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更新日:2025年9月25日
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加藤博男議員の質問への答弁概要
目次
経済産業政策について
小中学校体育館の空調設備整備について
質問と答弁の概要
質問:市内総生産を高めていくための経済産業政策についてどのように考えているか
2022年度の静岡市の市内総生産額は約3兆6,000億円です。それまでの10年間で約15%、4,800億円増加しています。これは、同じ時期の静岡県全体の増加率約10%と比べ高い値となっています。
増加額に対する産業別の寄与度を見ると、製造業が全体の6割強であり、特に電気機械器具製造業の大手事業所とそれを支える地域のサプライチェーンによる強固な産業基盤が構築されていることが大きいと認識しています。
市内総生産は、一つの分析の仕方として、「単位面積当たりの生産額×総面積」という見方ができます。静岡市においては、長年、事業用地として利用可能なまとまった土地を創出する努力が不十分でした。
事業用地として活用できる未利用・低利用の土地があるにもかかわらず、静岡市が行政の取組として、土地を積極的に供給してこなかったため、新たな工場を建設したり、規模を拡充して移転する希望を持った市内企業や、静岡市への進出を検討している市外企業などに、必要な土地を提供できない状況が続いてきました。
加えて、土地利用規制や開発審査により開発を抑制してきたことにも問題がありました。このため、総面積を増やすことができませんでした。
このため、すでに立地している企業は今の自社用地で単位面積あたりの生産額、いわゆる土地生産性を上げることが中心となりました。こうした企業努力などによって、静岡市においては、これまでは総生産は伸びてきました。しかし、今の利用可能な土地面積で、生産性を上げていくことには限界があります。
さらに、この問題は総生産に影響するだけでなく、新規雇用の創出が不足しているため、若年層の市外流出につながり、それが若年層比率の減少、出生数の減少につながり、結果として人口減少を加速させてしまいました。それが、サービス業の総生産の減少につながってしまいます。20の政令市の中で、生産年齢人口比率が最も低いこと、有業者、仕事を持っている人の平均年齢が最も高いことがそれを表しています。
この様な課題認識のもと、市内に新たな投資を呼び込み、産業の新陳代謝を進め、若者にとって魅力ある雇用を創出していくことで、地域の「稼ぐ力」を強化し、企業の成長や収益拡大につなげていくことが重要であると考えています。
具体的には、企業用地の確保については、市街化調整区域において、企業ニーズが高い場所や、未利用・低利用農地が存在する場所で、開発が可能な用地の確保に向けた取組を進めています。また、開発行為に関わる基準や運用の見直し、手続きの簡素化なども進めています。これによって、市内で操業している工場で、新工場に移転して最新の生産システムを導入したいという企業ニーズにも応えられると考えています。
また、若者にとって魅力ある雇用の創出については、プログラミングやデザイン、コンピューターグラフィックスなどのスキルを身に付ける大学や専門学校の集積を活かして、若者の就職先として人気の高いゲームやアニメなどのいわゆるデジタルエンタテイメント企業、さらには情報通信業全体に対象を広げた企業の誘致活動を進めています。また、「知・地域共創コンテスト」などを通じて、静岡市が抱える社会課題の解決や地域経済の成長を支える新しい担い手であるスタートアップの起業や集積、あるいは彼等による社会課題の解決を促進していきます。
こうした取組を強力に進めていくことで市内総生産をいっそう高めていきます。
質問:空調設備整備に至った経過と全ての小中学校体育館への空調設備整備に向けた計画はどのように考えているか
近年の気温上昇に伴い熱中症などのリスクが高まっており、児童生徒の健康を守るため、学習の場である学校施設における空調設備の整備は必要不可欠となっています。
現在、静岡市では、小中学校の普通教室に続き、特別教室の空調設備の整備を進めており、2026年度には完了する予定です。
体育館については、体育の授業や学校行事などに使用するとともに、災害時の避難所として活用されますが、静岡市では、空調設備が設置されている学校はなく、35度を超える猛暑日が増加する中、保護者をはじめ利用者などから、環境改善を求める声が多く寄せられていました。
しかし、体育館に空調設備を整備するには、100億円におよぶ予算を確保する必要があると見込んでいたことから、事業の実施を判断する上で大きな課題でした。
そのような中、文部科学省では、早期に子どもの教育環境を改善し、災害時の避難所機能を向上させることを目的とする「空調設備整備臨時特例交付金」を2025年2月に創設し、適用期限を2033年度までに設定しました。
この交付金は、避難所に指定されている学校体育館の空調設備整備費用及び断熱改修費用について、上限額の範囲内において2分の1を国が補助するという支援制度です。静岡市は、この制度を積極的に活用して、すべての小中学校体育館に空調設備を整備していく方針としました。
しかし、その際に、課題があります。それは、体育館は天井が高く、断熱性能も十分ではないものがほとんどなことです。このため、単に空調設備を入れるのでは、電気代等の維持費が高くなってしまいます。そこで、まず2025年度から2026年度にかけて、モデル校の設計および工事を実施します。このモデル校において、空調効率や電気・ガスの使用量などを調査し、その結果を今後の整備に反映させます。また、2026年度で特別教室の空調設備の整備が完了するので、設備事業者の供給能力の観点からも、2027年度から体育館の空調整備を本格化させることが好時期となります。
全体の計画については、モデル校の整備と並行して、空調機器の供給状況や工事施工者の受注体制、供給体制を把握しながら、事業スケジュールや整備順序などを検討し、交付金の適用期間である2033年度までには、すべての学校への整備完了を目指します。