により、改めて解析を行い、地震時の盛土の変形状況の推定を確認することを表明しました。
今回の市協議会で、条件付きで「地震力に対する盛土自体の安定性」について了承されました。これにより、ツバクロ盛土が環境に及ぼす影響については、3つの影響すべてにおいて、JR東海の環境保全措置は、全体として問題ないことが、市協議会で了承されました。
これによって、ツバクロ発生土置き場の盛土が環境に及ぼす影響について現時点でできる協議は終了しました。今後、実際に盛土をする前に、実際の盛土材料の物性値等の確認を行った上で、安定性に必要な措置を協議していきます。
質問:他工区のトンネル工事現場で地下水位低下や地盤沈下が発生しているが、大井川上流域の生態系への影響はないのか。また、市は今後どのように対応するのか
地下水位以下の場所でトンネル工事を行えば、トンネル内に湧水が、一般的には発生します。湧水が発生した場合は、地下水位に影響し、その水が地表水とつながっているときは、地表水に必ず影響がでます。
他工区のリニア建設トンネル工事現場では、トンネルの深さ、土被りと言っていますけれども、この土被りが浅いということもあり、トンネル湧水と地表水が繋がっているため、トンネル湧水によって井戸等の水位低下や地盤沈下などが発生したものと考えられます。
静岡工区では、このトンネルの深さ、土被りが、今回問題が発生している他工区とは状況が異なります。しかし、トンネル湧水の発生により地下水位が低下し、トンネル上流部・直上部の沢の流量が減少することが予測されています。これによって、沢周辺の高山植物やヤマトイワナなど水生生物への影響が懸念されています。
生態系への影響については、市協議会において、トンネル湧水に伴う地下水位低下と表流水への影響、とりわけ沢ですけれども、沢への影響が生じることは確実であることを前提に、環境影響評価の協議を行ってきました。
しかし、影響予測には不確実性が伴います。不確実性に対応するため、順応的管理での対応、すなわち、影響の予測・分析・評価・保全措置・モニタリングを、それぞれの段階で、あらかじめ、すなわち着工前ですが、実施すべき事項を計画し、実行に移します。
その後、工事による影響の観測結果を継続的に評価し、それをもとに工事内容等の必要な見直しを行うことが必要です。予めの影響の回避・低減、代償措置と、工事中の順応的管理により、トンネル掘削に伴う生態系への影響を最小化することができると認識しています。ただし、適切な方法をとればということですけれども。
今月4日の市協議会では、大井川上流域の生態系への影響について、国の有識者会議が示した方法を改良した「静岡市独自の順応的管理」に基づく、環境の回避、環境への影響の回避・低減、代償措置の具体的方法の流れや、特に影響が大きいと想定される代表的な3つの沢で、まず、より詳細な現地調査を行い、そして、回避・低減、代償措置を決めていくということが了承されました。
代表的な沢で、まず現地調査を行うこととしたのは、代表的沢で現地調査を行えば、代表的な沢というのは影響が、流量減少が大きく、かつ生態系への影響が大きいと考えられる沢ですけれども、その代表的な沢で現地調査を行い、回避・低減や代償措置ができるということになれば、影響が少ない他の沢でもそれらの措置が適用できる。こういう理由で、まず代表的な沢で調査をやってみようというものです。今後は、まずJR東海が代表的な沢で詳細な現地調査を行うことになりますが、この調査結果を待つことなく、調査と並行して具体的な代償措置の検討も進めていきます。
静岡市としては、大井川上流域の生態系への影響は確実に生じることを前提に、引き続き、影響をできる限り最小化できるようJR東海と協議を進めていきます。