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ページID:1567
更新日:2025年2月17日
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12.タイツリオウギ・ホソバトリカブト
A構成・特徴・状態
特徴
- 千枚岳の山頂は、平たい石が層のように重なる千枚岩から成っている。千枚岩は細粒の堆積岩が変化した、変成岩であり、斜面方向に対して崩れやすい。
- 山頂から西方に尾根が張り出していて、イワオウギ、タイツリオウギ、キタダケヨモギ、ホソバトリカブトが優占する、高山高茎草本群落が成立している。
- 高山高茎草本群落は南北に500mほど続くが、その間に数ヶ所岩塊地が存在する。岩塊地の岩壁にはタカネビランジとミヤマムラサキが生育している。
状態
- 崩壊地性の高山植生に高山荒原植生や高山広葉草原植生などの要素が、多数混在する混在型の群落。
- 風背側や安定した場所では木本植物が分布し、崩壊地を除くその他の斜面上で高山高茎草本群落が成立している。
B周辺環境
- 山頂付近や稜線はハイマツやナナカマドに覆われている。
- 千枚岳山頂直下は、ほとんど植物が生育していない急峻な斜面で、崩壊地になっている。
C価値
千枚岳に生育するタカネビランジは、白色に近い花弁の個体が多いのに対し,鳳凰三山の個体は薄赤色の花弁を持つ。また、岩壁に張り付いて生育する個体が多いなど、生育条件の違いによる形態変化がみられる点で貴重な群落である。
加えて、本州では報告例が少ないアカイシリンドウやサンプクリンドウなどの、希少な種が分布するなど、付近の高山植物群落と構成種の違いが見られる点が興味深い。この点と高山高茎植物群落、タカネビランジ・ミヤマムラサキの岩壁植物群落がみられる多様性の高い場所であり、価値の高いものと言える。
D場所
【位置】
千枚岳南面の高山植物群落(標高2860m付近)