印刷
ページID:56241
更新日:2025年6月27日
ここから本文です。
望月俊明議員の質問への答弁概要
質問と答弁の概要
質問:有機農業の推進について
- 慣行農業と有機農業について
答弁概要
私は静岡市農業の持続的な発展のためには、従来から行われている慣行農業と有機農業のいずれも重要な営農形態であると考えています。
慣行農業は、国の法律や基準に基づき、確立された技術により生産が行われ、これらの農産物は市場等への販路も確立されています。
これまで市内の多くの農業者が、この慣行農業による栽培を行ってきており、静岡市の農業を支える役割を担っておられます。
よって、有機農業への転換は慣行農業を否定するものではありません。
一方で、環境負荷が小さく、化学肥料や農薬に依存しない農業の実現は、世界共通の課題であり、その達成には有機農業の推進が不可欠です。
日本は欧州などの先進国と比べて出遅れており、その他の地域の世界の潮流からも遅れつつあります。
そういった状況の中から日本においても、農林水産省は「みどりの食料システム戦略」を策定し、2050年までに化学農薬の使用量の50パーセント低減や化学肥料使用量の30パーセント低減、有機農業の取組面積の割合を25パーセントに拡大するなどの目標を設定し、生産力向上と持続性の両立をイノベーションで実現することを掲げています。
静岡市としても、こうした世界の潮流に遅れることなく、有機農業の推進に真剣に取り組んでいく必要があります。
しかし、有機農業は、病虫害の防除方法や作物にあった土づくりなど、専門的な知識や実践的な栽培技術の習得が難しく、また、病害虫の対策に手間と労力がかかるなど、現在の状況では生産における多くの課題があります。
そして、日本の全体の特徴でもありますが、個人の努力・勤勉に頼りすぎて、社会全体で有機農業をやりやすくしようというような取組が不十分です。
加えて、現時点では慣行農業に比べて生産量が少なく、安定していないことから、販路の確保が困難となり、多くの農業者にとって参入しづらい状況にあるのが現実です。
このため、官民連携で有機農業実施計画を策定し、静岡市有機農業の目指す姿や具体的な取組を示し、有機農業で経営が成り立つシステムの構築を進めることとしました。また、これまでは一部の方が地道に取り組んでこられた有機農業を、これからは社会全体の力で進めていくことを示すため、有機農業実施計画の策定と合わせて、今年の3月、オーガニックビレッジ宣言を行いました。
静岡市は、宣言によって有機農業の生産から消費までを、農業者のみならず、加工・流通事業者や消費者など、地域一体で取り組むことを表明しました。
この計画や宣言を踏まえ、静岡市は既存の農業者や新たに農業を志す者が、有機農業を選択できるように取組んでいきます。
同時に、静岡市としては、有機農業への転換だけではなく、化学肥料や農薬の使用を押さえることが重要との観点から、特別栽培農産物、いわゆる特栽という、慣行農業に比べて農薬や化学肥料の使用量を一定程度減らした農産物の生産や環境保全型農業などに、まず転換することも重要だと考えています。
先ほどイノベーションにという話がありましたが、2050年までの有機農業の割合が増えていく図を農水省も示していますが、最初のうちは非常に緩やかで、その後イノベーションの発展によって栽培技術が色々確立されてきて、急速に拡大していくというような図になっています。
したがって、一気に「2050年25%」ということですが、それを目指せるような状況にはなくて、まずはできるところからしっかり始めていく、そしてまた、そういう姿勢を示すということが重要だと考えています。
有機だけではなく、特栽や慣行農業も含めて、生産者の背景や実情を踏まえた支援を行って、持続可能で環境負荷が小さい農業の実現に向け、着実に取組を進めていきます。