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ページID:1583
更新日:2024年2月15日
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21 岩石氷河
A構成・特徴・状態
特徴
- 岩石氷河とは、大きさが数mを超える巨大な岩石が見られる舌の形をした小高い丘の地形である。これは、永久凍土が岩石を運搬し、堆積したことで形成される。
- 本地域には幅50m~150m、長さ100m~300mの岩石氷河が複数個、分布する。また、岩石氷河に見られる礫の大きさは最大3m、平均50cmである。
状態
- この岩石氷河は、約11000年前の寒冷な時期(晩氷期)に形成されたと考えられている。
- 現在、岩石氷河に見られる礫は風化し、コケに覆われている。また、その周縁部の斜面はハイマツなどの植生に覆われている。
- そのためこの岩石氷河は現在、内部の永久凍土が融けて、活動の停止した化石岩石氷河であると考えられている。
B周辺環境
- 赤石岳主稜線西側には、周氷河性平滑斜面が広がる。
- 赤石岳東面には、氷河の浸食で形成されたカール地形が2つ分布する。
C価値
赤石岳南西斜面には「ゴーロ帯」と呼ばれる、ゴツゴツした岩がたまった岩塊斜面が広がる。その中で、岩石氷河は岩塊が堆積した小高い丘を形成し、際立って見える。
岩石氷河は日本において主に北アルプスに分布する。その中で、本地域の岩石氷河は日本の南限地域に位置するため、貴重な存在である。
またこの岩石氷河は、現在では大雪山や富士山頂、北アルプスの立山にしか存在しない日本の永久凍土が、過去の寒冷な時期には本地域にも存在したことを証明する証拠(化石地形)である。そのため、南アルプス南部地域における過去から現在にかけての自然環境の変遷史を推定する上で、非常に重要な地形である。
D場所
【位置】
赤石岳南西鞍部の標高2820m付近
【GPS】
北緯 35°27′36.5″
東経 138°08′55.0″