静岡市長の部屋　静岡市長　難波喬司

松井麻未議員の質問への答弁概要

質問と答弁の概要

質問：女性が住みやすく、働きやすい環境づくりについて

• どのような社会が「女性が住みやすい社会」だと考えているのか

答弁概要

どのような社会が「女性が住みやすい社会」かについては、様々な考え方があると思いますが、私は、個人の希望がかなえられる社会であると思っています。
個人が置かれている状況、考え方、希望などは人それぞれですので、一つのこれが住みやすい社会というものは無いと考えています。多様な選択肢があり、女性一人ひとりが、それぞれ自分が希望する生き方を選べるようになることが、女性が住みやすい社会の姿の一つだと思います。

静岡市が2024年度に実施した静岡市出生動向基本調査において、静岡市内の未婚女性に、結婚、子育て、仕事に関して理想とするライフコースと、現実に予定しているライフコースについて尋ねました。これは、ライフコースを決めつけたり、押し付けたりするものではなく、分析のためには一定の分類をしたうえで質問をする必要があることから、このような設定を行ったものです。この調査の結果、理想と現実に大きな乖離があることが分かりました。

まず、女性が理想と考えるライフコースについては、結婚し子どもを持つが、仕事も続ける「両立コース」、または結婚あるいは出産の機会にいったん退職し、子育て後に再び仕事を持つという「再就職コース」が合わせて67.6％と半数以上、三分の二以上となっています。これに対して、現実的に、「両立コース」、「再就職コース」を予定しているとの回答は48.9％にとどまり、理想と比べ18.7ポイントも減少しています。
このことは、希望が将来現実にはならないだろうと思っているということだと考えられます。また、結婚せず、仕事を続ける「非婚就業コース」を理想とする回答が13.7％であったのに対し、現実的に「非婚就業コース」を予定しているとの回答は42.4％と最多でした。すなわち、「非婚就業コース」は理想としていないが、将来はそのコースになるだろうと予想しているということだと思います。

このような傾向は、全国的にも見られますが、静岡市における理想と現実との乖離は全国と比べて大きくなっています。
静岡市では、働き方、子育ての面で、理想どおりの生き方を実現できないと感じる女性が多くいらっしゃると考えられます。
実際に、2022年度の総務省就業構造基本調査において、静岡市に住む女性の正規雇用率は、20代後半の79.3％をピークに30代後半には49.6％と29.7ポイントも低下しますが、これは全国平均よりも減少幅が大きくなっています。また、静岡市の市民意識調査において、「静岡市は子育てしやすいまちだと思うか」と尋ねたところ、「そう思う」「ある程度そう思う」と回答した市民の割合は、2021年度の52.8％から2024年度には36.8％と急激に低下しています。
このことから、静岡市では、女性が結婚し、出産しても正規雇用を継続できる、または、結婚あるいは出産を機に退職し、子育て後に再び正規雇用で働けるという環境が十分でないことが推察されます。

現代社会において、女性が希望する生き方は多様化しており、静岡市が女性にとって自分が希望する生き方ができるまちなのかどうかは、働き方や子育てのしやすさのみをもって判断できるものではありません。しかし、各種調査から、静岡市には、女性の働き方や子育てに関する環境に課題があることは明らかです。このような静岡市の現実を直視し、順次、政策を実行していくことが必要です。
例えば、生まれ育った静岡市で結婚し、子どもを持ちたいと希望する女性には、安定した所得、仕事と家庭との両立がかなう環境のほか、子育て・教育環境の改善も必要です。
静岡市は自分が希望する生き方を選ぶことができるまちであると多くの女性に実感していただければ、静岡市に住み続けたいと思う方も増え、結果として出生率が向上し、人口減少の緩和にもつながります。

ただし、市政の役割は、個人の幸せの向上にあります。例えば、「子どもを持ちたい」「もう一人ほしい」との希望があっても、「現実にはそれはかなわない」という状況を減らし、女性が希望する生き方を選べるようにすることが、個人の幸せの向上につながります。

もちろん、色々な、多様な希望がありますので、先ほども、決めつけであるとか、そういったことはよくないというお話もありますが、この例示も一つの例示ということで、これが望ましいという考えではありません。

女性が静岡市に住み続け、一人でも多くの方が自分が希望する生き方を選ぶことができ、幸せを実感することができる環境を整えることで、女性が住みやすい社会となるよう、様々な施策に取り組んでいきます。