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更新日:2026年6月29日
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松谷清議員の質問への答弁概要
目次
リニア中央新幹線建設工事と南アルプスの未来について
リニア中央新幹線建設工事の環境影響評価に関して、科学的・工学的観点からリーダーシップを発揮してきた難波市長は、最終段階となっている現在の状況をどのように受け止めているか。
南アルプスを開発することは、地球倫理に反するのではないか。また、新たに倫理委員会を設置する考えはあるか。
質問と答弁の概要
質問:リニア中央新幹線建設工事の環境影響評価に関して、科学的・工学的観点からリーダーシップを発揮してきた難波市長は、最終段階となっている現在の状況をどのように受け止めているか。
私は、県庁時代も含め、これまで約10年、このリニア中央新幹線建設工事の環境影響評価の問題に関わってきました。
その間、最初から一貫してJR東海に申し上げてきたことは、科学的根拠に基づく分析・解析を行い、それをわかりやすく説明してほしいということです。
国交省の有識者会議が設置される2020年4月以前のJR東海の対応、とりわけ私がこの問題に初めて関わった2016年ごろのJR東海の対応には問題がありました。
しかし、2020年の国交省の有識者会議の設置以降は、水資源と環境保全について、計24回、3年半にわたり、科学的・工学的・客観的な見地から議論が行われ、報告書が取りまとめられました。
県におきましても、専門部会において、水資源、生物多様性の問題について対話が行われました。
2023年4月に私が市長になってからは、静岡市長として、希少性と脆弱性が高いという南アルプスの特性を理解した適切な環境影響評価が行われるよう、地方自治体の立場で努め、JR東海と科学的根拠に基づく丁寧な対話を行ってきました。
工事着工について、近々、知事の判断が行われるとの報道がありますが、これらは国、県、市とJR東海との対話が丁寧に行われたことで、知事が判断できる状態に至ったものだと思っております。
静岡市は、今年の6月、環境影響評価手続きの一つとして、JR東海から提出のあった「静岡県内中央新幹線建設工事に係る事後調査報告書(本体工事着手前)」に対し、意見を出しました。
その意見の一つが、「事業の実施による環境への影響については、事前の影響予測を基に、最大限回避・低減するよう、最善の措置を講ずる責任を果たすこと。」です。
これに対し、JR東海からは、次の旨の見解の表明がありました。
「事業による環境影響は事前予測に基づき最大限回避・低減し、協議会の結果を踏まえた保全措置とモニタリングを確実に実施する。南アルプスの環境への影響には不確実性があるため、工事前の検討と工事中のモニタリング結果を踏まえ、計画の見直しを行う順応的管理により影響の最小化に努める。」というものです。
JR東海には、事業実施にあたっては、このように工事と環境保全措置を適切に行うよう求め続けます。
静岡市は、国、県と連携し、監視体制を構築し、JR東海による影響の回避・低減、代償措置が順応的管理に基づき適切に行われているかを常に監視していきます。
南アルプスを開発することは、地球倫理に反するのではないか。また、新たに倫理委員会を設置する考えはあるか。
このご質問にお答えするには、地球倫理とは何かについて、まず確認する必要があります。
ネット等を調べましたが、地球倫理には、定まった定義はないようです。よって、人によって定義が異なる言葉だと思います。
また、倫理は、人の守るべき道理や人の行動規範ですが、道理や行動規範は人によって異なります。
私は、基礎自治体である静岡市の行政運営において重要なことは、現場にある具体的問題を直視し、それを解決していくことだと考えています。
色々な解釈がありうる地球倫理という観念的な言葉を用いて、行政運営を行うことは考えていません。
また、新たに倫理委員会を設置することについてですが、倫理委員会、あるいは専門倫理委員会が、重要な役割を果たしている例はいくつかあります。
例えば、臨床倫理委員会は、個別の医療行為に対して、患者の権利や利益を保護するために設置されています。
一方、地球倫理については、まず、地球環境の保全は人として守るべき道徳ですが、単に地球倫理という言葉だけでは、具体のどういう行為に対して、どういう基準や考えに照らし、何の権利や利益を保護するのかは明確ではありません。
よって、地球倫理・環境倫理に関し、市に倫理委員会を設置する考えはありません。
なお、この倫理問題について少しだけ追加で述べますが、リニア事業の環境保全に関する倫理問題については、環境影響評価の手続きの中で取り扱われていると認識しています。
環境影響評価法は、環境影響評価の手続きは規定していますが、具体的にどの程度、環境の保全への配慮を行うべきかは、法律では規定していません。
すなわち、環境影響評価法では、環境を保全すべき水準について規定がありません。よって、環境影響評価法は倫理的な制度と言えます。
リニア事業の環境影響評価においても、どの程度の環境保全措置を行うべきかについて、定められた、あるいは守るべき具体的な基準はありません。
よって、どのレベルの環境保全措置を行うべきかという守るべき道理や人の行動規範について、事業者と地方自治体で対話し、共有したうえで、環境の保全についての配慮が具体的に、適正に行われるよう静岡市の立場で努めています。