印刷
ページID:1573
更新日:2024年2月15日
ここから本文です。
19 植被階状土・縞状土・ソリフラクションローブガンコウラン・イワツメクサ・イワウメ
A構成・特徴・状態
特徴
- [地形] 植被階状土(砂礫地と植生部が階段状に並ぶ地形)が10段分布する。
本地域には、砂礫地と植生部の大きさが幅30cm~2m、全長60m、段の高さ10cm~30cmのもの見られる。 - [地形] 植被階状土の砂礫地では、一部で礫の移動が生じて、幅10cm~20cm、全長50cm~120cmの縞状土(縞状の礫の模様)や幅2m、全長3mのソリフラクションローブ(舌の形をした礫の模様)が分布する。
- [植生] 植被階状土の植生部には、イワウメなどが生育する。一方、砂礫地には、イワツメクサが見られる。また砂礫地と植生部の境界にはガンコウランが。砂礫地内にはイワツメクサが分布する。
状態
- この植被階状土は、規模が大きいことから、約11000年前~3000年前にかけて2度訪れた寒冷な時期(約11000年前:晩氷期、約3500~3000年前:ネオグラシエーション期)に形成され,現在は形態が保存された状態であると考えられている。
- 植生部のイワウメなどは強風のため地表に張り付く形で生育している。また、砂礫地と植生部の境界に分布するガンコウランには、礫に埋没した株が存在する。
B周辺環境
大聖寺平上方のダマシ平では、平坦地に構造土が連続的に分布している。
C価値
本地域の植被階状土は、約11000年前~3000年前に2度訪れた寒冷な時期に形成されたと考えられている。そのため、これは南アルプス南部地域における過去から現在までの自然環境の変遷過程を知る上で重要な地形である。
また現在、植被階状土の砂礫地と植生部の境界では、ガンコウランが砂礫地に侵入する箇所や礫に埋没した箇所が見られる。今後の気候変化によってどのように本地域の自然が変化したのかを知る上でも非常に重要な地形であると言える.
D場所
【位置】
大聖寺平,北東向き斜面の標高2700m~2800m付近
【GPS】
北緯 35°28′36.0″
東経 138°09′26.0″