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ページID:1579
更新日:2024年2月15日
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9 構造土(礫質縞状土・礫質網状土・植被階状土・ソリフラクションローブ)
A構成・特徴・状態
特徴
- 丸山の北および南斜面には礫質縞状土・礫質網状土・植被階状土・ソリフラクションローブなどの構造土(大小の礫が規則的に並んでできる地表の模様)が見られる。
- 構造土の大きさ→礫質縞状土・礫質網状土:幅10cm、全長10cm~4m
植被階状土:段の高さ20cm~40cm、幅20cm~1m、全長12m・40m
ソリフラクションローブ:幅40cm~2m、全長1m~4m - 礫質縞状土・網状土の大きな礫の溜る場所にコバノコゴメグサなどの風衝地の植物が分布する。また、植被階状土の植生部にイワウメ、クロマメノキなどが生育する。
状態
- 礫質縞状土・網状土、ソリフラクションローブの大部分は、現在の環境下で形成され、その形がはっきりしている。一方,植被階状土は規模が大きいため、かつての寒冷な時期に形成され、形が保存されている可能性が高い。
- 強風が吹き抜ける風衝地のため、コバノコゴメグサやクロマメノキなどは地表に張り付く形で生育している。
B周辺環境
- 構造土の分布する砂礫地が大きく広がっており、斜面全体の植被率は低い。
- 風衝地のためハイマツ群落はパッチ状に分布する。
C価値
日本において構造土は、北海道の大雪山に多く分布している。本地域は南アルプスの南部地域に位置しているが、その構造土の数は大雪山のものに匹敵すると言われている。
また、一部の構造土は活動が停止して形が不明瞭になり、イワウメやクロマメノキなどに植被されている。温暖化に伴い気温が上昇すると、植物はさらに構造土に侵入すると予想される。今後の気候変化がどのように高山の自然に影響を及ぼしたのかを知る上でも、本地域の構造土は非常に重要な地形であると言える。
D場所
【位置】
丸山北斜面・南斜面の標高2950m~3030m
【GPS】
北緯 35°30′3.0″
東経 138°11′22.5″