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ページID:1569
更新日:2024年2月15日
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14 カール地形・周氷河地形ハクサンイチゲ・タテヤマキンバイ
A構成・特徴・状態
特徴
- [地形] カール地形(氷河の浸食でできた椀形の窪み)が3つ分布する。これらのは、日本のカール地形の中で南限に位置するものである。
カール地形内には周氷河地形(岩石氷河、周氷河性平滑斜面)が分布する。 - [植生] カール地形内にお花畑が成立し、ハクサンイチゲやシナノキンバイ、キバナノコマノツメ、タテヤマキンバイなどが生育する。
状態
- 3つのカール地形は最終氷期に存在した氷河で形成され、現在の状態になったのは約11000年前頃(晩氷期)と考えられている。
- カール地形内の岩石氷河、周氷河性平滑斜面は約11000年前頃の寒冷な時期に形成されたと考えられている。
- 現在、これらのカール地形や周氷河地形は安定化し、植生に覆われている。
- カール地形内では、地形に対応した植物群落が分布する。例えば、カール底にはタテヤマキンバイなどが生育する、カール底荒原植物群落が成立する。
B周辺環境
稜線を挟んだ荒川三山北面の魚無沢には、氷河の浸食でできたU字谷が見られる。
C価値
現在、日本には氷河はないが、最終氷期に氷河が存在したことを証明するのがカール地形である。また日本では主に北アルプスや大雪山に分布する中で、本地域のカール地形は日本の南限に位置するとして貴重である。
また現在、カール地形内にはお花畑が成立し、地形や気候環境、土壌環境に対応して高山植物群落が分布する。すなわち、カール地形は生物多様性が増す場所であり、貴重な存在であると言える。
D場所
【位置】
荒川三山(悪沢岳・中岳・前岳)南面の標高2750m~3000m
【GPS】
北緯 35°29′35.0″
東経 138°10′10.0″