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ページID:1570
更新日:2024年2月15日
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15 高茎の多年生草本植物群落ハクサンイチゲ、シナノキンバイ
A構成・特徴・状態
特徴
- 古くから「荒川のお花畑」として知られている、大きな高山高茎草本群落。
- 大別して3タイプの群落があり、1.ハクサンイチゲやシナノキンバイが優占する高山高茎植物群落、2.コメススキやコイワカガミが優占する高山低茎植物群落、3.オンタデやミヤマミミナグサが優占する高山荒原植物群落の3つが存在する。
- 東西の両側にハイマツ群落が存在し、それらに囲まれた地形で冬季には多量の積雪が見られ、雪渓跡地と言える。
状態
- 群落の大きさは東西に約100mで、標高の低い位置から高い方向に面として約200mほどである。標高差は50mほど。
- 前岳自体が砂岩、泥岩から成り、上部の岩石には多くの亀裂が見られる。これらの亀裂に水が蓄えられているとも考えられている。
B周辺環境
南西には赤石岳(3120m)、北東には悪沢岳(3141m)が存在し、それらの山頂を結ぶ縦走路が群落の中央を通っている。
C価値
雪渓跡地に成立する植物群落であるのにもかかわらず,そのほとんどが高山高茎植物群落で占められている点で興味深い.仮説としては,上述の母岩やお花畑自体が,一時的に降水による水のトラップを行い,その水を徐々に放出していると考えられている.日本列島の高山において,南部に成立する多様性が高く現存量が大きい点で大変価値の高い群落である.
広大で多様なお花畑が何故毎年成立するのか,また近い将来の地球温暖化による自然の変遷を研究および推定する上で,大変貴重な存在であると言える.
D場所
【位置】
荒川前岳南東斜面(2850m~2950m)
【GPS】
北緯 35°29′29.0″
東経 138°09′58.0″