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更新日:2025年6月26日

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繁田和三議員の質問への答弁概要

目次

市長の政治姿勢について

市長の目指すまちづくりについて

大規模事業の推進と施設の収益性について

「人を留める地域づくり」について

「オクシズまるごと博物館」の実現について

質問と答弁の概要

質問:市長は4次総の見直しの重心をどこに置こうとしているのか/見直しにあたってまちづくりの目標についてどのように考えているか

4次総の見直しの重心をどこに置くのかについては、定住人口の将来見通し、そして目標、これは見直しの重心というか、見直しの基礎になると思っています。
したがって、定住人口の将来見通しや目標を4次総の見直しの基礎に置いて、どうしていくかということを考えていきたいと思います。

5月に行った市議会への市政説明会において、ご説明したとおり、今、東京など一部を除いて、人口減少問題はどこの市町においても重要な問題です。しかし、静岡市の人口減少率は全国や静岡県平均または浜松市、あるいは同規模の政令指定都市と比べて深刻な状態にあります。

旧2市2町が合併をしていたとして、静岡市の人口の推移を見ると、1990年にピークを迎えています。日本全体の人口のピークである2008年より18年早く人口減少が始まっています。また、岡山・熊本・新潟といった同規模の政令指定都市と比べても15年から30年、浜松市や静岡県全体と比べても15年早く人口減少が始まっています。
そして、出生率は、現在、政令指定都市の中でも最も低く、かつ、全国平均よりも低い状況です。

なぜ静岡市の出生率が、これほど低いのでしょうか。
出生率は、出生数を総人口で割って算出します。人口減少においては、合計特殊出生率の低下が注目されますが、人口減少に直接影響するのは出生率です。
静岡市は、長年にわたり若年層の人口流出が続いてきました。その結果、15歳〜64歳の、いわゆる生産年齢人口が総人口に占める割合は、2024年時点で58%となり、政令指定都市の中で2番目に低い水準となっています。また、15歳〜44歳の女性人口である出産年齢人口の割合も14.5%と、政令指定都市の中で最も低く、これによって出生数が減少して、出生率が低くなっていると考えられます。
静岡市の厳しい人口減少の原因は、1970年から長年にわたる若年層の人口流出と考えられます。

しかし、静岡市は、市内大学の定員が多いという恵まれた状況にありながら、大学卒業後に市外に若者が流出してしまっています。この原因は、市内に若者向けの魅力ある仕事が不足していることだと考えられます。
そして、さらに、その根底には、未利用・低利用農地などが活用されず、企業立地用地が供給されてこなかったことにより、企業の新規立地や既存工場の刷新・拡張が進められてこなかったという現状があります。

こうした課題への対応は、遅くとも2000年頃から求められていたと考えられますが、それにも関わらず、2023年3月に策定した4次総においては定住人口減少の原因を分析することなく、交流・関係人口に重点を置いています。また、4次総では、定住人口について、国立社会保障人口問題研究所、いわゆる社人研の推計を上回ることを目指すとしています。
しかし、2024年9月に公表した市独自の推計では、このまま有効な対策を取らなければ、2050年には人口が49.2万人にまで減少する推計となっており、社人研の推計よりも5万人、約10%下振れすると見込まれています。
今の現実は、社人研の推計を上回るどころか、それを大きく下回る方向に向かっているということになります。

このような静岡市の厳しい人口減少問題を直視してこなかった市政には、問題があったと言わざるを得ません。
市政においては定住人口推計に基づき、将来の行政需要を把握し、行政サービスの供給量を最適化していくという「適応策」を検討しなければなりません。また、人口減少の原因分析を行って、人口減少を緩やかにするための「緩和策」を検討することが不可欠です。
そこで、令和7年度、静岡市の危機的な人口減少の状況を踏まえ、政策の見直しを行うため、4次総基本計画の見直しを行っていきます。

政策の見直しを行うにあたっては、指針となる「目指すまちの姿」が必要です。
その点に着目して、4次総を見ると、基本構想では、「まちづくりの目標」として、15行の文章が掲げられていますが、そのうち12行は静岡市の地勢・歴史・地域資源について事実が書かれていて、目標とは関係ありません。
目標として書かれているのは、最後の三行です。【これらの強みを活かして、人口や産業が過度に集積し時間の流れが急速に進む大都市ではなく、一定の経済力を有しながら、経済、社会、環境が調和した、世界の中で存在感を示す都市を目指していくため、「『世界に輝く静岡』の実現」を掲げることとします】、このように書かれています。

しかし、これを、これからも基本構想としてよいのでしょうか。
この基本構想は市民目線に立っていません。世界の中で存在感を示して、市民が幸せを感じられるとは思えません。
本来、目標とすべきことは、市民の暮らしにどのような幸せや豊かさをもたらすことができるかということだと、私は考えます。

さらに、基本計画の中を見ていくと、例えば、「観光・交流分野」の「目指すまちの姿」は、「賑わいが創出されるまちを実現します」とされています。
私は、日頃から、行政の目標や目的として「賑わい」という言葉は使わないようにしています。なぜかと言うと、賑わいをもたらすことで思考停止し、それが市民にとって何がよいことがあるのかに考えが及ばなくなりがちだからです。
「観光・交流分野」であれば、人が集まることによって経済活動が行われ、それが雇用や所得を生み出すことにつながります。
このような「経済効果をもたらすこと」「稼ぐ力を高めること」、これを「観光・交流分野」の「目指すまちの姿」においても、重視すべきと考えます。

このように、4次総で示す「目指すまちの姿」には、様々な課題があります。
しかし、このまちは、中心市街地の強みを活かすことで、人が集まるまちに生まれ変わる力を持っています。
だからこそ、厳しい人口減少の現実を直視して、どうすれば人が集まり、どうすれば人々が幸せを感じ、住み続けたいと感じられるまちになるのかを真剣に考え、行動に移していくことが求められます。
4次総の見直しにおいては、以上のことを踏まえ、市民が幸せを感じられる「まちの姿」を明確に描くことが不可欠と考えています。

4次総の見直しにあたっては、「誰もが幸せを実感し、住み続けたいと感じられるまち」、これは仮にということですが、これを目指すまちの姿に掲げてはどうかと考えています。

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質問:大規模事業に対する市長の意気込みについて、改めて伺いたい

静岡市のまちづくり、とりわけ中心市街地のまちづくりは、1950年代から1970年代は、戦後の都市再生の時代でした。
戦後の都市再生の時代は1945年からその後と言うことになります。
先の大戦で焼失したまちを耐火性のあるまちへ生まれ変わらせる「都市再生」が行われ、高度成長、人口増大期に適応して、まちが成長してきました。
この時期に、呉服町から紺屋町の防災建築街区が形成され、戦後の面の都市再生が行われました。

その後、2000年頃から、土地の高度利用による都市再開発の時代へと移行します。
まちづくりが進み、さらに土地を高度利用するため、主として高層建築化による点・区画の再開発が行われてきました。
この時期には、葵タワーや呉服町タワー、札の辻クロスなどが建設され、拠点となる「点」のまちづくりが行われてきました。

そして、現在の2025年頃から、再び都市再生の時代を迎えたと、私は考えています。
「戦後の都市再生」により行った建物の集積が老朽化してきています。さらに、総人口が減少してきているため、住の場所として、郊外から中心市街地へ人口が流入してきています。
そして、DX、AIなどの進歩により、働き方も変わってきています。
このようなことを踏まえて、点の都市再開発の時代から、再び、面の都市再生の時代へ舵を切っていく必要があります。

さらに、静岡市は公共施設の計画的な維持補修にも力を入れてこなかったため、学校のトイレの洋式化や特別教室のエアコン、市有施設のLED化、清水庁舎や静岡市民文化会館、これらの維持補修や更新をしていかなければならない施設が山積しています。
しかし、維持補修ばかりやっていては、稼ぐ力やこのまちの魅力が低下します。
厳しい人口減少の原因は、若者にとって魅力ある雇用が不足していることであり、新たなまちづくりへの投資を行わなければ、若者の流出は続き、人口減少はますます加速し、生活関連サービスや雇用も縮小し、将来的な税収の減少にもつながります。
したがって、今は、これまで先送りされてきた維持補修や更新投資をうまくさばきつつ、静岡市の明るい未来に向けて、積極的な投資を行っていくべきです。

このような考え方を前提に、かつ他都市と比較しても危機的な人口減少に直面する静岡市の状況を踏まえると、大規模施設の整備にあたっては、その施設による直接の投資効果をまず最大化させるということがたいへん重要ですが、併せてその施設だけで考えるのではなくて、その投資を一つの機会として、周辺の投資を誘発していくことが重要です。
大規模施設の整備あるいはその運営によって、新たな雇用や経済活動を生み出すという直接効果だけではなく、来訪者を増やすことで、民間投資を促進し、エリアの価値を高め、新たなまちづくりへと投資効果を広げていくことが重要です。

静岡駅南口、アリーナ、新スタジアムといった大規模事業を、単なる施設整備と捉えてはなりません。
まず、施設というハードとその運営というソフトが一体の効果を高めることになり、それがまず重要です。かつ周辺のまちづくりや投資にも相乗効果が表れ、地域に活力を生み出し、新たなまちづくりを牽引する原動力とすることが重要です。

人口減少に歯止めをかけ、静岡市の明るい未来を切り拓いていくための機会となるよう、これらの施設整備、そしてそれらがまちづくり全体の投資効果に繋がっていくように取組を進めていきます。

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質問:海洋・地球総合ミュージアムの意義と現在の状況はどのようか

ミュージアムの持つ意義は、「海洋保全意識の醸成」「研究開発力への貢献」のほか、集客・回遊の拠点の1つとしての「清水港周辺のみなとまちづくりの推進」です。

現在、清水港周辺では、エスパルスドリームプラザ新館のオープン、河岸の市のリニューアル、駿河湾フェリー乗り場移転など、官民共創による様々なまちづくりが進められています。また、日の出埠頭では、クルーズ船が2隻同時着岸できるようになり、今後さらに寄港数の大幅な増加が見込まれます。
そこで、ミュージアムが、日の出エリアの新たな拠点となり、周辺の動きと一体となることで、清水港周辺にさらなる来訪者を受け入れ、その回遊・滞在・消費を促すとともに、さらなる民間投資を呼び込むなど、エリア全体の価値を高める原動力に、ミュージアムは貢献するものと考えています。

次に、ミュージアムの現在の状況ですが、現在、事業を進めるうえで、建設費の大幅な増額が見込まれています。その費用負担について事業者と協議しています。
昨今の物価高騰の影響等により、現在の設計のとおり建設すれば、当初予定していた建設費約94億円に対し、建設費が約65億円増加すると見込まれる旨の報告を事業者から受けています。
さらに、今後の物価上昇及び現時点で未確定分の建設費用部分を推計して上乗せした場合、増額は約70億円以上になると見込まれています。
この増額分の負担については、事業契約書に基づいて、市と事業者で費用分担を行うという規定になっていますが、現時点ではその協議が難航している状況です。
そのため、着工の時期については、現時点では明確にできません。

施設の建設には概ね2年の期間がかかると見込まれていますので、仮に今年の12月に着工したとしても、竣工は2028年1月以降となることが見込まれます。当初予定は2026年2月竣工予定と言っていました。

事業実現に向けては、非常に困難な課題がありますが、先ほど述べたような重要な意義を持つ施設ですので、今後とも引き続き事業者との協議を進め、早期の着工を目指していきます。

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質問:静岡市オクシズ地域おこし条例制定後10年間の評価はどのようか

お答えの前提として、私がオクシズ地域をどう認識しているかについて述べます。
前半の答弁で、中心市街地、とりわけ商店街がしっかり残っていることが静岡市の強みだと申しました。このオクシズは、その中心市街地のすぐ周辺にある自然の魅力にあふれた地域であると、私は認識しています。
中心市街地のある岡山市までバスで4時間という山間地で生まれ、幼少期を過ごした私の認識としては、オクシズというのは大都市の中にある自然豊かな地域と認識しています。
これは私だけではなく、清水の旧西河内小学校で東京の会社が新しい活動を来年4月から開始してくださいますが、この方々のお話しでも西河内は東京から近いということをおっしゃっています。近いという意味は、静岡市に住んでいる者と少し違う認識ではありますが、東京から見ても近い場所にあるという認識です。
オクシズというのはそういう場所であると私は認識しています。

オクシズ地域の豊かで持続可能な地域社会の実現を目指して、これまで様々な事業に、静岡市は取り組んできました。
主なものとして、オクシズの空き家を紹介する「空き家情報バンク」などの移住促進や、オクシズを活性化し収益性と継続性が見込まれる事業に対して支援する「オクシズ元気ビジネス創出事業」などの民間活力の導入、あるいは地域おこし協力隊、これは各地域の課題解決に向けた活動を行って、任期終了後はその地に留まり、担い手となって活躍する方々ですが、この地域おこし協力隊の派遣などを行ってきました。
その結果、直接的な結果だけとは言えませんが、累計で108世帯の移住が成立しました。また、オクシズの市民認知度は8割を超え、オクシズへの市民の関心は高まっていると理解しています。

しかし、2025年3月末時点のオクシズの人口は23,684人、10年前の29,152人に対して、5,468人、約20%減少しました。また、高齢化率は、37.7%から46.1%に上昇しました。
このような状況を踏まえると、これまでの延長線上での取組では、後継者や地域の担い手の不足から地域社会の存続が危ぶまれる集落が増加するとともに、貴重な里山の自然環境の保全が厳しくなる、そういうおそれがあると認識しています。

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質問:今後のオクシズ振興とオクシズまるごと博物館構想の実現に向けてどのように考えているか

オクシズは、その豊かな自然環境から清流や良質な農林産物を産み出すとともに、治山・治水の面からも市街地の生活基盤を支えています。また、茶畑やわさび田の景観、温泉など地域資源の宝庫でもあります。そして、固有の風習や祭事などの歴史ある文化も今も息づいています。
この点で、この歴史ある文化・暮らし方はオクシズという広い範囲のそれぞれの地区にあり、例えば井川、梅ケ島、玉川でそれぞれ異なります。

ここで、「生態地域主義」という考え方を紹介します。
生態地域主義とは、人が生活を営む場である地域において、自然と人間との昔からある相互の関わりを再度見つめ直すことで、その土地の特性や自然の持続性を損なわないような生活様式を構築していこうという試みです。
これは、これから世界から憧れられる暮らし方の一つになると考えています。

この考え方のもと、オクシズのめざす姿は、それぞれの地区において、その地区独自の暮らし方があり、その暮らし方が好きな人が、その地区の暮らし方に誇りをもって暮らしていて、そして、その暮らし方に共感する人も移住して暮らすようになるということになります。
議員が考える「オクシズまるごと博物館構想」は、この考え方に近いものではないかと思います。

オクシズのそれぞれの地区にはそれぞれの自然と人との関わりがあり、かつ、それぞれの魅力ある地域資源があり、それは社会に誇るべきもので大切にすべきものです。
博物館構想は、それらを社会にまるごと示すことで、オクシズの魅力を見える化することだと思います。
それによって、自然豊かな美しい景観と地域資源にあふれたオクシズに存在する全てのものが、価値あるものとして広く認識され、オクシズに住む人には誇りを、訪れる人にはその魅力に魅せられることにつながるものと考えています。

ご提案いただいたオクシズまるごと博物館構想を参考にさせていただいて、新しいオクシズの振興施策を考え、実行に移していきたいと考えています。

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