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更新日:2024年2月15日
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25 構造土(アースハンモック)
A構成・特徴・状態
特徴
- [地形] お花畑の中央部にアースハンモック(コケやイネ科草本に覆われた、小さな半球状の盛り上がり)が連続的に形成されている。
- [地形] アースハンモックの大きさは直径1mで、高さ20cm~30cmである。
- [植生] アースハンモックはウシノケグサやタカネハリスゲなどのイネ科の草本植物やウマスギゴケ・シモフリゴケなどのコケに覆われている。
状態
- アースハンモックの盛り上がりの内部には、持ち上げられたような構造で土壌が詰まっている。
- これらは現在の環境下でも、内部に霜柱やレンズの形をした氷が形成されることで、年々盛り上がりが高くなっている(成長している)可能性が考えられる。
- アースハンモックのほとんどはイネ科の草本植物やコケに密に覆われているが、一部は頂部の植生が剥げているもの(凍結ハゲを生じたもの)も認められる。
B周辺環境
- 上河内岳から連なる稜線に広がる線状凹地にお花畑が成立している。
- お花畑の周囲には、シラビソなどの亜高山性の針葉樹が生育する。
C価値
現在、アースハンモックは主に北海道の大雪山や根釧台地などの、寒冷で湿潤な場所で見られる。そのような地形が、南アルプス南部地域の亜高山帯に形成されているのは、本地域の自然環境を考える上で大変興味深い。
また本州では、東北の秋田駒ケ岳や同じ南アルプスの光岳を除いて報告例がないことからも、本地域のものは貴重な存在であると言える。
D場所
【位置】
茶臼岳北部の線状凹地(標高2470m付近)