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ページID:1572
更新日:2024年2月15日
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18 雪窪アオノツガザクラ・チングルマ・コイワカガミ
A構成・特徴・状態
特徴
- 大聖寺平南東斜面には、冬季の積雪が7月下旬まで残雪として残っている。
- 夏季の始めまで残る残雪によって、雪窪(残雪のはたらきによってできる窪地)が5つ形成されている。
- 雪窪の大きさは、幅60m~120m,長さ80m~200mである。
- 雪窪内にハイマツ、オノツガザクラ、チングルマ、コイワカガミなどが生育する。
状態
- 雪窪は植被された部分と砂礫地(残雪砂礫地)の2つに区分される。植被された部分は周縁部に、砂礫地は中心部に見られ、両者は同心円状に分布している。
- 中心部の砂礫地では、地面が凍ったり融けたりした際に生じるはたらきや、残雪の融雪水の侵食によって、礫の移動が起こっている。
- 雪窪の周辺部が植被されていることから、その窪地が形成された時期は、約11000年前~7000年前と考えられている。
B周辺環境
- 大聖寺平の北東向き斜面には、植被階状土が形成されている。
- 本地域の西側のダマシ平には、構造土が連続的に形成されている。
C価値
夏季まで残る残雪は、冬季に多量の積雪がもたらされる、強風により風下側に積雪が厚く積もるなどの条件の揃う日本などの限られた地域でしか見ることができない。そのような残雪によってできる雪窪は、世界的にも珍しい地形である。
また、日本でも主な分布域は、大量の積雪がもたらされる北アルプスや東北・上越の日本海側の山地である。太平洋側に位置し、日本海側の山地に比べ積雪の少ない南アルプスでは、本地域以外での報告例はまだない。そのため、本地域の雪窪は貴重な存在であると言える。
D場所
【位置】
大聖寺平南東斜面の標高2700m~2800m
付近
【GPS】
北緯 35°28′30.0″
東経 138°09′30.0″