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ページID:1582
更新日:2024年2月15日
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17 大型ソリフラクションローブ
A構成・特徴・状態
特徴
- 大型のソリフラクションローブ(永久凍土や地面の凍結融解の働きでできる舌状の高まり)が見られる。本地域には、礫質と土質の2種類が存在する。
- 礫質ソリフラクションローブは3個分布し、大きさは最大で幅70m、全長80mである。また、その末端には平均長径20cm~30cm(最大1.5m)の礫が堆積している。
- 土質ソリフラクションローブは6個分布し、最大のものが幅20m、全長30mである。
状態
- 本地域のソリフラクションローブは,規模が大きいため、過去の寒冷な時期に形成されたと考えられている。
- 礫質ソリフラクションローブは、約2万年前の最終氷期極相期に形成されたと考えられ、現在は活動が停止している。そのため、これらの地形に見られる礫は風化し、コケに覆われている。またその地表面はハイマツや草本植物に植被されている。
- 土質ソリフラクションローブは、約11000年前の晩氷期に形成されたと考えられている。現在は活動が停止し、その地表面はガンコウランやイワウメに覆われている。
B周辺環境
- 大聖寺平には、砂礫地と植物群落が階段状に並ぶ植被階状土が分布する。
- 大聖寺平の上方のダマシ平には、構造土が連続的に形成されている。
C価値
現在、大型ソリフラクションローブが多くみられるのはアラスカやシベリアなどの寒冷な地域である。本地域に、過去に形成された大型ソリフラクションローブが存在することは、かつて南アルプス南部地域でも現在の北極域のような寒冷な環境が存在したことを示す証拠となる。
従って、南アルプス南部地域の過去の自然環境を復元する上でも、本地域の大型ソリフラクションローブは重要な地形であると言える。
D場所
【位置】
大聖寺平東側,奥西河内沢源頭部の標高2650m付近
【GPS】
北緯 35°28′42.0″
東経 138°09′30.5″