印刷
ページID:56227
更新日:2025年6月26日
ここから本文です。
佐藤成子議員の質問への答弁概要
目次
市長の政治姿勢と市政運営について
2年間行ってきた市政変革について
第4次総合計画の見直しについて
質問と答弁の概要
質問:二元代表制における市長と議会の役割をどのように認識し、どのような関係性が望ましいと考えているか
二元代表制における市長及び議会の役割については、市民の皆様が市長と議員をそれぞれ選挙で選出し、市長と議員がともに市民の皆様に対して責任を負うという点は共通しています。
議員は、市民の皆様や社会の声を聞き、その声を市民の皆様に代わって、あるいは代表として、議会に届け、議事に携わり、議会は市政運営に必要な条例や予算などを議決し、市政に実行させ、監視するということが大きな役割です。
一方、市長は、執行責任者です。執行責任者として市民や社会の声をお聞きし、議会の議決等を踏まえ、社会にとって望ましいありとあらゆる政策・施策・取組を考え抜き、社会の共感を得て実行し、結果を出さなければなりません。
それぞれ市民の皆様の代表として、互いの役割の違いを認識したうえで、市政運営の両輪として、それぞれの役割を果たしていくことが、基本の関係であると考えています。
質問:市議会議員を対象とした市政説明会を初めて実施したが、説明会を終えて市長はどう感じられたのか
私は、「根拠と共感に基づく市政」を、市政の運営の基本方針の一つとしています。
このために、市が取り組んでいること、いわゆる政策や施策を市民の皆様に根拠をもってお示しし、共感を得て実行に移すことを重視しています。
今回の市政説明会は、議長・議会から、しっかりとした政策議論をしたいので、市長の考えを説明してほしいという要請を受けて開催されました。
説明会では、「静岡市の現実と市政変革」と題して、私の市長就任後の2年間を振り返るとともに、静岡市の人口減少の原因についてデータを示し、なぜ、なぜ、なぜ、とその根拠の根底まで掘り下げていきながら、説明いたしました。
静岡市の行政課題とそれらの原因分析、これからの市政運営の方向性について、議員の皆様と、認識が一定程度共有され、お互いに理解を深める場になってよかったのではないかと思っています。
私の説明の後、短時間ではありましたが質疑もありました。ここで重要なことは、市長が自ら説明したということももちろんありますが、市長の市政運営の考え方と根拠を紙という残る形で提示したことだと考えています。
このような形にすることにより、言った・言わないが論点になることなく、その根拠資料をもとに「ここは考え方が違うのではないか」とか、「そういうことであればこうすべきではないか」というような形で議論が深まり、いわば建設的な意見交換が進んでいくことを期待しています。
その後、個別分野についても資料をまとめて、現在、約1,350ページの資料をホームページで公表しています。今後も、これを充実させていき、根拠として提示していきたいと考えています。
現在、第4次総合計画の見直しに着手しておりますが、その中で個別の政策を検討する際には、課題の発生原因を根底まで分析した上で、解決に向けた道筋およびその根拠を明示して、議会や市民の皆様のご意見を伺いながら進めていきたいと考えています。
なお、こういった根拠を示すにあたっては、どこに問題があったのかを明らかにする必要があると思います。そうすると過去に行った政策について、あるいは政策執行について、十分でないところがあれば、「それは十分でない。だからこう変えていかなければいけないんだ」ということを明らかにする必要があると思います。
それは、以前その問題に関わっておられた方々にとっては、決して耳ざわりのいいことであるとは思えませんが、それを言わないで耳ざわりのいいことだけ言っていても変革はできません。
したがって、これからも耳ざわりの悪いことも堂々と申し上げていきたいと思います。
質問:4次総の見直しにおいて、市長はどのような考えで政策の見直しを行っていくのか
2年前の2023年6月定例会の所信表明で、4次総を「発展的に継承する」と述べました。
それは、4次総が、政策・施策・事務事業を体系的に示したもので、そのほとんどが実施すべきものであり、継承すべきものであると考えたためです。
しかし、4次総には十分でないところもあり、当時の所信表明の際には、人口減少問題、市政の運営方法、とりわけ政策執行のあり方について取り上げました。
このうち、政策執行については、市長就任からの2年間で、結果・成果を出せるよう「政策執行力の変革」を進めてきました。
まだまだ変革途上ですが、政策執行にあたっては、職員の意識が変わってきています。「難しい」で思考停止することなく、より適切な政策執行方法を考え抜くという人も多くなってきました。
「政策執行力の変革」は、着実に進んできていると認識しています。
一方、4次総の見直しに関しては、まず、市政変革研究会において、市政の課題について、不都合な現実を直視し、その現実が生じている原因を根底まで深堀りして分析してきました。
その中で、最も根深い市政の課題が人口減少問題です。
静岡市の人口減少の原因は、全国どこでも同じというものではありません。静岡県においても、静岡県全体と静岡市では、人口減少の原因が異なる可能性があります。
そこで、人口減少の原因について、いくつかの仮説を立てて、検証してみました。例えば、「市内、県内に大学が少ないから、進学時に人口が流出することが原因」という仮説です。
これについては、静岡県全体の大学の収容率は、高校生が大学に進学するときに大学の定員が何パーセントあるのかというのが大学の収容率ですが、静岡県全体では50%ありますが、したがって、確かにその仮説が当てはまります。大学が少ないから進学時に人口が流出するということになります。これは構造的問題と言えます。
しかし、静岡市は、大学収容率が104%、つまり高校生が大学に行くときの数を定員が超えているという状況がありますので、この仮説は当たらないということになります。
そして、年齢別の人口増減をみると、静岡市は大学進学のタイミングである19歳までは、大きな増減が見られず、大学卒業後から30歳までに明らかに人口流出が見られます。
では、その原因の根底に何があるのか、仮説として、若者にとって魅力的な仕事がないことや家賃が高く、市内に就職した人も市外に移り住んでしまうことが挙げられます。
このように、なぜ人口流出が起きているのか、なぜ特に若者が流出しているのか、というように「なぜ」「なぜ」を繰り返し、根本の原因を明らかにするため、深掘り・分析し、その対策を講じていくことが重要です。
しかし、4次総では「国全体で人口減少・少子高齢化が進行している中、中長期的な人口減少は避けられないもの」とだけ記されています。
静岡市が他政令指定都市と比べて、とりわけ厳しい状況にあることの認識がなく、なぜこのような状況に陥ったのかという分析もありません。
そのため、耳ざわりが悪くてたいへん申し訳ありませんが、4次総は、その策定時、人口減少に対する危機感があまりにも低かったと言わざるをえません。
私は、根拠と共感に基づく、共創の市政を重視しています。
根拠を明らかにしないままに総合計画を作るのではなく、まず現実を直視した上で、なぜその政策が必要なのか根拠に基づき、政策を形成することが重要だと考えています。
人口減少問題は、何か一つ対策を講じれば解決するというような簡単なものではありません。
多様で複雑な要因が絡み合う問題の解決には、政策形成力とともに高度な政策執行力が必要となります。
根拠に基づき政策を形成し、その政策を実現する道筋も明らかにした計画になるよう見直しを行っていきます。
その際には、佐藤議員のご指摘のように、政策形成は議会・議員と共に進めていく必要がありますので、十分な議論・意見交換をさせていただき、よい計画になるように一緒に進めていけたらと考えています。