印刷

ページID:56252

更新日:2025年6月30日

ここから本文です。

髙塚雅子議員の質問への答弁概要

質問と答弁の概要

質問:茶業の健全な経営確立

  • 輸出向けの有機茶や碾茶生産の推進に対する市の考えはどのようか

答弁概要

私が市長に就任以降、茶振興について、経済局長をはじめ、担当局職員に繰り返し言っていることですが、これは「セリングに終始しない」「マーケティングが重要」ということです。
どういうことかと言うと、経営の用語に「セリング」と「マーケティング」があります。「セリング」は販売になりますが、既にある自社の製品を「今、売るために何をすべきか」を考えるという短期的視点で「売り手」起点になります。「売り込み」という言い方もあります。

一方、「マーケティング」は長期的に買ってもらうための仕組みづくりで、「顧客ニーズ」と「顧客満足」を起点にします。
「買ってもらえる仕組み」は、結果として、「売れる仕組み」になります。
お茶のまち静岡というイメージづくりは重要ですが、長期的に買ってもらうための仕組みづくりになっていることが重要です。
買ってもらうための仕組みづくりは、生産現場にも及びます。顧客ニーズの変化に対応して、生産の内容も変化していく必要があります。

現実を直視するという点で、茶生産の状況を見ると、静岡市の茶生産は、1995年から2020年、25年間になりますが、生産者の数が約7分の1、茶園面積は約3分の1に減少し、産出額は118億円から16億円と約7分の1に減少しました。1ヘクタール当たりの農業収入は約200万円で、反収という10アール当たりの収穫高では20万円となり、非常に厳しい状況です。この20万円とは、所得ではなく、売り上げということになります。
この原因の一つは、静岡市内の茶畑が中山間地に多いということもありますが、それとともに、行政として顧客ニーズの変化に対応して、生産現場の生産性・収益性を上げることへの行政の支援が十分でなかったことにあると認識しています。

一方で、静岡市には強みがあります。茶市場が存在し、全国から茶葉が集まる集積地としての機能を果たしており、現在も「お茶のまち静岡市」としての存在感を保っています。また、富士山や駿河湾を背景とした茶畑の景観は、静岡市の大きな魅力の一つです。
こうした茶園の景観や地域資源を守り、茶生産を次の世代へつなげていくためには、収益性の高い茶生産の実現が必要です。

その方策として、直ちに行うべきものの一つが、近年、国際市場で需要が拡大している有機茶や碾茶への転換、すなわち、有機・碾茶・輸出への対応です。
静岡市においては、有機・碾茶への生産転換が遅れています。そこで、有機茶の転換支援として、市内のモデル圃場で栽培技術の実証を行い、静岡市独自の技術確立とその普及を目指しています。また、有機JAS認証を新たに取得した茶園に対しては、奨励金を交付します。
有機転換と言いながら、個人の努力に頼っていたということがこれまでの問題です。有機への転換は個人の努力では非常に厳しいところがありますので、全体として、転換できるような支援をしていかなければならないと思っています。
碾茶への転換支援としては、共同茶工場への碾茶炉導入事業に対する補助を行っています。また、生産者が碾茶づくりに移行しやすくなるよう、碾茶に適した品種への改植及び植栽の初期管理に要する経費を助成します。
このように、海外市場のチャンスを的確にとらえ、有機茶や碾茶への転換に意欲的に取り組む生産者への支援を重点的に行い、持続可能な茶業の構築を目指していきます。

現在の茶生産の厳しい状況を考えると、今を生き残ることが将来に繋がります。よって、現在の需給状況を考えれば、有機茶や碾茶への生産拡大を急ぐ必要があります。また、碾茶の供給量が増えることで、リーフ茶の供給量が相対的に減少し、その結果、リーフ茶の価格が上昇する効果も期待できます。
但し、今を生き残っても、その戦略が未来も通用するとは限りません。未来の需給状態を想像することが必要です。
マーケティングの観点からは、中長期の顧客ニーズとそのニーズに誰が供給するのかを注意しておく必要があります。

国内外の市場の将来動向は見通しにくく、不確実性があることから、有機茶や碾茶に一辺倒になることは危険があります。議員からご指摘ありましたように、今の碾茶需給は、需要に対して供給が足りないため、とにかくどこでもいいので抹茶がほしいというものが、かなりあります。この場合、近い将来、安い値段の抹茶の供給が増えます。また、碾茶では、リーフ茶で築いてきた静岡市のブランドイメージが強みにならないことも注意が必要です。よって、碾茶の供給を早急に拡大しつつ、それ一辺倒にならないよう注意が必要です。

リーフ茶については、生産量は減少していますが、価格の下げ止まりの傾向も見られます。
静岡市では、リーフ茶の輸出拡大を目的に、海外事業者との商談や営業代行などを行うプラットフォームの構築、すなわち「買ってもらえる仕組みづくり」に取り組んでいます。この中で、煎茶が国内価格の2~3倍で取引される事例もあり、静岡市のリーフ茶の評価が高まりつつあると受け止めています。
このように、静岡市の煎茶や、人気が高まっている和紅茶などのリーフ茶の魅力を、将来に向けて再構築する取組が重要です。
これとティーツーリズムなどを組み合わせ、静岡のお茶のブランドイメージを変える、再構築し、そして、マーケティング戦略で買ってもらえる仕組みを作っていきたいと考えています。
もちろん、2025年度から静岡県が始めた「静岡茶統一ブランド推進事業」とも連携を図り、リーフ茶をはじめ静岡の茶のブランド力の向上を目指していきます。

このように、今を生き残るため、出遅れた有機茶・碾茶・輸出への対応を急ぐとともに、静岡市のリーフ茶の魅力を一層高める取組、買ってもらえるための仕組みづくりを進め、茶生産の経営力強化、茶業の経営確立を目指してまいります。

 

お問い合わせ

総務局市長公室広報課 

より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください

このページの情報は役に立ちましたか?

このページの情報は見つけやすかったですか?