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更新日:2025年9月25日
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寺澤潤議員の質問への答弁概要
目次
清水区のまちづくりについて
清水駅東口周辺地区のまちづくりについて
IAIスタジアム日本平について
東静岡地区のまちづくりについて
質問と答弁の概要
質問:エネオス社と結んだ合意書について、合意書を取り交わした意図は何か
エネオス社と合意書を取り交わした意図についてですが、2021年7月に静岡市はエネオス社と「静岡市清水区袖師地区を中心とした次世代型エネルギーの推進と地域づくりに係る基本合意書」を締結しました。
この基本合意書は、清水製油所跡地を中心に、2つのことを一緒に取り組んでいこうとするものです。
1つ目は、次世代型エネルギー供給プラットフォームの構築、2つ目は、「まち」と「みなと」が一体となった魅力的かつ持続可能な地域づくりになります。この合意書は、地域づくりにおける具体的な内容や手法等について取り決めたものではありません。その後、地域づくりの実現に向けて、エネオス社と協議を重ねてきた結果、地域づくりにおける具体的な内容や手法などについての方針が定まってきたため、それを合意書として取り交わしました。
合意書の要点は、3点あります。
まず、1点目は合意書締結の目的と基本認識についてです。この合意書では、地域づくりの実現のための具体的な検討に向け、土地開発手法並びに静岡市とエネオス社の役割を確認することを目的としています。また、静岡市とエネオス社は「地域づくりエリア」、これは清水製油所跡地と呼びますが、この有効活用により、新たな雇用や魅力ある仕事を創出し、周辺市街地と一体となって地域経済を活性化すること」を基本認識として、相互協力により地域づくりを推進するとしています。
2点目は、土地開発手法についてです。地域づくりは、「組合施行の土地区画整理事業(土地区画整理法第3条第2項)」により土地開発していくことを前提としており、土地区画整理事業の推進・運営に関する事項については、エネオス社が主体的な役割を担い、静岡市はこれに協力する、としています。
今回の事業では、エネオス社の土地だけでなく周辺地権者の土地を含めて、一体的に整備することがよいと考えました。そのため、複数の地権者が主体的に整備する方法として最も優れた土地開発手法である組合施行の土地区画整理事業を前提に、検討を進めていきます。
3点目は、土地売買についてです。静岡市は地域づくりの中核施設の整備用地に充てるため、土地区画整理事業着手前に、エネオス社から地域づくりエリアの土地の一部を取得することをエネオス社とともに検討していきます。ここで静岡市が土地の一部を取得する理由は、静岡市が土地を購入することで事業に自ら参加し、土地開発事業を動かすことができるようにするためです。
一般的に、新たな土地の開発を実施する際は、事業利益と事業リスクを見積る必要があります。事業利益の具体例としては、事業によって土地の有効活用ができるようになり、土地の価値が上がることなどがあります。一方、事業リスクの具体例は、費用を投じて土地を有効活用できる状態にしても、その土地が売れないことなどです。民間事業者は、事業利益と事業リスクを評価し、事業リスクの方が大きいと判断すれば事業実施に慎重にならざるを得ません。
静岡市にとって、清水駅東口の約14haの土地をまちづくりに使えることは、地域経済の活性化など大きな社会的利益をもたらすことに繋がるものです。しかし、エネオス社はこの社会的利益、すなわち、エネオス社の事業収入として回収できないところで発生する利益、いわゆる外部経済効果を自らの利益と評価することはできません。過去の基本合意書で「一緒にやりましょう」と静岡市とエネオス社は合意しましたが、開発利益は静岡市も得る一方、事業リスクは地権者であるエネオス社が全てとるということでは、話は進みません。
このような観点から静岡市は、エネオス社と同じ土俵の上に立って土地区画整理事業に参加し、一緒に事業リスクを負担しながら事業を動かすことで、地域経済活性化という公的利益を追求するために、土地購入を検討することとしました。
今後は、地域づくりの中核施設としてふさわしい機能や、周辺用地にどのような機能配置が望ましいかなどについての検討を行いながら、合意書に基づき土地区画整理事業や土地売買の詳細について、エネオス社と協議を行っていきます。
質問:地域づくりエリアにおいて、市はどのようなまちづくりを行っていきたいと考えているのか
まず、静岡市の人口減少は危機的な状況にあると認識しています。特に清水区は3区の中で最も深刻な状況です。
人口減少の原因として、出生率の低下や若者の市外流出などが挙げられますが、その根底には、これまでのまちづくりにおいて、遊休化した土地の利用転換による高度利用や、政策的に行政が新しい土地の供給を十分行ってこなかったことなどにより、新しい雇用や所得の創出が不十分だったことが考えられます。
清水区においては、1970年代のオイルショックや、その後の円高等により、清水港の臨海部の大規模製造業の操業形態が変わったことによって遊休地になった土地が、現在に至るまで十分に高度利用できていません。そのため、遊休地を積極的に有効活用して、高度利用できる土地の供給を行う必要があります。
この地域づくりエリア=清水製油所跡地ですが、敷地面積が約14haの広大な土地であること、新幹線が発着する静岡駅から清水駅まで電車で10分、地域づくりエリアまでは徒歩数分と交通アクセスが良いこと、清水駅東口は富士山と駿河湾を一望できる、絶景の地であること、など、様々な強みを持っています。
静岡市の将来のためにどうしても有効活用すべき土地です。また、まちづくりにおいては、土地を供給するだけではなく、地域経済の活性化につなげることが重要です。
現在、地域づくりエリア近隣の清水港臨海部では、新しい河岸の市の開業、国際クルーズ船の寄港数増加、駿河湾フェリー発着場所の移転、エスパルスドリームプラザ新館の開業など、地域経済の活性化につながる様々な取組が官民連携で進められています。これらの取組がさらにエリア間連携を行うことで、相乗効果が生まれ、より大きな経済活動につながると考えています。
「清水は大変化する」と思う人が増えれば、清水で何かに投資をしようという人も増えてきます。
「清水の未来は明るい、静岡市の未来は明るい」と感じられるまちにするためにも、静岡市の課題と地域づくりエリアの強みを踏まえ、新たな雇用や魅力ある仕事を創出し、周辺地域と一体となって、地域経済の活性化につながるまちづくりを行っていきます。そして、このまちづくりの実現に向けて、まずは土地開発について地権者であるエネオス社と検討を進めていき、活用できる土地を創出していきます。
また、土地の利活用については、民間活力を積極的に導入していきたいと考えており、財源については、民間事業者の事業投資計画を踏まえた上で、具体的な検討が必要と認識しています。
まずは、民間投資を呼び込むために、土地利活用に関わる基本的な考え方を整理し、令和8年1月末までに結論を出していきます。
質問:IAIスタジアム日本平の改修状況と今後の改修についてどのように考えているか/新スタジアムを整備することとなった場合のIAIスタジアム日本平の在り方についてどのように考えているか
IAIスタジアム日本平は、サッカー専用スタジアムとして設置され、現在34年が経過しています。スタンドやトイレなどの衛生設備、電気設備など多くの設備が更新時期を迎えています。このため、今後も、静岡市の最高水準のサッカー専用スタジアムとして存続させるための大規模改修を行うべきか否かを判断する時になっています。
大規模改修には多額の費用がかかります。また、大規模改修の期間は数年に及びます。その間スタジアムは使えません。判断においては、これらのことを考慮する必要があります。
一方で、清水駅東口の土地が新スタジアム用地として使える可能性が出てきました。これにより、現スタジアム改修と新たなスタジアム建設のどちらを選択すべきかについて、最終の結論を出すべき時となりました。
早期に結論を出すために、本議会において「IAIスタジアム日本平の再整備検討事業」にかかる費用を補正予算として計上しました。この予算によって、大規模改修に係る費用を精査します。
これと同時に、別途実施する清水駅東口の土地利用計画の検討を進め、令和8年1月末までに今後のIAIスタジアム日本平の再整備方針を決定していきます。
なお、仮に新スタジアムを整備することになった場合であっても、現在のIAIスタジアム日本平は、必要最小限の改修を行い、市民の皆様が、サッカーでの利用はもちろん、幅広い用途で利用いただける施設にしていくことが適切ではないかと考えています。
このため、IAIスタジアム日本平は将来も使用していくことになることから、当面の利用に支障が出ないよう令和6年度には、利用者からの要望の多かったトイレの洋式化を完了しました。
7年度には、Jリーグのホームゲーム開催に必要な大型映像装置の更新や経年劣化が著しいメインスタンド観客席の改修を予定しています。
質問:事業者の参加を促し、アリーナの質を確保するため、事業者の公募においてどのような考え方を示しているのか
全国でアリーナの設置計画が進んでいる現在、報道などでは、「今後5年間で、全国で約30のアリーナが開業する一方、アリーナが乱立することにより、収益性に懸念がある。」というような報道があります。
静岡市のアリーナが、将来にわたって利用者や興行主から選ばれ、持続可能な施設となっていくためには、静岡市の地理的な強みと、東静岡駅に直結するという立地特性を活かし、競争力があり、収益性、経済活性化効果がある魅力的なアリーナとすることが必要です。
そのため静岡市では、興行誘致に優位性が見込まれる8,000席以上、最大収容人数10,000人規模のアリーナを計画し、整備・運営していくことが重要、適切であると考えています。そこで、アリーナの設計・建設及び今後30年の運営を担う事業者を選定する「事業者公募」では、公共施設の発注仕様書に該当する「要求水準書」や、事業者を選定する基準を示す「落札者決定基準」において、アリーナの規模を、コンサート需要を取り込みやすい8,000席以上としています。
そして、民間事業者のノウハウを十分に活かすことのできる事業計画や施設計画の提案を求めています。具体的には、静岡市がアリーナ整備・運営事業に求める内容を示す「要求水準書」において、施設の「詳細な仕様」よりも、「必要な性能」を求めることを重視しています。これによって、民間事業者が、積極的かつ柔軟な発想を、事業計画に反映できる内容としています。
加えて、民間事業者にとって、裁量のある事業計画の提案ができることが重要です。例えば、「施設整備において、どの部分に重点的に経費をかけるのか」の判断を民間事業者が自ら行うことで、メリハリのある施設整備をすることが可能となります。結果として、静岡市が示す予算の範囲内において、民間事業者の参加及び提案を促すことにつながると考えます。
また、事業者とのヒアリングからも、参加意欲が高いことを確認しております。
さらに、事業者を選定する「落札者決定基準」では、入札金額を評価する「価格点」よりも、事業計画を評価する「性能点」を重視する内容としています。
特に、性能点の各評価項目では、「公共投資に対し、どの程度の経済効果や社会効果が、静岡市にもたらされるのか」という考え方を具現化するために、「市内への経済効果をもたらす事業計画」の配点が最も高くなる重みづけを行っています。また、地域の新たなランドマークとなる「景観デザイン」や静岡市独自の「災害拠点としての防災効果」に対しても、重点的に配点しています。
公募内容を通して、アリーナの整備・運営事業に対する静岡市の考え方を明確にすることで、事業者が「静岡市の目指すアリーナ」を理解し、それを実現させる魅力的な提案が、2026年1月末に提出されることを期待をしています