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更新日:2025年6月30日

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松谷清議員の質問への答弁概要

目次

南アルプスとリニア中央新幹線について

質問と答弁概要

質問:テレビ番組での市長発言について、真意を伺う

リニア中央新幹線南アルプストンネル工事は、土被りが最大1,400メートルと大きく、断層破砕帯もある中で、トンネル湧水量を抑制しつつ掘削する必要があります。このため、日本のトンネル工事の歴史の中でも、極めて難易度が高い工事になると思います。

このため、テレビ番組のインタビューでは、私の個人的意見として、「かつてリニアのルート選定をしたときに、技術者として、私ならこのルートは選択しない」という意味で、「私ならこの工事はやらない」と発言しました。

しかし、JR東海は南アルプスルートを選択し、国の事業認可をとり、そのルート上で山梨工区などはトンネル掘削を進めています。
静岡県内の工事着工となった際には、JR東海は突発湧水等への対応を含めたリスク管理を徹底しながら、高いトンネル技術力をもって施工されるものと考えています。

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質問:西俣断層に係る市協議会での議論、議会への資料提供について、どのように考えるか

リニア中央新幹線建設工事に係る水資源の問題は、これまで長期間にわたり国有識者会議や県の専門部会において、専門家による科学的で詳細な議論が行われてきました。

水資源への影響の問題を考えるにあたっては、トンネル掘削によりトンネル内湧水が発生し、それにより南アルプスの山体内の水にどのような現象が起き、それが沢の流量などの表流水にどう影響し、それによって大井川上流域や中下流域でどのような影響が生じるかを推定する必要があります。
この推定は、大変専門性の高い問題であり、議会の場という限られた時間で、十分な議論ができるような内容ではありません。

その前提の上で、西俣断層に係る市協議会での議論や議会への資料提供について、どのように考えるかは、議会のご判断の問題です。

また、東俣からの斜めボーリングの詳細なデータの公表を市がJR東海に求めることについては、静岡市として、なぜその公表が必要かについて、私は理解できていません。
よって、市がJR東海に公表するよう求めることは、現時点では考えていません。

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質問:大量湧水が発生した場合に田代ダム取水抑制案が成立しないとの指摘もあるが、どのように考えるか

まず、リニア中央新幹線建設工事の環境影響評価に関する静岡市長の公的な立場について述べます。
静岡市長は、環境影響評価法第6条の規定に基づき、「環境影響を受ける範囲であると認められる地域を管轄する市町村長」として、2011年9月にJR東海から方法書が送付されました。
よって、静岡市長は、工事により環境影響を受ける範囲であると認められた地域として、意見を言うことができる立場にあります。
なお、この管轄する市町村というのは、静岡県と、市町村においては静岡市だけになります。

田代ダム取水抑制案は、静岡市域外の中下流域の水資源の影響を回避するために行われるものであることから、静岡市域内への環境影響の発生ではないため、静岡市としては直接の利害がありません。
よって、中下流域の首長が、この田代ダム取水抑制案に納得しているのであれば、静岡市長はこれら首長の判断を尊重したいと考えています。

ただし、そうだとしても、田代ダム取水抑制案とはどのような方法なのかについては理解している必要があります。
田代ダム取水抑制案という方法は、どのような方法かについて、ここで私の理解を述べたいところですが、モデル図などを用いながら説明しないと、なかなか誰でも「なるほど」と思えるような説明にはなりません。
そこで、ホームページで公開している「市政運営の基礎情報 60環境 5リニア中央新幹線」の87、88ページに、「田代ダム取水抑制案とは」と私の見解を載せていますので、参考にしていただければと思います。

簡単に述べますが、大量湧水が発生した場合に田代ダム取水抑制案が成立しないとの指摘についての私の考えですが、この指摘が大量湧水発生時という短い期間に起きる可能性がある現象に対し取水抑制案が成立しないとしているのか、それとも、大量湧水がおさまった期間も含めて「大量湧水が発生した場合」として、取水抑制案が成立しないとしているのかは、私は存じ上げません。
私は、国の有識者会議や県の専門部会においては、専門的知識を持った方々による科学的で丁寧な議論がなされたと認識しています。

いずれにしても、そういった指摘があるのなら、どのような現象が発生することで田代ダム取水抑制案が成立しないかについて科学的根拠を明らかにした上で、それについて国の有識者会議の見解をお聞きになるのがよいのではないかと思います。
成立の可否については、私が議会の場で「こう認識している」と言う問題ではないと考えています。

最後に、ジム・アル=カリーリというイギリスの理論物理学者が、2023年に書いた「人生を豊かにする科学的な考えかた」という本の言葉をご紹介します。
本の100ページの記述ですが、「ある主題について意見を述べるのに最もふさわしい人は、最も慎重に熟考しながら議論を進める人でもある可能性が高い。論じられている問題のどこに確かな証拠が不足しているのか、自分の理解のどこに弱みがあるのかがわかっているからだ」とあります。

このことは、国の有識者会議が、なぜ3年半もの月日をかけて最終報告書にたどりついたかについての示唆を与えてくれます。
有識者会議という場で意見を述べるのに最もふさわしい専門家の皆様が、長期間、最も慎重に熟考しながら議論を進め、どこに確かな証拠の不足があるのか、論理展開のどこに弱みがあるのかを熟考した上で、最終報告までいきついたものだと思います。

また、この本の33ページにはこう書かれています。「政治家も多くの人と同じように、たいていは自分の好みやイデオロギーに合致した科学に従う」。
私はこの言葉を戒めにして、認知バイアスという思考の偏りが知らず知らずのうちに自分の考え方の中に発生していないかを確認しながら、自然科学の根拠に基づきJR東海との対話を進めることを心掛けています。

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質問:山梨工区の工事と静岡工区の工事とのスケジュール関係を、どのように認識しているか

山梨工区と静岡工区の工事のスケジュールについての何を懸念されているか分かりかねますが、事実として、山梨工区の西端の1.1キロメートル区間は静岡県内になっています。
山梨工区という名前であっても、そこでの工事着手は静岡県内、静岡市内での工事着手になりますので、環境影響評価に関する静岡県と静岡市等とJR東海の対話が合意に達し、JR東海の静岡県内での工事着手が容認されない限り、JR東海は、それが「山梨工区」であったとしても、静岡県内の工事を行わないと認識しています。

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質問:南アルプスユネスコエコパークを抱える自治体として、環境省の関与を求めないのか

環境影響評価法第3条において「国、地方公共団体、事業者及び国民は、環境の保全についての配慮が適正になされるようにそれぞれの立場で努めなければならない」とされています。
つまり、地方公共団体である静岡市も適正な環境への配慮を行われるように努めなければならないとされているということになります。

したがって、環境保全についての配慮がJR東海により適切になされるよう、静岡市としても、専門家の意見を聞きながら、地方公共団体の立場で努めています。静岡市としてできることに、私は限界を感じておりません。
そのような中、なぜ静岡市が環境省の関与を求める必要があるのか、私には理解できかねます。

なお、前の質問で「ルート変更すべきだったと私が言った」と、松谷議員はおっしゃいましたが、私はそのようには言っておりません。
変更ではなく、最初の選択の時に、私なら違うルートを選択したと言っているだけで、変更すべきだとは申しておりませんので、念のため申し上げます。

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